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地味な私が本格的な山岳部に入ってわかったこと  作者: 和 弥生
母の知られざる秘密 青春篇
4/21

植村直己とメスナーと

思ってもみなかった母の青春

母が亡くなって早、4カ月。


遺品整理している中で、ノートの中にパスワードがあり、試しにパソコンを開いたら、ドンピシャだった。


母の知らない学生時代の姿。


洋子の母は、洋子が幼い時に離婚。


母子2人でなんの身寄りもない群馬県の田舎に引っ越してきた。


父親がいないことを恨んだこともあったが、父親とは、中学生の時に会った。


向こうは再婚していて家族も出来たことで、その1回しか会ってない。


そのことが私の人生に影響したのか、高校でてからは、東京の大学に進み、その後、実家に帰る機会は非常に少なかった。それでも母は帰ってこいとは一度も言わず、私が結婚してその後、離婚しても何も言わなかった。


母の知られざる学生時代の思い出を読むにつれて、涙が出てきた。




母も昔は少女だったのだ。


青春を思いっきりぶつけた趣味があったのだ。


洋子は、また母のパソコンにあったフォルダの中にある思い出日記を読み進めた。


~母の日記より~


私は山岳部に掲げていた写真のうち、メスナー?さんは全く存じ上げなかったが、植村直己さんのとは幼い記憶の中にあり、4歳ごろ植村直己記念館が板橋区でオープンして、母に連れられ行ったのだ。


あれから14年か。


加奈子はふと多い記憶にため息をついた。


「どうしたの?加奈子ちゃん、なんかあった?」


いえ、思い出しました!14年前の4歳の時に私、近所に植村直己さんの記念館オープンに言ってたんですよ!


「へぇ~!そうだったの?」

「やっぱり、ご縁があったんだよ!」


先輩の野口健太郎が言った。


「加奈子ちゃんとは違うンんだけど、僕も偶然というか、ご縁があって、山岳に興味をもったんだよ!」


話しを聞くと、先輩が小学生の時に、野口健という人が大学在学中に七大陸最高峰の最年少登頂記録を作ったのがニュースになり、名前が似てたので、自分も大学生の時に挑戦する!と思ったらしい。


へぇ~そうなんだ!


そう言われてみれば、野口健太郎という名前、あのアルピニストに似てるわ!


「それでさ、野口健さんは高校まで悪だったらしんだけど、植村さんの本を読んで、一大決心して大学では登山に明け暮れたらしいんだよ。それでさ、僕も読んでさ、こうやって大学の山岳部にはいったわけよ!」


そっか、なんて偶然!


「あ、僕も・・・。」


西城八十男が口を開いた。


「僕は植村さん大好きで、それこそ物心ついたころからテレビにでてたから。でも、あの事故で・・・。」


事故? 事故って?

私は何も知らなかった。植村さんが遭難していたことを。


え?遭難したんですか?いつ?


「1984年・・・。」


え?先輩、生まれてた?私が1990年生まれだから、先輩って何歳?

私より、3年か4年しか上じゃないと思ってたけど。


「あ、西城先輩は4年生だけど4回だぶってるから正確には8年生!」

野口健太郎が、笑みを堪える様に答えた。


「いやぁ~、実は2浪して今8年生だから、1980年生まれです・・・。」


恥ずかしそうに頭を搔きながら答える西城。


じゃぁ、今、28歳?


「まぁ、そういうことです」


赤銅色に焼けた顔から年齢不詳という感じだったから、まさかそんなに年上だと思わなかった。


加奈子は目を丸くして驚いた。


あ、忘れてた!


先輩!頼みってなんですか?

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