会見から一夜…罵声が?
エルヴィス王国のシラコ国王が世界記者クラブで行った会見から一夜が明けた。
その内容が報道されるや否や、各国から厳しい非難の声が次々と上がり、国際社会は再び騒然とした。
「謝罪一つない会見に、国際社会は激怒しています」とモリヒナさんが朝のニュースで伝え、視聴者からも強い関心が寄せられている。
俺たち報道局は、街の声を聞くための街録を行うことになり、さらにエルダリア王国としての反応を伺うため、王宮へ向かうこととなった。
世界中の国々から、シラコ国王の会見に対する厳しいコメントが相次いだ。
・アルシェン共和国(エルヴィス王国の隣国)
「エルヴィス王国は、今回の行為に対して誠意を見せていない。防衛大臣一人に責任を押し付けて終わる問題ではない」
・ゼントリカ帝国(大国の一つ)
「謝罪がないだけでなく、国際社会への挑発と受け取れる発言が含まれている。これでは隣国との関係改善は望めない」
・ヴァルマ連邦(中立国)
「エルヴィス王国の態度は、平和への脅威となりかねない。我々は国際社会の秩序を守るために断固とした行動を支持する」
さらに、エルダリア王国と親しい諸国からも辛辣な声が聞かれた。
・ノルヴァーナ王国
「防衛大臣を罷免したから終わりだという考えは甘すぎる。シラコ国王自身の無責任な姿勢が問題の本質だ」
取材班は、街録のためにエルダリア王国の中心部に向かった。広場や商店街で、会見についての市民の声を拾うことにした。
サラが通りすがりの若い男性に尋ねる。
「昨日のシラコ国王の会見について、どう思いますか?」
「正直、驚きましたね。国としての責任を全く感じてないように見えました。謝罪しないなんて、あり得ないですよ」と男性は憤慨して答える。
次に中年の女性が口を開いた。
「私はもう少し誠実な態度を期待してましたけど、結局、誰かに責任を押し付けて終わらせようとしてるだけですね」
一方で、こんな声もあった。
「まあ、隣国がどうなろうと知ったこっちゃない。王国が安全ならそれでいいよ」と冷めた様子の若者もいた。
街録を終えた俺たちは、エルダリア王国の立場を確認するため、王宮へ向かった。会見後の国王カイバ三世がどんな反応を示すか、多くの記者が詰めかけていた。
王宮の広報官がまず声明を発表した。
「我が国としては、シラコ国王の会見内容に大変遺憾の意を表します。我々は引き続き、エルヴィス王国に真摯な謝罪と適切な対応を求めていきます」
さらに、広報官が記者たちの質問に答える形で、王国の姿勢を明確にした。
「国際社会の動向も見据えつつ、平和的な解決を目指して努力を続けます。ただし、今後もエルヴィス王国が誠意を見せない場合、より強い措置を検討する必要があるでしょう」
夜の放送では、この一連の動きを報じた。
モリヒナさんが画面に向かって語る。
「シラコ国王の会見を受け、各国から非難の声が相次いでいます。エルダリア王国としても、引き続きエルヴィス王国に対して責任を追及する方針です。一方、エルヴィス王国側が今後どのような対応を取るかが、国際社会の注目を集めています」
映像には、各国のコメント、市民の声、そして王宮の広報官の声明が映し出され、視聴者に対して情報が丁寧に伝えられた。
放送が終わり、局内の反省会でミカサデスクが言った。
「今日の特集は、隣国の態度を改めて浮き彫りにする内容だったわね。視聴者にも伝わったと思うわ」
「ただ、これから隣国がどう動くか次第ですね。もう少しで真実に近づける気がします」とサラが言った。
「まあ、俺たちはどんな状況でも真実を伝えるだけだな」と俺は肩をすくめた。
こうして、隣国に関する報道はまた一歩進んだが、この問題はまだ終わらない。エルヴィス王国が次にどんな動きを見せるのか、注視する日々が続きそうだ――。