第48話 繭殿のひとつめ⑤
『クロノ様の血を引く子よ。我は相対する四獣を待ち望んでいる。……彼の穢れも、はやく払い除けてくれないだろうか?』
「ここと、反対……でしょうか?」
『具体的な位置はわからないようにされている。しかし、そなたらに受け継がれた伝承通りに進むがよい』
とおっしゃったシャディーレ様は軽く吠えたあと……繭殿の奥にある小さな建物の中に吸い込まれていきました。
リデル様が慌てて扉を開けられましたが、中にシャディーレ様のお姿はなかった代わりに。
「……壁画。普段は、この中に」
わたくしも拝見させていただきましたが、シャディーレ様そっくりの一角獣の絵がきちんと描かれていましたわ。今はこの中でお休みかもしれませんのね? リデル様もそう思われたのか、そっと扉は閉じましたの。
「……リデル様。本日はうまくいきましたが……次に行かれます?」
わたくしはまだまだ元気いっぱいでしたが、好き勝手に動くわけにはいきませんのでリデル様にお聞きしました。すると、やはりわたくしを気遣ってか『いや……』と首を横に振られました。
「方陣へと戻ろう。父上らにもシャディーレ殿ら四獣のことは報告したい。やはり、ライオスたちにも協力は募ろうと思う」
「わかりましたわ」
転移方陣にてお城に戻り、陛下にさっそく報告したところ……ヴァイス様からもお話がありましたわ。
「西の方角にある繭殿に変化があったとの報告があってな。もしかしたら、それが次に解放してほしい方角なのだろう」
「四獣を解放しても、クロノ様が抱える穢れは」
「そこなのだよ。我らも伝承でしか知り得ない。金の髪を持ち、虹色の瞳を持つとされているのが最高神・クロノソティス様だと」
クロノ様の本来の髪色はまったく違うそうですが……あの髪色でも、少し薄くなった程度とは思えません。いったいどれほど、穢れを抱えたまま長年漂っていたのでしょうか? わたくし、少し悲しくなりましたわ。
「陛下。わたくしも精進いたしますわ。クロノ様のためにも」
「ありがとう、レティ。しかし、身体資本なのだから決して無理をしてはならない。むしろ、我々の代での穢れを抜くことが出来た事態……奇跡に等しいのだから」
「……わたくし以外で、同じように聖浄を扱える方はいないのでしょうか?」
「うーん、なんとも言えないね」
わたくしの素性も、少し怪しいとリデル様がおっしゃっていましたし……あの国が今、封印からクロノ様が向かわれた以降、クロノ様のお姿も見ていません。なにか、わたくしたちに隠していらっしゃることが多いのでしょうか。隠すことで、試練をお与えになられているのでしょうか?
わからないことだらけですが、ひとつ解決に導けたことには安心が出来ました。
少し間を置きたいところですが、明日には陛下がおっしゃった繭殿に向かい……できれば、同じ方法でリデル様と穢れを分担して浄化する予定です。
ふたりでしか出来ない方法だそうですが、かわりにセレスト側がほかの国々に雨のタイミングで虹を多く見せて穢れを吸う役目を担っているそうです。
わたくしが穢れを移したあの頭巾……をいくつか手袋にしたことで、浄化は血筋の濃い『染め』と『紡ぎ』の担当が一身に引き受けているそう。それが、ライオス様とアディルカ様。
ライオス様はもともとアーストの王族なので、『染め』を久しぶりに経験されたそうですが手袋のお陰で手が染まらないのだそうです。お役に立てて、本当にようございましたわ!
次回は月曜日〜




