スイス行きのチケット
私は家に帰る前に、自分のプランをもう一度、頭の中で反芻していた。
夫のこと、子供のこと、何もかも彼に任せてしまえば、あとあと問題が起こりそう。かと言って、うちのこと頼める母もいないし。
幸い、夫には独身の妹がいた。彼女なら家も近いし子供のことも世話してくれるだろう。今までも仲良くしてきてくれたから。問題は寝泊まりまでしてくれるかどうかだわ。
今夜、聞いてみよう、それとなく。
私は疲れもあり、そそくさと子供を寝かしつけると、寝てしまった。夫には、まだスイス行きの話は黙っていた。
翌日、佐々木加奈さんから自宅に電話があった。
スイスの日取りを決めたいとのこと。
まだ旦那にも言ってないし、旦那の妹からも返事が無いので、とりあえず、いつごろか?だけ聞いておく事にした。
結局、行くのは10月あたり。チケットを取る関係で、あと2週間以内に返答が欲しいとのこと。
もし同行が不可能なら早めに教えてほしい。その場合は、私一人で行く。
と、佐々木加奈さんは言った。
少なとも義妹と連絡できないことには、私も色々難しい。ま、夫が協力的であればいいのだけど、どうも反対されそうで怖い。
そんなもやもやした日々を過ごしながら1週間が経ってしまっていた。
義妹からは連絡がこない。
そろそろ決めないと。
勇気を出して夫に言ってみた。
「私が1週間旅をしたいって、言ったらどう思う?」
どうも婉曲的な言い方になってしまう。
「え?何それ、それいいね!実は妹が10月にちょっと家に1週間明けでもいいから部屋を貸してと言ってきてて、でも家にはそんな貸す部屋ないだろ。でも君が1週間いなければ開くからウィンウィンじゃん!」
なんて軽い展開!
でも私はその話にのった。
「わかった。私、実は10月に行きたいところがあって、どうしても家を空けないと思ってたの」
「いいよ、行ってきな。子供は何とかする。妹も仲がいいから喜ぶぞ」
なんというタイミング!
なんでも妹は今、海外にいっていて、10月に一度戻る予定らしいんだけど、実家の親の所に諸事情があり戻りたくないとのこと。都内のホテルはバカ高い。兄貴の家ならなんとかなのでは?と打診してきたらしい。私に返事がなかったのは、兄に了解を求めてから返事しようと思ていたからだと。
これで、私は晴れてスイスに行ける!
茜さんに会える!
そのことで頭が一杯になっていた。




