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国境取材…!

国境防衛の強化が発表された定例会見から数日。俺は国境地帯の現場取材を任され、一人でカメラマンのセキさんと共にこの地にやってきた。


未知の場所への緊張感と取材への責任感を抱えつつ、防衛政策の最前線でどんな現実が待ち受けているのか、足を踏み入れた。


馬車を降りた俺たちを迎えたのは、広大な草原とその先にそびえる堅牢な防壁だった。その防壁は最近強化されたものらしく、幾つかの見張り台が新設され、兵士たちが目を光らせていた。


「これが国境地帯か…迫力ありますね」と俺が呟くと、カメラを構えたセキさんが軽く頷く。


「確かに。こういうところを見れば、防衛政策がただの言葉じゃないって分かるな。防壁の細部を撮っておく」


周囲を見渡すと、防壁の内側には兵士たちの野営地が広がり、簡易的な訓練場や武器庫も備えられていた。


防壁の中央付近にある指揮所で、今回の取材を許可してくれたシラユ隊長と会った。彼は厳しい表情の中にも、どこか冷静さを漂わせる王国軍のベテランだ。


「防衛政策が発表されたからといって、すべてが急に変わるわけじゃない。この場所は常に緊張の中にある」と隊長は語る。


「具体的にはどのような問題が発生しているんですか?」と俺が尋ねると、隊長は手元の地図を示した。


「国境地帯には小規模な不法越境や、不審な足跡が頻繁に報告されている。我々は常に警戒を怠らず、見回りを強化しているところだ。だが、隣国との協議が進まない限り、これが続くだろうな」


俺はセキさんに目配せし、指揮所の様子や地図をカメラで撮影してもらった。


午後からは実際のパトロールに同行させてもらうことになった。兵士たちと共に草原を歩きながら、防壁の外側まで足を運ぶ。


「岩木、あそこを見ろ」とセキさんが指差した先には、細い小道が伸び、周囲の草むらには足跡が続いていた。


「これ、完全に人間の足跡ですね」と俺が声を上げると、兵士の一人が答える。


「最近、この付近で頻繁に見つかるんです。不法越境者か、それとも偵察者か…いずれにせよ、緊張は高まるばかりだ」


「これも防衛政策が急務となった理由の一つですか?」と俺が尋ねると、兵士は頷いた。


「その通りだ。我々は見回りを強化しているが、全エリアを常に監視するのは難しい。だからこそ、防衛体制を強化する必要があるんだ」


パトロールの最中、セキさんがカメラを構える横で、俺もリポートを録画した。


「こちら、王国の国境地帯。防壁の外には不審な足跡が続き、兵士たちは警戒を強めています。国境を守るという仕事は想像以上に困難であり、その裏には日々の努力と緊張が続いていることが分かります」


さらに、防壁や見張り台をバックにして続けた。「防衛体制の強化は確実に進められていますが、それでも完全な安全を確保するには多くの課題が残されています。この現場で何が起きているのか、私たちは引き続き取材を続けます」


取材した映像やリポートはその日のうちに編集し、魔法通信を使って局に送ることになった。


「これで本当に局まで届くんですか?」と俺がセキさんに尋ねると、彼は魔法通信端末を操作しながら答えた。


「心配するな。データの転送は確実だ。何より、こうやって現場からリアルタイムで情報を届けられるのが、魔法通信の強みだ」


転送が完了したことを確認すると、俺はホッと息をついた。


「これで今日の取材はひとまず成功ですね。でも、まだまだ終わりじゃない」


「そうだな。明日はもう少し広いエリアを見回るぞ」とセキさんが笑った。


夜の放送では、魔法通信で送った素材を使い、国境の様子が放送された。


モリヒナさんが進行する。「国境地帯での防衛体制が強化される中、現場ではどのような課題があるのか。現地取材を通じて、その実態をお伝えします」


映像には、防壁や見張り台の様子、兵士たちの緊張した表情、そして俺のリポートが流れる。


「現場では、不審な足跡や不法越境者の増加が報告されています。国境防衛の最前線で何が起きているのか、今後も注視が必要です」とサラさんが解説を加えた。


放送が終わった後も、俺たちは国境地帯に残り、さらに取材を続けることになった。


「岩木、今回の取材、まだまだ広げられそうだぞ」とセキさんが地図を広げながら言う。


「ええ、明日はもっと奥のエリアを見に行きましょう」と俺は答えた。

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