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次の目標…?

10年前の事件を特集で報じた翌日、報道局に一通の封筒が届いた。黒い封筒には「影の意志を継ぐ者より」と不気味な文字が書かれており、中には「これ以上余計なことをするな」という警告文とともに、俺たちの取材中の写真が同封されていた。


「何だこれ…」と、俺はその場で固まった。


「また厄介ごとが始まったようね」と、モリヒナさんが冷静な声を漏らす。


バキさんが封筒を手に取り、内容をじっくりと確認する。「これはただの脅迫じゃないな。灰翼の残党たちが次の動きを始めている可能性が高い」


「つまり、俺たちは狙われているってことですか?」


「その可能性もあるが、それ以上に何かを隠そうとしているのかもしれないな」とバキさんが険しい顔を見せた。


すぐに報道局から王国軍に連絡を入れ、シラユ隊長に状況を説明した。彼もこの脅迫状を見て、思わず眉をひそめる。


「影の意志を継ぐ者か…。これは灰翼の残党がまだ新たな計画を進めている証拠だな。だが、お前たちを脅迫してきたのはなぜだろう」


「やっぱり、10年前の事件を報じたことが原因なんでしょうか?」と俺が尋ねると、シラユ隊長は少し考え込んだ後、口を開いた。


「それもあるだろうが、恐らく今回の報道が奴らの行動に影響を与えたんだろう。これ以上掘り下げられたくない事情があるに違いない」


その時、シラユ隊長は新たな情報を俺たちに伝えた。


「昨夜、灰翼の残党が街の武器庫を襲撃し、大量の武器と物資を持ち去ったらしい。この事件と関係があるかもしれない」


「また大事になりそうですね…」と俺が呟くと、バキさんが肩を叩いてきた。


「泣き言言うな。これが記者の仕事だろ?」


俺は苦笑しながらカメラバッグを手に取った。


俺とサラさん、そして王国軍班のマキさんが街の現場に向かい、灰翼の足跡を追うことになった。


まずは襲撃された武器庫を訪れた。現場は王国軍によって厳重に封鎖されており、中には割れた扉や散乱した武器が残されていた。


「奴ら、手際よく動いたみたいね」とサラさんが周囲を見回す。


現場の兵士に話を聞くと、襲撃は夜明け前に行われ、犯人たちは一切の痕跡を残さず逃走したという。


「これだけ大胆なことをしておいて、痕跡を残さないなんて…。灰翼の連中、思った以上に訓練されてるんですね」と俺が言うと、マキさんが小声で返してきた。


「10年前に王国軍の精鋭だった奴らだぞ。今もその腕は衰えてないってことだ」


武器庫を調べても決定的な手掛かりが得られなかった俺たちは、再び情報屋のグレイに連絡を取った。


「またお前たちか。今度は何の話だ?」と、グレイは相変わらずのぶっきらぼうな態度だ。


「灰翼の残党が動いてるらしい。武器庫を襲撃したって話を聞いてるだろ?」とバキさんがストレートに切り込むと、グレイは少し考えた後、低い声で答えた。


「確かに、灰翼の連中が動いてるって噂はある。どうやら次の標的は街の中心にある『王国評議会』だそうだ」


「王国評議会?」


「そうだ。評議会の重要な文書を狙っているらしい。それが奴らにとって何を意味するのかはわからないがな」


この情報を得た俺たちは、すぐに王国軍と連携し、評議会周辺の警備が強化されることになった。


報道局に戻り、俺たちは今回の取材で得た情報を夜の「アルダNEWS」で放送する準備を整えた。


モリヒナさんが慎重な口調で進行する。「昨夜、街の武器庫が襲撃され、多数の武器と物資が持ち去られる事件が発生しました。この事件は、10年前に解散した部隊『灰翼』の残党によるものと見られています」


続けてサラさんがコメントを入れる。「さらに、次の標的として王国評議会が狙われている可能性が浮上しています。王国全体にとって重大な危機であり、早急な対応が求められます」


視聴者に危機感を伝えつつ、冷静に状況を分析する内容となった。


放送が終わり、局内の空気が少し重くなった。


「灰翼は明らかに次の一手を打とうとしてる。俺たちも気を抜くな」とバキさんが念を押す。


「でも、次はどこまで踏み込めるんでしょうね」とサラさんが呟く。


「わからない。でも、俺たちが伝えなきゃならないことがある限り、前に進むしかない」と、俺はカメラバッグを手にしながら答えた。

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