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スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


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第60話 暇な二日間

 お勉強もお仕事もお休み。


 すごくすごく、暇な時間ですわぁ。祖国でもまあまあ養育を受けていたので、外へ遠駆けに出る以外は……何をしていたのでしょうか??


 リデル様と出会う前が、なんだかぼんやりとしか思い出せませんの。なにか、わたくしの中で抜け落ちてしまったのかしら?? 穢れを洗い流す……そんなことをお仕事以外にも自分にも施したせい??


 だとしたら、『わたくし』はいったい何者なのでしょうか??



(気分転換に散歩くらいしましょう)



 与えてくださったお部屋にはメイドが常時待機しているわけではないようですので、廊下を歩くのもひとり。王家の方々とは違う棟をあえて使うように隠されているわたくしは、まだリデル様の『婚約者』として発表はされていませんもの。


 もう少し、ダンスのレッスンや行儀作法の学び直しから……も含めて、色々すべきことはあるのですが、今日と明日はお休み。さらにその翌日は……り、リデル様とのデート!! そのことをあまり考えないようにぱたぱた歩いてしまったのですが、ここはどこ?の迷子になってしまいましたわ!?


 いつもはリデル様かお姉様たちに案内していただいていたので、不遜ながら道順を覚えていませんでしたわ!! レイシア、ダメな淑女です!!



「嬢ちゃん? なにしてんだ?」



 あわあわしていますと、ディルスお兄様がこちらに来てくださいましたわ!! 恥を偲んで、ここはちゃんと謝罪しますわ!!



「……すみません。散歩だけのつもりが、迷子になりまして」

「……せめて、リルとか呼びなって。あんた、一応王太子妃候補なんだからよ」

「……気分転換にと、軽率でした」

「んじゃ、俺が送るわ。リルは向こうに呼んどく」



 口笛を吹いて、なにかの魔法を扱われたのでしょうか? 虹の光がきらっとお兄様の前で光ったように見えましたが、それはどこかへと飛んでいきましたの。


 そのあと、お兄様の案内で元の道などを教えていただきながら歩きましたわ。



「あら、ここには覚えが」

「こっからまっすぐ行くだけだが、リデルに叱られっからちゃんと送るぜ」

「ありがとうございます」

「いいってことよ。……そういや、リデルと出かけんだってな? デートか?」

「お、お兄様……にも」

「乳兄弟だしな? とまあ、そんだけじゃねぇが、あいつとは二十年以上の付き合いもあるしよ。やっとこさ、気の許す相手が出来てよかったぜ」

「? 気の許す相手? わたくしがですか??」

「……あんな緩んだ顔。身内でもそうそうねぇぞ」

「そうでしょうか?」



 リデル様は常にお優しい。時折、難しい顔をされることはありますが。わたくしが最初に聖浄(クリアラ)を使用したときから……ずっとお優しいです。きっと、あのときから一目惚れ……だったのでしょうか? そして、パーティーでは颯爽とわたくしを抱っこして駆け抜けてくださいましたもの!! 今思えば、物語の王子様そのものですね!! 実際に、王子様……ですけど。



「互いに自覚なし、か。長い目で見とくが、リデルのことちゃんと構ってやってくれ」

「そんな。わたくしの方がお世話になってばかりですわ」

「そんなんで、いーんだよ」

「わっ!?」



 髪型を崩さない力加減で頭を撫でてくださいましたが……本当に、『お兄様』のようで安心できる方ですわ。お姉様とはとてもお似合いですし……わたくしも、お姉様のように立派な女性になれるのか気になってきました。


 だって、リデル様の前ではいつもお腹ペコペコのところを見せまくっているようですもの!? お兄様とお姉様のような情熱的な……アレは、さすがに出来ませんが。


 ひとまず、お部屋に戻るとお姉様が苦笑いされながら待っていてくださいました。



「んじゃ、あと頼んだ」

「はい。お気をつけて」



 ああ。目の奥から甘さが引き出されるこの瞬間。第三者から見てもときめきますわ!! 是非、秘訣を教わりたいものです。わたくし、昨日はただの腰抜けでしたもの……。

次回は月曜日〜

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