ギルドの緊急会見…!
未知の巨大な魔物が森を支配しているという情報が広まり、街全体に緊張感が走った。
その魔物は「新たな森の主」として、森全体の生態系を支配しつつある。
その事態を重く見たギルドは、王国や冒険者たちに向けて緊急会見を開くことを決定した。この会見では討伐の可否や計画の方向性について意見を募り、さらに魔物の特性についても分析が行われることになった。俺たち報道局もこの会見を取材し、緊迫した場面を伝える役目を担った。
ギルド会館の大広間は、冒険者や関係者で埋め尽くされていた。その中には、以前森で出会ったレノンさんの姿も見える。俺はカメラを構えながら、会場全体の様子を撮影していた。
壇上には、ギルドマスターのタロウさんが立ち、真剣な表情で挨拶を始めた。
「本日は、新たに確認された魔物――通称『新たな森の主』について話し合うため、この場を設けました。まずは、これまでに得られた情報を共有します」
タロウさんの声が響く中、ギルドのスタッフが森の地図をスクリーンに映し出し、魔物の確認地点やその影響範囲を説明した。
次に登壇したのはリオ博士だった。ギルドから招かれた彼は、これまでの調査結果を基に、魔物の特性について分析を始めた。
「この魔物は非常に特殊です。全身を覆う黒い鱗は驚異的な耐久性を持ち、通常の武器では傷をつけるのは難しいでしょう。さらに、口から吐き出す液体には強い腐食性があり、これが周囲の魔物を駆逐する原因となっていると考えられます」
博士の言葉に会場がざわつく。
「さらに厄介なのは、この魔物が非常に高い知能を持っている可能性があるという点です。森全体を支配下に置くような行動は、単なる捕食者のそれではありません」
「高い知能…」と俺はカメラを回しながら呟いた。
「これが事実なら、単なる力任せの討伐ではなく、慎重な作戦が必要になる」と博士は続ける。
タロウさんは会場に向かって問いかけた。「この魔物を放置することは、街や王国にとって大きな脅威となります。そこで、討伐に向けた計画を進めるべきか、皆さんの意見を伺いたい」
最前列に座っていた冒険者の一人が手を挙げた。
「俺は賛成だ。こんな魔物を放置しておけば、いずれ街に被害が及ぶのは明らかだ!」
別の冒険者が反論する。「いや、今の情報だけで突っ込むのは危険すぎる。この魔物についてもっと調べてから動くべきだろう」
意見は賛否両論に分かれ、会場全体が熱を帯びていく。
その時、レノンさんが立ち上がった。
「討伐には賛成だ。ただし、準備を怠らず、確実な作戦を立てた上で行動すべきだと思う。無謀に突っ込んでも、犠牲が増えるだけだからな」
彼の落ち着いた意見に、多くの冒険者が頷いていた。
最終的に、タロウさんが討伐計画を進める方針を発表した。
「皆さんの意見を踏まえ、この魔物を討伐するための計画を立てることに決定しました。ただし、無謀な行動は避けます。リオ博士の協力を得て、この魔物の特性をさらに調査し、確実に討伐できる準備を整えます」
会場から拍手が起こる中、タロウさんは力強く続けた。「この討伐はギルドだけでなく、街や王国全体にとって重要な試練です。一丸となって乗り越えましょう!」
夜の放送では、この会見の模様を特集として放送した。
モリヒナさんが冷静に進行する。「本日、ギルドが緊急会見を開き、近隣の森に現れた『新たな森の主』と呼ばれる魔物の討伐計画を進める方針を発表しました」
続けて、サラさんが解説する。「この魔物はスライム消失の原因と考えられており、森全体の生態系に大きな影響を及ぼしています。また、リオ博士によると、この魔物は高い知能を持ち、通常の討伐方法では対処が難しいとのことです」
会見中の映像や博士の解説を交えながら、視聴者にも事態の深刻さを伝える内容となった。
放送終了後、俺たちは今後の取材方針を話し合っていた。
「討伐計画が本格化すれば、俺たちも現場に行くことになるだろうな」と俺が呟くと、サラさんが頷いた。
「でも、無謀な計画にはならないように、私たちも情報をしっかり伝えなきゃね」
「その通りだ。これからが記者としての腕の見せ所だな」と、俺はカメラバッグを肩に掛けた。
森の主との戦い。その行方は、街と王国の未来を左右するものとなるだろう――。