休日と異世界グルメと報道…?
今日は久しぶりの休日。何をしようか迷った結果、カレンさんのお店に行くことにした。
あの店は、異世界に来て以来、俺にとって馴染み深い場所だ。美味しい料理とカレンさんの温かいおもてなしが楽しめるから、気軽に立ち寄れる。
店に入ると、カレンさんがいつものように笑顔で迎えてくれた。
「いらっしゃい、岩木さん!今日は新しいメニューの試作を出してみようと思ってたのよ。よかったら試してみない?」
「新メニューですか?それは楽しみですね」
カレンさんが勧めてくれたのは、「ガーラフルーツのタルト」と「フィローナリーフの包み焼き」。どちらもこの街ならではの特産品を使った創作料理だ。ガーラフルーツは爽やかな甘酸っぱさが特徴の果物で、タルトにすればさっぱりとしたデザートになるらしい。一方、フィローナリーフの包み焼きは香草の風味を活かしたメインディッシュで、香ばしい香りが食欲をそそる。
「最近、観光客も増えてるからね。この街らしい食材を活かして、もっと楽しんでもらえるような料理を考えてるの」
料理にかける情熱を語るカレンさんに、俺はいつもながら感心する。彼女の料理が地元の人たちにも観光客にも人気な理由がよくわかる。
料理を待っていると、店の扉が開き、見慣れた顔が入ってきた。モリヒナさんとサラさんだ。
「あら、岩木くんも来てたのね」と、モリヒナさんが微笑む。
「わぁ、偶然だね!今日は何してたの?」と、サラさんが元気よく話しかけてくる。
「休みだから、ちょっと美味しいものでも食べようと思って。二人も?」
「そうそう。モリヒナさんに誘われてね!」とサラさん。
「カレンさんのお店には前から来たかったのよ」と、モリヒナさんが控えめに付け加える。
せっかくなので、一緒に食事をすることにした。三人でテーブルにつき、カレンさんが運んでくる料理を待つ。
ガーラフルーツのタルトが運ばれてくると、甘酸っぱい香りが広がる。一口食べると、フルーツの爽やかさとサクサクの生地が絶妙だった。
「これ、すごく美味しいね!デザートとしてぴったりだよ」と俺が感想を言うと、サラさんも頷いた。
「うん、甘さがちょうど良いし、軽くて食べやすいね!」
「お茶と一緒に出したら観光客にも喜ばれそうだわ」と、モリヒナさんも冷静に評価する。
続いてフィローナリーフの包み焼き。香草の香りが漂い、中には柔らかい肉とたっぷりの野菜が詰まっている。
「これは絶品だね!香草の香りが良いし、しっかり満足感もある」と、俺が感嘆すると、サラさんが興奮気味に同意する。
「カレンさん、これすごいよ!私、これ全部食べられちゃいそう!」
「本当に美味しいわね。観光客だけじゃなく、地元の人たちも楽しめそう」とモリヒナさんが言うと、カレンさんは少し照れながら答えた。
「ありがとう。色々試行錯誤して、やっと形になったの。観光客も地元の人も、みんなに楽しんでもらえる料理を目指してるのよ」
彼女の真摯な言葉に、俺たちは改めて感心する。
ふと考えながら料理を楽しんでいると、俺は一つのアイデアを思いついた。
「カレンさん、この料理を『アルダNEWS』で紹介しませんか?街の特産品を活かした料理として特集を組んでみたいんです」
「え、本当に?そんなことができるの?」と、カレンさんが驚いた顔をする。
「もちろんよ。特に夜の部で取り上げたら、観光客や遠くにいる人にも良いアピールになると思う」と、モリヒナさんが賛同してくれる。
「確かに、こういう地元の魅力を紹介するのは大事だよね!」と、サラさんも笑顔で同意する。
こうして、カレンさんのお店を取材する計画が立ち上がった。次回の特集として、彼女の料理が紹介されることになり、俺たちはその準備に向けて動き出す。
店を出て帰り道、サラさんが笑いながら話しかけてくる。
「今日は本当に楽しかったね!やっぱり美味しい料理があると元気が出るよね」
「本当に。こういう時間があると、また仕事も頑張れる気がするわ」と、モリヒナさんも微笑む。
俺も二人の言葉に同意しながら、心が少し軽くなった気がした。この街での暮らしに馴染んでいく自分を少しだけ感じる。
「次は取材の準備、頑張らないとですね」
「そうね。でも、その前にもう一回カレンさんの料理を食べに行きたいくらいだわ」と、モリヒナさんが冗談を言う。
こうして穏やかな休日は、俺たち三人の心を温める素敵なひとときとなった。