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あの記者たちが帰ってきた…!

ギルドマスター選挙の特番が無事に終わり、今日は報道局の日常に戻った。だが、今日は少し特別な日でもある。


しばらく長期休暇を取っていた軍隊班の担当記者マキさんが出社する日だからだ。


そして、報道局のベテラン遊軍記者であるサワさんとも、ようやく顔を合わせることになっている。二人とも報道局のメンバーではあるが、俺にとっては今日が初めての対面となる。


朝のフロアに入ると、すでにサラさんがマキさんと話しているのが目に入った。


マキさんは白と灰色の羽が特徴的な鳥人で、鋭い眼差しと冷静な表情が印象的だ。軍隊班の担当として、王国の軍隊や防衛に関する情報を主に取材しているが、長い休みを取っていたため、俺にとっては初めての対面となる。


「お、岩木くん!こっちがマキさんだよ。軍隊班の情報を一手に引き受けてる人なんだ」とサラさんが紹介してくれた。


「よろしく頼む。軍隊班担当のマキだ。最近まで休暇をもらっていて、今日から復帰する」


マキさんは冷静にそう言うと、翼を少し広げて挨拶してくれた。王国の軍に関する情報は機密性が高いが、彼はそれを扱うだけの経験と信頼があるベテラン記者だ。


「よろしくお願いします。軍隊の情報を担当しているなんて、すごいですね」


「まあ、それなりに難しいが、やりがいはある。俺がいない間に大きな動きがあったら教えてくれ」


少し冷静すぎる印象もあるが、仕事への誇りが感じられる。俺も同じ報道局の一員として、彼と一緒に仕事ができることが嬉しい。


午後になり、フロアに今度は大柄なサイの獣人が入ってきた。


がっしりした体格に立派な角を持つ彼が、遊軍のベテラン記者サワさんだ。普段は城外の出来事を取材することが多く、危険な地域でのニュースも担当している。今日は彼とようやく顔を合わせることになった。


「お、あんたが新入りか?俺はサワ。よろしく頼むぜ!」


彼は豪快に笑いながら手を差し出してきた。その手を握ると、強い握力が伝わり、さすが現場で鍛えられた記者だと思った。


「こちらこそ、よろしくお願いします。サワさんは城外担当って聞いてますが、どんな感じなんですか?」


「城外は俺の縄張りみたいなもんだ。森でも荒野でも危険な場所なら任せとけ。面白いネタを手に入れるためならどこへでも行くさ」


彼は自分の役割に誇りを持っているのが伝わってきて、堂々としている。普段はフロアにいないことも多いが、その分、城外の動向については彼が頼りにされているようだ。


二人との挨拶が終わった後、改めて報道局の番組についても紹介されることになった。


俺たちが担当している「アルダNEWS」は、王国の最新情報を市民に届ける報道番組で、一日に3回放送されている。


午前の部:8時〜9時 担当アナウンサー:レイラさん

昼の部:12時〜13時 担当アナウンサー:レイラさん

夜の部:19時〜20時 担当アナウンサー:モリヒナさん


「アルダNEWS」では、時間帯によって異なる内容が放送されている。午前の部は市民が出勤前に確認できる王国の最新ニュース、昼の部では生活情報や街の話題、夜の部は王国の動向や重要な特集が多く組まれる。特に夜の部は視聴者の注目度が高く、モリヒナさんが信頼感のある進行で届けるため、視聴者からも信頼されている。


この番組には多くの記者が関わっており、メインキャスターのレイラさんとモリヒナさんがそれぞれの時間帯で担当している。モリヒナさんの夜の部は特に重要で、報道局全体でも特集に力を入れることが多い。


「アルダNEWSは、王国全体の情報を届ける重要な番組だ。岩木くんも引き続き、気を引き締めていい仕事を頼むよ」とミカサデスクに声をかけられ、俺も改めてこの番組の重要性を感じる。


マキさんとサワさんが復帰したことで、報道局のチームは再び万全の体制となった。軍隊班のマキさんがいることで王国の防衛に関する情報がより正確に伝えられ、サワさんがいることで城外の最新情報や危険地域のニュースも期待できる。


それぞれの役割を持つプロフェッショナルが揃い、今後も「アルダNEWS」を通じて王国のあらゆる情報を届けるために協力していく。俺も頼もしい仲間たちと一緒に、王国の報道に貢献していきたいと強く思った。


ところが、ふと気づくとミカサデスクがじっとこちらを見つめている。


「岩木さん、そういえば今日は何してたんだっけ?」


その一言にギクリとし、さすがに言い訳も思いつかない。内心で「しまった」と思いながらも、何とかごまかそうとするが、デスクの目は鋭いままだ。


「あ、えっと…その…」


俺はついに観念して、「すみません、ちょっと用事がありまして!」と逃げるようにフロアを後にした。デスクの視線が背中に突き刺さるようで、しばらく振り返ることもできなかった。

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