観光客によるトラブル…!
観光客が急増し、街全体が活気づいている一方で、住民たちからは「観光客によるトラブルが増えている」という声が上がっていた。報道局では、観光客増加の影響を詳しく調べるため、取材チームとして俺がカメラを担当し、サラさんとともに街へ向かうことになった。
トラブルの内容はマナー違反や交通の混乱、小さな商店での不払いなど、街に住む人たちにとって無視できない問題が増えているようだ。
広場に到着すると、そこには観光客で賑わう様子が広がっていた。人々は写真を撮ったり、屋台で食べ物を買ったりと楽しそうだが、ふと見渡すと、その影で地元の住民たちが少し困った顔をしているのが見えた。
「じゃあ、まず地元の人に話を聞いてみましょう!」と、サラさんが元気よく提案する。
俺はカメラを構え、サラさんがインタビューする様子を映し始めた。
「観光客が増えてから、どんな変化を感じていますか?」とサラさんが住民に質問する。
「観光客が街に来てくれるのは嬉しいんだけど、この間ゴミをそのまま捨てていく人がいてね…。あれを見ると、少し悲しくなるわ」と中年の女性が答える。
「なるほど、ゴミの問題ですか。それは確かに住民の方々にとってストレスになりますね」とサラさんが相槌を打つ。
カメラ越しに見えるサラさんの表情は、真剣そのものだ。観光客の賑わいと住民の困惑、その両方を伝えようとしているのがわかった。
次に訪れたのは、観光客がよく訪れるという商店街だ。ここでも住民たちの意見を聞いていく。
「観光客が増えたのはありがたいけどね、商品を触りっぱなしで戻さない人が多くて困るんだよ。中には壊したり汚したりしても、そのままにする人もいるし…」
「お金を払わないままどこかへ行っちゃう人もいるよ。先週もそういうことがあったんだ。観光客が増えるのはいいけど、こういうのが続くと、もう勘弁してほしいって思うね」
サラさんは慎重に言葉を選びながら、「せっかく観光客が来てくれるのに、そんなトラブルがあるのは悲しいですね。商店街の皆さんにとっても大きな負担になりそうです」とコメントしていた。
「地元の人たちの声を聞いたら、次は観光客の意見も聞いてみようか」と、サラさんが提案する。
観光客に話を聞くと、意外なことがわかった。
「道に迷ったり、どこで何をすればいいのかわからないことが多いですね。案内板とかガイドがもっとあれば助かるんですけど」
「お店のルールがちょっと分かりにくい時があって…。つい失礼なことをしてしまったのかもしれません」
観光客の無意識な行動が、地元の人々に迷惑をかけてしまうケースも少なくないようだった。
取材を終えて報道局に戻ると、王国班のバキさんが「王宮からの情報」を教えてくれた。
「観光客増加に対応するため、観光管理局では新しいルールや案内所の設置を進めているらしい。それに加えて、王国軍の巡回を増やして治安維持にも力を入れるようだ」
「なるほど…。でも、それでトラブルが全部解決するわけじゃないですよね」と俺が言うと、バキさんは頷いた。
「そうだ。観光客も住民も、お互いに気を使う必要がある。案内所を設置するだけじゃなく、教育やガイドラインがもっと普及すれば、状況は良くなるかもしれないな」
王国としても、観光客増加に伴う問題を重要視していることがわかった。
夜の「アルダNEWS」で、この取材の内容を放送した。
サラさんが街での取材結果をリポートし、俺が撮影した映像が街の現状をわかりやすく伝える役割を果たした。
放送後、報道局内でも「観光の課題がよくわかった」「こういう特集が市民にとって大事だ」という声が多く上がりました。
こうして、観光客急増によるトラブルの現状を伝える特集は、無事に成功を収めた。観光客と街の住民、そして王国全体がどのように共存していけるのか――それを考え続けることが今後の課題だと感じた一日だった。