覚醒した母
西城さん生きていた!
涙が自然と流れた。
野口さんも茜さんも紀代も涙を流していた。
あれから何十年経ったのだろう。
沿岸地区はすっかり変わってしまった。
日本はその後、大地震を何回経験したのだろう。
私はいつまで生きているのだろう。
茜さんに会いたい。
大学卒業後、茜さんとは会ってない。
私は、卒業後、大手の会社で数年働き、そのまま結婚して娘を産んだ。
離婚して、私は間もなく離婚した。
相手の不倫が原因だった。
慰謝料もほとんどなく、私は路頭に迷った。
本を書いて売れるようになったのはだいぶ後の事だけど、娘が成人するまでは、私は必死に文章を書いた。どんな小さな仕事でも二つ返事で受けた。
いま、こうやって自分の人生を考える時、茜さんとの出会いが私を変えたんだと思う。
私には茜さんのようなバイタリティはなかった。
茜さんがナショナルトラスト運動に参加したり、富士山の環境活動に従事したりしているのは知っていた。30歳の頃は女性登山家として、単独で世界の山々を登頂していたことも知っていた。
でも、私は茜さんを遠くで見守るだけで、自分から彼女に会いに行くということはなかった。
私の作家活動も中年になって多少とも売れる様になり、一度、茜さんについて書きたいと思い、笠松出版の石井さんにお願いしたが、なかなか住所がわからず、結局断念したことがある。
石井さんは平謝りだったが、そのことは後悔していない。
ただ私は茜さんにお礼を言いたかった。
登山だけでなく、そこにまつわる民話や神話は、私を全く違う世界へと誘ってくれた。
自分の前世のようなものを見た時も、それはありえると言ってくれた。
私は今になり、もう一度、前世のことについて知りたくなった。
ヒマラヤにヨギマタと言われる日本女性がいると聞けば、私は会いに行った。
本当なら会えない人物だが、なぜか会ってくれた。
以前にも日本から女性が来て会ったそうだ。
直観的に、それが茜さんではないかと思った。
私はそのヨグマタからディクシャ(ヨガで言う神聖な儀式)を受けた。
そして、その時、私はあの江の島の洞穴で経験した意識の変容がまた起きた。
私は、前よりももっと、自分の人生を知ったのである。
~母の日記~
ファイルのテキストはそこで終わっていた。
AIアプリが、この後の続きを読ませないようにしてるいるのか?
とにかく母の言葉が、ありありと脳内に蘇り、まだ生きてるような錯覚をする。
母の前世とは?
ヒマラヤに行き、そのディクシャを受ければ、誰でも前世が見えるのだろうか?




