表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

139/140

転生者としての役割…?

転生者保護法が可決され、王国は新たな時代へ突入した。


転生者たちは正式に王国の市民権を得た!

王国の未来が変わり、社会のあり方も大きく変化!

しかし、そんな中――岩木に"驚きの情報"が届く。


「岩木、お前……"元の世界に帰れるかもしれない"ぞ」


王国の研究機関が、異世界転生の仕組みを解明し始めたのだった――。


「岩木くん、急ぎの話がある」


王国魔法研究所の博士――リオ博士から、報道局に連絡が入ったのは、法案可決から数日後のことだった。


「王国の研究機関が、異世界転生の仕組みを解明しつつある。そこに、お前が帰れるかもしれない"可能性"が見えてきたんだ」


岩木は、その言葉を聞いて一瞬息をのんだ。


(……帰れる? 俺が?)


博士の研究室へ向かうと、そこには王国の魔法学者たちが集まり、古い書物や研究資料を広げていた。


「異世界転生の仕組み」


「異世界転生や召喚には、いくつかの法則があることがわかってきた」


博士は、岩木に研究の進展を説明した。


・ 転生者は、基本的に"死"を経由して異世界に来ている。

・ しかし、召喚の場合は"死"を経由せず、強制的に異世界へ呼ばれる。

・ 召喚された者は"帰還の可能性"があるが、転生者は原則として戻れない。


「つまり、"召喚された者"は元の世界に戻れる可能性があるが、"転生者"は難しい……」


「……俺は"転生者"だから、帰るのは不可能ってことですか?」


「いや、まだ完全にそうとは言えない」


博士は慎重に続けた。


「過去の文献によれば、特定の条件を満たせば"転生者"でも帰還できる可能性があるとされている」


「……特定の条件?」


「それは――"この世界との強い繋がりを断つこと"」


博士の言葉に、岩木は深く考え込んだ。


「"この世界との強い繋がりを断つ"……?」


「具体的には、"転生者としての役割を完全に終えること"が条件になる」


「役割を終える?」


博士は真剣な表情で言った。


「岩木くん……君がこの世界に来てから何をしてきた?」


「……記者として、この世界の出来事を伝えてきました」


「そうだ。君は"この世界にとって必要な記者"になってしまったんだ」


「だから、もし本当に帰るつもりなら……"この世界に自分はもう必要ない"と思えるくらい、役割を終える必要がある」


岩木は、拳を握りしめた。


(俺は……本当に帰るのか?)


その夜、岩木はモリヒナとサラにこの話を打ち明けた。


「……俺、もしかしたら元の世界に帰れるかもしれない」


二人は驚き、しばらく言葉を失った。


「……帰るの?」


モリヒナの声は、どこか寂しそうだった。


「まだ決めてない。でも、"帰れる可能性がある"と言われたら……考えちまうよな」


サラは腕を組みながら、真剣な目で岩木を見た。


「でもさ、岩木。お前、記者を辞めるのか?」


「……え?」


「お前、記者になってからずっと"この世界の出来事を伝える"ことに必死になってきたじゃん。もし帰ったら、その"仕事"はどうなるんだ?」


「それは……」


モリヒナも静かに言った。


「岩木くんがいなくなったら、誰が"この世界の真実"を伝えるの?」


岩木は二人の言葉を聞きながら、胸の奥が締めつけられるような感覚を覚えた。


「俺の役割は、終わったのか?」


岩木は一人で夜の王都を歩きながら考えた。


・ もし帰るなら、"この世界に自分はもう必要ない"と思うくらいの決断が必要。

・ でも、本当にこの世界は岩木を必要としていないのか?

・ 記者として、まだ伝えたいことはあるのではないか?


(俺は……どうするべきなんだ?)


その答えを見つけるため、岩木は最後の取材をすることを決めた。


(最終的に決めるのは、この取材を終えてからだ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ