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母の言いたかったこと

頼もしい助っ人、佐々木加奈のおかげで私のスイスへの旅は楽しい旅行になるだろう。


茜さんのことも、母のことも、私が知らなかったことも、この旅で色々わかるに違いない。


2053年の夏もようやく終わりを告げていた。


お母さんは死ぬ直前に書いていた大学時代のこと。


もう43年前の話なのか。


私が生まれたのが、2015年。


母が大学生の頃、スマホはまだ普及していなかった。


いわゆるガラケイと言われる携帯電話がまだ主流の時代。


アナログとデジタルがまだ融合しておらず、人々はこれから来るデジタル時代に翻弄されながらも、アナログに対する郷愁もまだまだ根強かった。


佐々木加奈は、周りから昭和のオヤジみたいと聞かされたのは、後の事だ。


彼女は2028年生まれの23歳。

子供のころからボルダリングに親しんでおり、大会にも出ていて、小学生の時、日本チャンピオンになったそうだ。しかしその後、身長が伸び悩み、世界で戦える身体ではないと思い、引退。中学生の時は軟式テニスをしていたらしい。しかし、高校にロッククライミング部があり、そこに入部したことで、封印していた才能が復活。そして山岳部にも入り、念願のマッターホルへの挑戦もしたらしい。その時は天候不順で登頂をあきらめたらしい。


高校3年生の時に、同じくスイスのアイガーに初めて登頂に成功した。

その時、山小屋で世話をしてくれたのが茜さんだったらしい。


茜さんは、その道ではある程度知られていて、アイガーを選んだのも茜さんが山小屋の主人をやっているとの情報があたからだ。彼女の人一倍負けん気の強さは、茜さんも感じたらしく、初めて会った時から意気投合したそうだ。その時に、加奈という名前に懐かしさを感じると言っていたことを、今回、久々に思い出し、是非、今回の対談企画を成功したいとの思いだったとか。



私は、本当に知らない所で、母が時空を超えて、私にこの人たちを連れてきたと思った。


前に夢で見た母は、私自身にこう言ったのかもしれない。


「茜さんによろしく」


私は、母の思いを携えて、茜さんに逢える日を待っていた。


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