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スキル『洗濯』の能無し悪役令嬢は、冷酷王太子殿下と虹染めに夢中〜無自覚溺愛に振り回されつつも、隣国は楽園です!〜  作者: 櫛田こころ


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第56話 繭殿ふたつめ②

 リデル様の横でじっと、聖獣様のご様子を見ていましたが……わたくしたちを交互に見たあと、毛束がまだあるからと食べるのを再開されましたわ。


 わたくしたちに興味がない……というわけではないでしょうが。少しばかり、素っ気ない感じがしますの。ですが、毛束を半分くらい召し上がられてから、お顔だけはこちらに向けてくださいましたわ。



『幼い。どちらもまだ、幼い』



 とおっしゃったあとに、また毛束を食べ進めていかれる。どうやら、わたくしたちが予想以上に幼いことに驚かれたか……もしくは、呆れられたか。リデル様を見ても、特に気にされていないのか顔を引き締めていらっしゃるだけでしたの。



「……たしかに。我々はあなた方聖獣に比べれば、幼い以上に儚い命を持つ者。しかし、イリス国は少しずつですが、変わりつつあります。此度、聖浄を叶えた乙女がこの通り」

『……そうだな。我が対を復活させた経緯は聞き及んでいる。しかし、しかし、『月の相対』に関してはまだか?』

「……遅くなり、申し訳ございません」

「……月の、あいたい?」

『残すもうふたつの繭殿だ。乙女よ』

「ひゃ!?」



 聖獣様がいつのまにか、わたくしの前まで近づいていらしたので驚きましたわ!?


 美しい瞳にじっと見つめられるとドキドキしてしまいそうですが、わたくしがもっと早く見つかれば……このようにはなっていなかったはず。それを後悔しても遅いですが、少し距離を置いて出来る限りの最敬礼を披露しましたの。



「わたくしのように、浄化を担う者がなかなかいなかったようです。怠けていたわけではなく、わたくしは祖国で爪弾きな扱いを受けていたため……イリス国の方々とお会い出来ませんでした。言い訳でしかないのは承知の上、誠に申し訳ございませんでした」

「……レティ」

『ふむ。誠心誠意の謝罪。それは噓偽りないようだ。王子の方も受け取っておこう。であれば、向かう次の行先はわかっておろうな?』

「「……はい」」

『我が名はアーシャルゥ。陽の対であり、陰を司るモノ。シャディースを見つけてくれた幼子たちよ。月を目指せ。あのモノらを解放してからが……クロノ様のお目覚めが変わるときぞ』

「「クロノ様が……?」」



 最近ほとんどお会い出来ていない、クロノ様。神様なのに、わたくしたちくらいのお年頃に姿をつくられていますが。本当のお姿は違うということなのでしょうか?


 アーシャルゥ様はわたくしたちにそれ以上の質問をさせないのか、毛束を一気に食べ尽くしたあと……繭殿の奥にある壁画の中に紛れ込んでいきました。穢れと毛束で気づきませんでしたが、美しい壁画ですわ。



「……これは、イリスの成り立ちか?」



 リデル様にはただ美しいと思っていらっしゃらなかったようですわ。手で触っても穢れがもう移ることがありませんでしたから、ゆっくりなぞられる横顔は絵になるようだと……お慕いしているわたくしが思ってしまうほどです。


 ですが、重要な資料のようですのでわたくしも覗き込んでみましたが、古い絵巻物を見ているようでさっぱりわかりませんの!! レイシア、学問の打ち込みを今まで以上に頑張りますわ!!


 とりあえず、こちらでのお仕事を終えてお城での仕事をしましょうということで……方陣を介して、神殿に向かいましたが。



「繭殿で染め上げた布をですの??」

「……対の穢れなら、さらに浄化できると思うんだ」



『陽の対』というのをお気にされていたようですので、陛下のご許可もいただいてから実行することになりましたの。言祝ぎを紡ごうと口を開けましたが、なぜか大きな手で塞がれた。リデル様?と思っていたら、目の前のリデル様がびっくりされていて……。



「クロノ様……?」

「や。ふたりとも。順調だね~?」



 わたくしの口を塞いでいたのはクロノ様だったらしく……温かさを感じないのにも驚きましたが、神様だからでしょうか??


 浄化を中断させられたので、わたくしが動くと『まだね?』とおっしゃいながら手は外してくださいました。


次回は金曜日〜

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