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真実を報道すべき…?

国境での取材を終え、王都に戻った俺たちはすぐに報道局で緊急会議に呼び出された。


今回の取材で撮影した映像と収集した情報が、王国全体にとって非常に重要なものだったからだ。


「岩木、セキさん、すぐに映像と資料をまとめて編集室に回せ。今回の報道は慎重に進めないといけない」とミカサデスクが声を張り上げる。


「了解です!」と答えながら、俺はカメラの中のデータを急いで確認し、編集チームに渡した。


「でも、これ…大丈夫なんですかね? 下手に報道すると、国民がパニックになるんじゃないですか?」とセキさんが不安げに尋ねる。


「確かに。それに、隣国との関係がさらに悪化する可能性もあるよな」と俺も同意する。


しかし、ミカサデスクは一切の迷いを見せずに言い切った。

「だからこそ、正確で冷静な報道が必要なのよ。この真実を隠すことはできないわ」


会議室では、編集チームが映像と収集した資料を確認していた。


モニターに映し出されるのは、異形の兵士たちの姿や、森の中での激しい戦闘、そして隣国の技術を示す文書だ。


「これが隣国の新型兵器か…。まるで魔物と人間を融合させたようだ」と編集チーフが眉をひそめる。


「しかも、彼らは普通の魔法攻撃では止まらなかった。兵士たちが特殊な魔法具を使わなければ、突破されていたかもしれません」とセキさんが補足する。


その言葉に、会議室の空気がさらに重くなる。


「これをそのまま放送すれば、国民の不安を煽るだけだろう」と誰かが呟く。


「だからこそ、どの情報をどのように伝えるかを精査する必要がある」とミカサデスクが一同を見渡した。


「まず、現地での戦闘の映像を流します。ただし、過激すぎる部分はカットし、兵士たちの奮戦を中心に編集してください」とミカサデスクが指示を出す。


「異形の兵士たちの姿も映すべきですよね? ただ、視聴者にショックを与えすぎないように工夫が必要です」とサラが提案する。


「問題は、隣国の関与をどこまで伝えるかだ」とバキさんが言った。


「隣国が改良型魔導兵器を開発していることは確かだが、証拠として文書だけでは弱い。隣国が公式に認めるまで慎重に扱うべきだ」と、マキさんが冷静に意見を述べる。


「それもそうね…。今回は『国境での新たな脅威』という形で、具体的な隣国の名前は出さないようにしましょう」とミカサデスクが決断を下した。


夜7時、「アルダNEWS」が始まる。


メインキャスターのモリヒナさんが緊張した面持ちで番組を進行する。


「本日は、国境地帯で発生した新たな脅威についてお伝えします。現地で取材を行った岩木記者とセキカメラマンの映像を交えながら、王国軍の対応を詳しく見ていきます」


画面には、国境地帯での戦闘の様子が流れ、兵士たちが奮闘する姿が映し出される。異形の兵士たちの姿も短いカットで紹介され、その異様さが視聴者に伝わるようになっていた。


「これらの兵士は通常の人間ではなく、特殊な技術を用いて改造されたものと見られています。詳細については、引き続き調査を進める必要があります」とモリヒナさんが解説を加える。


次に、現地での住民の声が流れる。

「兵士の皆さんが守ってくれるので安心していますが、これ以上の戦闘は避けてほしいです」


シラユ隊長のインタビューも放送され、王国軍の現状や今後の対応について語られる。

「王国軍は今後も国境地帯の防衛を強化し、住民の安全を最優先に行動します。この新たな脅威についても、引き続き調査を進めます」


放送が終わると、報道局のフロアではスタッフたちが集まり、番組の反応を確認していた。


「今回の放送、視聴者からの反響がすごいですね。『王国軍の努力を評価する声』や『もっと詳細な情報を知りたい』という意見が多いです」と、サラが報告する。


「岩木、セキ、お前たちが撮ってきた映像が今回の報道の中心だった。よくやったな」とミカサデスクが俺たちに声をかけた。


「いや、現地で戦っていた兵士たちのおかげですよ」と俺は謙遜しながら答える。


「でも、これで終わりじゃない。隣国がこれ以上動きを見せない保証はないんだ」とバキさんが重い声で言う。


「次の動きが来る前に、しっかり準備しておきましょう」とミカサデスクが締めくくった。

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