頼もしい助っ人
笠松出版の石井さんからLINEがあった。
野口茜さんに会ったことがある社員がいたとのこと。
私は早速、その方にお会いしたいと思い、アポを取り付けた。
場所はいつもの笠松出版の入る雑居ビルの近くの喫茶店。
私が店に入ると、すでに石井さんと若い女性が座って待っていた。
「どうも初めまして。笠松出版の「山と歴史と大自然」編集部の佐々木加奈と申します」
深々とお辞儀をし、名刺を渡された。
「すいません、こちらはあいにく名刺をもっておりませんで。あれ?加奈さんのこの字、私の母の加奈と同じだわ」
「そうなんです!実は茜さんとお会いした時も、私の後輩の名前に似てるわって言われたんです!」
やはり間違いない.彼女があった茜さんは私の母の先輩だ。
「それで、洋子さん、当社としましても、加奈子さんの全集を発刊するにあたり、是非、茜さんの後書きが欲しくなりまして、この佐々木をもう一度、スイスに派遣したいと思っています。洋子さんの都合が良ければ、この佐々木に同伴してスイスへ行ってもらいたいのですが」
え?私がスイス?でも、旦那がなんというか。子供も小さいし。
「もし、ご都合がつかなければこちらも諦めます。ちなみに費用は当社が全額負担します。それだけ可南子さんの全集は、当社としても大いに力を入れているわけでして」
私は、母が物書きであることはわかっていたが、それほど有名な作家でもないと思っていたので、会社がこんなに推してくれてるとは露ほどにも思わなかった。
「私、旦那と相談します。お時間をください。後日連絡します」
私は久しぶりの海外に心を奪われていた。
問題は旦那だ。子供の世話はあの人一人で押し付けたらケンカになるに決まってる!
作戦会議よ!
私は一人作戦会議を帰宅中の電車の中で開いた。




