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一歩前進
あ、いけない!
洋子はLINEの返事をするのを忘れて母の日記に没頭していた。
あー、もうすぐ深夜12時になる~。こんな時間に返信してまずいかなぁ。
笠松出版の石井重彦さんとまだ1度しか会ってないが、茜さんの行方を捜してくれてる唯一の人だ。
「大変夜遅くすいません。なにか手がかりがあったのですね。とても嬉しいです。実は私も母の日記を読み進めるうちに、茜さんという人物の輪郭がだんだんとはっきりしてきたところです。哲学科で歴史や文化に詳しくカナダにも一時期いた。大学時代の話ですが」
LINEの送信ボタンを押す。
すると間を置くことなく返信がくる。
「こちらこそ夜分すいませんでした。やはりそうでしたか。茜さんのルーツは大学時代にありましたね。実は、ある世界的なグループの中に、Akane Noguchi の名前があり、フィロソフィ プロフェッサーとあったのです。苗字は違いますが、哲学科だったみただし、年齢的にも茜さんの可能性大ですね。今はスイス在住のようです」
え、野口? まさかあの野口健太郎さんのことかな。
母の日記からは、まるでそんな恋人同士の気配は感じられなかったけど、もしかしたらこの後になんかあったのかも。
洋子はまだ日記を読みたかったが、時間も時間だったので、お礼の返事をして、後日、石井と逢う約束をした。




