水みくじ
「洋子さん、それって、最近はやりの、水みくじアプリかもしれませんね!」
「水みくじ?あの、文字が水につけると、透けて見えて浮かび上がってくる?」
「そうそう、それ。最近、他人に見られないように日記をそれで書く人増えてるとか」
「え、でも、仮にそういうアプリで書いたとしても、なぜ私は読めるのかな?それと文章が微妙に変化したり、増えてたり」
「そういう機能もあるかもです。読み手によって文字数を変えるフィルター付きとか、隠し文字を入れておくビハインド機能とか。洋子さん、日記を読む時に、どこかファンクションキー押したりとかしませんでしたか?」
「いいえ。私、そういう機能があることも考えてなくて、普通にスクロールしていただけですから」
「じゃぁ、あれかなぁ」
「何ですか?」
「お母さまが、パソコンのカメラを使って読む人を判断して、その時の心理状態を読んで、文字を提供してゆく。かなり高度なもので、普通のパソコンで入れてる人はとても稀ですね。10年ぐらい前にアメリカの軍事用パソコンで使用されたのが初めてらしくて。数年後にはスマホでも実用できる窯しれないって聞いたことがあります」
さすが若くて詳しい。
私にはさっぱり。
というか、それって何のための機能?
母がわざわざ使う意味もわからない。
私は気を取り戻し、話題を変えた。
「そのなんていう村でしたっけ?ツエ、・・・。」
「ツェルマットですね。ミラノからほうがチューリッヒから電車で行くより近いんです。イタリアとは地続きですからね。ここは昔から環境を守るために電気自動車しか走ってはいけないとか、環境にとても配慮した街なんです。建物もどこか古くて、とても哀愁がります。マッターホルンの岩が朝焼けで真っ赤になる時は、多くの観光客が写真を撮るため起きてきます」
「ほぉ~」
私はため息が漏れた。
そんな場所に茜さんは住んでいる。
私は一刻も早く、彼女に会いたいと思った。
「茜さんがナショナルトラスト運動に関わっていてことから、恐らくツェルマットにも興味があったんだと思います。ここの環境保全は村人自身が行っているんですよ」
そっか。
茜さんは、やはり凄い。
もしかしたら、今夜、茜さんのことを強く願えば、日記に詳しく出てくるかもしれない!
水みくじアプリを入れていれば!




