表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/140

ギルドマスター選挙当日、当選するのは…?

ついにギルドマスター選挙の投票日がやってきた。


ギルド内や街のあちこちでこの選挙に注目が集まり、報道局も朝の投票開始から夜の開票結果発表までリアルタイムで伝える特別番組を編成した。


今回はメインキャスターをモリヒナさんが務めることに。彼女の落ち着いた進行で、視聴者は選挙の緊張感を一層感じ取るだろう。


ミカサデスクが全体の指揮を執り、俺やサラさん、レイラさんもそれぞれ投票所や開票所からリポートを担当する。


異世界の選挙ではちゃんとした出口調査がないため現代みたいな当選確実いわゆる当確がない、結果がわかるのはすべての票が数えられてからだ。視聴者も、現場にいる俺たちも、まさに一票一票の行方を固唾を飲んで見守るしかない。


投票開始の合図とともに特別番組がスタート。


モリヒナさんが街全体の期待感と選挙の意義を視聴者に伝える。


「おはようございます。本日は、エルダリア王国のギルドマスター選挙の投票日です。今回の選挙は、冒険者たちだけでなく、街全体の未来を左右する重要な日です。皆さま最後までご一緒に見守ってまいりましょう」


モリヒナさんの穏やかで力強い進行が、スタジオの空気を引き締める。画面にはすぐに投票所の様子が映し出され、投票を待つ市民たちの行列が続いている。


俺は投票所前に立ち、市民の期待や思いをリポートしていた。


「こちら投票所には、朝早くから市民の皆さんが続々と訪れています。今回の選挙で誰がギルドマスターになるかが、自分たちの生活に直結するという思いが強く、真剣な表情が見受けられます」


すると、投票を終えた一人の男性にインタビューを試みる。


「今日はどなたに投票されたのですか?」


「レノンさんです。彼は仲間を大切にする方なので、彼がギルドマスターになれば、もっと団結が生まれて街全体の安心にもつながると思います」


続いて、タロウさんに投票したという年配の女性にも話を聞くことができた。


「タロウさんは若手を育てることに力を入れていて、未来を考えてくれている方です。ギルドの安定した発展を支えてくれると信じています」


さらに、ユウキさんに投票したという若い冒険者にも声をかけることができた。


「ユウキさんの安全対策への熱意には本当に感動しました。彼がギルドマスターになれば、現場の冒険者がもっと安心して任務に臨めると思います」


それぞれの候補に市民たちの期待が寄せられているのを感じた。どの候補も大きな支持を集めており、接戦になるのは間違いなさそうだ。


サラさんは市場でインタビューを行い、市民たちの生の声を拾っていた。


賑わう市場の一角には、選挙について熱心に語り合う市民たちが集まっている。


「こちら市場です。市民の皆さんに今回のギルドマスター選挙についてお話を伺っています」


サラさんが話しかけた年配の男性は、タロウさんの育成方針に期待していると語った。


「タロウさんがリーダーになれば、若い冒険者たちがしっかり育っていくだろう。長い目で見てギルドが強くなるためには彼が適任だと思うんだ」


別の女性は、レノンさんの仲間を大事にする姿勢に共感しているようだ。


「レノンさんの真面目さと誠実さが好きです。ギルドが一つにまとまるためには、彼のような人が必要だと思います」


一方で、ユウキさんを支持する市民もおり、彼の安全重視の方針を評価している。


「ユウキさんの安全対策は、市民の生活を守るためにも必要だと思います。冒険者の安全が確保されれば、それは街全体の安心にもつながるからね」


どの候補者もそれぞれの信念で支持を集めている様子が伝わってくる。街全体が選挙を通じてギルドの未来を考えている様子が感じられた。


夕方、投票が締め切られると、各投票所で開票作業が始まった。モリヒナさんが最初の開票速報を伝えると、スタジオ内にはさらに緊張が走る。


「それでは開票速報をお伝えいたします。現在、タロウ候補がわずかにリードしていますが、レノン候補とユウキ候補も迫っており、接戦が続いている模様です」


画面は再び投票所や開票所の様子に切り替わり、レイラさんも現場からの実況を続けている。


「こちら開票所では、一票一票が慎重に読み上げられています。候補者の名前が読み上げられるたびに、市民たちも息を飲むようにその瞬間を見つめています」


票が僅差で動く中、広場にも結果を見届けようとする市民が集まり始め、街全体に緊張が広がっていた。


開票もいよいよ最終局面。


得票数はタロウさんがわずかにリードし、レノンさんがその後を追い、僅差のまま最後の数票で決まる状況だ。ユウキさんは惜しくも3位となったが、彼の安全対策の方針は多くの支持を集めた。


スタジオではモリヒナさんが、息を詰めた様子でその瞬間を見守っている。


「残りの票数はあとわずかです。タロウ候補がリードしていますが、レノン候補がどこまで追い上げるか、最後まで見逃せません」


現場からの映像には、緊張感の漂う開票所の様子が映し出され、観衆がその瞬間を見守っている。


最後の一票が読み上げられ、ついにタロウさんが僅差でリードを守りきり、ギルドマスターに選ばれることが決まった。


「……開票が終了しました。今回のギルドマスター選挙の結果、当選者はタロウ候補です!」


モリヒナさんが結果を告げると、街の広場から歓声が響き渡り、スタジオでも喜びと安堵の表情が広がる。


当選が決まり、各リポーターたちはタロウさんを支持する市民やギルド仲間たちの喜びの声を現地から伝え続ける。


「タロウさんがギルドマスターに選ばれました。若手の育成に熱心な彼が、これからギルドの未来を築いてくれることに期待が集まっています」


「彼ならきっと、若い世代を支えてくれるはずです。街の平和も、これでさらに守られることでしょう」


また、惜しくも僅差で敗れたレノンさんへの応援も多く寄せられ、彼の誠実な姿勢に多くの市民が感謝の声をあげていた。


「レノンさんも素晴らしいリーダーシップを持っていました。これからもギルドを支えてくれることを期待しています」


そして、3位のユウキさんも、多くの市民から評価を得ていた。彼の掲げた安全対策の方針は、市民の安心につながるとして多くの共感を集めた。


「ユウキさんの安全対策への真剣さは、冒険者たちの心に響いていたと思います。彼もまた、ギルドに欠かせない存在だと感じます」


特別番組の最後、モリヒナさんが市民や冒険者たちに新しいギルドマスターへの期待と、これからのギルドの未来について語り、締めくくった。


「本日、エルダリア王国に新しいギルドマスターが誕生しました。この選挙を通じ、街が一つにまとまり、ギルドの未来がさらに希望に満ちたものとなったことを感じます。これからのギルドがどのように成長していくか、私たちも見守ってまいります」


局内も安堵と満足の空気に包まれる中、俺たち報道チームもそれぞれの席で深いため息をつき、選挙の激動の一日を無事終えたことを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ