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スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


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第61話 うたかたの

 夢だとはわかりました。


 泡の中。


 水の底。


 だけど、わたくしは『わたくし』だとわかるように、意識がありましたの。


 暗くて、淋しくて、どこにいても『苦しい』と思ってしまう底の底。


 ここは、どこなのでしょうか??



(……なにか、覚えがありますわ)



 いつだったか、どこだったか。


 そこまでは思い出せないのですが。


 ただただ、わたくしは底の底に『沈んで』いたというのはわかったのです。なぜ、自分でそれがわかるのかがはっきりしないのですけれど。



(どこ……どこ、ですの? わたくしは、この『底』から抜け出せれたのが『現実』ですの?)



 暗くて、濁っていて。


 まるで、そうそれは……イリス国の王族の皆様が悩まれていた、あの穢れ。


 汚れと思って、大きなそれを飛ばしたのはわたくしとリデル様。


 我が祖国、ジャディスに飛ばしたのはわたくしたちの意思。


 あれがあってから、ジャディスは封印されたとクロノ様から聞いて……そして。



「ダメ!!」



 声が出せたかと思いましたら、もうあの淋しい暗い底ではなくて……アースト国であてがわれた部屋のベッドで寝ていましたの。刻限はきっとすごく遅いのか、外から差し込む月の光はやわらかいままです。



「……悲しい、夢ですわ」



 いやに現実味を帯びていた夢でしたけれど、そう思うことにしました。


 ジャディスはクロノ様から『封印した』とお聞きしましたから、大丈夫。穢れを送ってしまったのはわたくしとリデル様ですが……罪に問われたことではありません。


 大丈夫……大丈夫、となんども呟きながらもう一度横になりましたがうまく寝付けれませんでしたけれど。


 しばらくしたら、意識がとろけたのか。次に意識が落ち着いたときには、もう朝でしたの。


 今日もお休みですが、朝寝坊しても問題ないはずです。


 メイドの方々が呼びに来るまで、もうしばらく寝ていることにしました。あの悲しい記憶のような夢を忘れたいために、もう一度……しっかりと。

次回は水曜日〜

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