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見落とした文章

夜の10時

私はパソコンを開いた。


母の日記をもう一度読む。


母が大学2年生の時、山岳女子部という、山岳部の中に、もう一つの部を立ち上げたと書いてあった。別の部ちうより、同じ山岳部の中の女子のみが参加できる活動を山岳女子部と言っていたらしい。


山岳女子部は、当時はやっていた山ガールと一線を画するために、派手な格好や有名な山ばかり登るというミーハーなことはせず、低山でもあっても、歩く距離を稼いで、高い山にはこだわらない倶楽部という目標があったようだ。これは茜さんというより、紀代さんが提案して、新入生を山へと誘う入り口として、活動したようだ。


母は、紀代と同じく2年生の先輩として、新人にアドバイスするだけでなく、時々一人で登山をしていたようだ。その時の母は、既に内向的な人ではなく、どんどん前へと進む立派な山岳女子になっていたみただ。


「母が一人で山に登るイメージなかったけど、凄いわ」


前に呼び飛ばしていたところをもう一度読む。


紀代さんが、母に変なことを言って、母が困惑している場面だ。


~母の日記より~


紀代がまた変なことを聞いてきた。


「なに?まさか、またあれ?」


「あれよ、あれ。この間、浅間山にいったじゃない?」


「うん」(浅間山の鬼押し出し谷)


「あの時、山岳ガイドさんを臨時に頼んじゃない」


私たちは浅間山に登る時、茜さんが二人で引率してきなさい!という初めてのミッションに緊張し、山岳ガイドを頼んだったのだった。


「あの人と今さ、付き合ってるの」


「え~~~!いつの間に!」


「それがさ、向こうからメアド聞いてきたのよ。またどこかでお会いした時にはガイドしますよって!」


「それって、次のお仕事の勧誘じゃないの?」


「違うわよ、この間、実は彼とデートしたの。ふふ。」


なんだ?茜さんみたいな笑いうだな。


「その時、彼が今度、プライベートでも一緒に山へのぼりませんか?って」


「で、返事したの?」


「ううん。まだ。ちょっと迷ってる。だって、山小屋一泊の二日間の登山だから」


「ちょと、ちょと!それって、うーん、どうなのかな?」


一応山岳女子としては、男子と二人で登山というのは、掟破り。


いや、そんな掟はないけど、新入生に示しがつかない。


「二人っきりというのはまずいんじゃない。なんかほら、山小屋で二人きりとかなったら」


「そこなのよ!彼は、山小屋には大勢の登山者と雑魚寝だから、そういうのないから!がはは!って笑うんだけどね。まだ私としては、まだ早いかな」


紀代も紀代だが、プライベートで彼女を誘うなんて、どういうガイドだろう?いつもそんなことしてるのか!?


「ちょっと、怒らないで。彼はいつも一人で山に登る硬派な人で、女の子を誘うのは初めてなんだって。こんな気持ち初めてだって言ってくれて・・・」


紀代、一体、どういうつもり?


ここで、日記は途切れていた。


この先、彼と紀代さんがどうなったかは書いていない。

前回読んだときに、なぜか読み飛ばしていた。


結局、その日はまた寝落ちしてしまった。


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