いざ、鎌倉へ!
書類に目を通し、洋子はふっとため息をついた。
私って何やってるんだろう?
自分がここまで母の痕跡を追い求めてるのは何か意味がるのだろうか?
あれから1週間たった。
しかし子育てや夕飯の献立やら考えていたら、母の日記をほとんど読んでいなかった。
でも、少し落ちつたのか、また母のことを知りたいと言う欲求が芽生える。
子供たちを学校と幼稚園に送ったあとの一人だけの時間。
再び、洋子は、母の日記を読み始めた。
~加奈子の日記より~
2009年4月24日
昨日のことだ。
「加奈子ちゃん、紀代ちゃん、ねぇ、今週末暇かな?」
「私暇です!バイトもないし!」
私はまだバイトが見つからないので、
「おおいに暇です!」
と答えた。
「よかったぁ~。ほら山岳部とは言っても、普段は部室で暇つぶしてるだけだし、
体力作りは自主練で!と決まってるし、GWは山は混雑してるから
行きたくないのよね。本格的な登山パーティはまだ早いし、も少し、
初心者が登れる低い山なら、近場でいくらでもあるから、
女子3人だけで行かない?」
「行きます!行きます!茜さんとならどこまでも!」
私たち二人の声がハモった。
なぜか、こういう時は紀代と話が合う。
「北鎌倉~江の島コースなんだけど、どう?」
「わぁ~、なんか登山というより、ピクニックみたい!」
紀代が言う通り、山というより、海? あれ?登る山なんて鎌倉にあったかしら?
「今回は高低差はないけど、距離はそれなりにあるわよ。まぁ、実際に歩かないとわからないし、あなたたちの体力づくりに一貫として、部長(西城)に私から言っておくわ。
「なんかわくわくしてきた~!」
「それと歴史の勉強にもなる場所なんで、予習してきてね!」
「予習ですか?私、九州の田舎もんで、鎌倉は初めてです!
勉強します!1192作ろう!鎌倉幕府!の鎌倉ですよね!」
私は歴女を自認しているが、実は鎌倉時代とか室町時代はあんまりわからない。
「そうだなぁ、あと、日本の山という山には神社仏閣があるの。
日本の登山=巡礼という側面もあるから、二人には、まず
鎌倉の歴史を知ってもらい、足で実感してもらいたいの!」
「わかりました!加奈子、図書室行こう!」
あとで知ったが、茜さんはただ山に登るのでなく、そこに生きてきた人々、
自然を肌で感じながら歩くことが、最大の面白さであり登山であるという
哲学を持っていた女性だった。




