源氏の悲劇
家が多いなぁと思ったら、電車の音が聞こえてきた。
あれ?電車?
ふと右手にお堂が現れた。奥には横須賀線の鉄橋が見える。
「あ、茜さん、このお堂・・・・。」
すっかり私たちは茜さんの博学ぶりに感心して、聞いてばかり。
「このお堂はね、岩船地蔵堂と言って、大姫の御魂を守るお地蔵さんが安置されてるの」
大姫? って誰だっけ。歴史音痴な私は、恥ずかしげもなく、また茜さんに聞いてしまった。
「源頼朝と北条政子の娘よ。悲劇のヒロイン」
悲劇のヒロイン?
「許嫁を父の命令で殺されてしまったの。その後病んでしまい、若くして亡くなった」
そういって、茜さんはお堂に向かって手を合わせた。
私たちも手を合わせた。
「茜さん、質問です!許嫁が殺されたの時、大姫は何歳だったんですか?」
紀代が聞いた。私も気になった。
「大姫7歳。許嫁は12歳。昔の人は権力の為には肉親も殺害したの」」
「大姫はすぐに亡くなったの?許嫁が殺害された後?」
「いや、その後10年以上生きた。ただひたすら彼のことを思い。
天皇家の嫁がされそうになったことで、若干20歳で亡くなってしまった。
まさに政争の道具にされた人生だったんだ」
可哀そうすぎる。
思わず涙が出そうになる。
「ま、気を取り直して、この先の源氏山公園で休憩しよ!」
茜さんはそう言ったが、なんだか急に源頼朝嫌いになってきた。
弟の義経も殺害しちゃうし!
「私、平家の末裔でよかった!教科書では源氏が武士の時代を開いたとかなんとかで、立派そうに書いてあるけど、なんか平家の方が優しい気がする!」
確かに紀代の言う通りだ。
源氏が3代しか続かなかった理由が分かったような気がした。
大姫の悲しみがお堂を通して伝わってきた。
お堂を右に折れると、横須賀線が見えてきた。
その線路の下をくぐり、しばらく歩くと、
住宅街が一変した!
また切り通しと呼ばれる難所にやってきたのだ。
え?ちょっと険しすぎない?
足がもつかしら!
可南子たちはこの難所で初めて登山という試練に立ち向かうことになる。




