報道の力…!
ついに岩木たちは、貴族派と影の残党が結託し、「転生者保護法」の成立を阻止しようとしていたという決定的な証拠を掴んだ。
・ 貴族派は影の残党と手を組み、報道局への襲撃を計画していた。
・ 岩木たちは、密談の映像を収め、それをニュースとして報道する準備を進める。
・ 王国全体を巻き込んだ「最後の放送」が始まる――!
"報道の力"が、王国の運命を変える――。
エルドラ・ヴィジョン・テレビ(EVT)の報道フロアには、これまでにない緊迫感が漂っていた。
今夜のニュースで、貴族派の陰謀を暴く――。
「……これを流せば、王国の歴史が変わる」
編集スタッフが、岩木が撮影した映像を確認しながら言った。
「問題は、貴族派が放送を阻止しようとする可能性があることだな」
バキが腕を組んで険しい表情を浮かべる。
「王都にはすでに貴族派の私兵が動いているという情報が入っている。放送前に局を襲撃される可能性もある」
「そうならないように、王国軍に協力を要請しておいた」
ミカサデスクが冷静に答えた。
「今夜は、局の周囲に王国軍が配置される。放送を邪魔させるつもりはない」
「さすがミカサデスク……」
「だが、それでも油断はできん。とにかく、放送を最後までやり遂げることが重要だ」
岩木は深く息をついた。
(これが、俺たち記者の最大の仕事になるかもしれない)
午後七時。
エルドラ・ヴィジョン・テレビのニュース番組「アルダNEWS」の放送が始まった。
スタジオでは、モリヒナがキャスターとして座っている。
「皆様、こんばんは。本日は、王国の未来に関わる重大なニュースをお伝えします」
モリヒナは緊張した面持ちで視聴者に語りかける。
「現在、王国では『転生者保護法』の成立が議論されています。しかし、その裏で、法案を阻止しようとする貴族派の動きが確認されました」
画面が切り替わり、岩木が撮影した映像が流れる。
《貴族派の密談》
「……報道局への圧力は成功したか?」
「いや、奴らがどこまで従うかはわからん」
「ならば、強硬手段に出るしかない」
「エルドラ・ヴィジョン・テレビを襲撃し、『転生者保護法』に関する報道を完全に止めるのだ」
映像の音声が流れた瞬間、スタジオ内は静まり返った。
そして、モリヒナが静かに口を開く。
「これは、報道局が入手した貴族派の密談の録音映像です。彼らは、転生者保護法を阻止するために、報道機関を沈黙させようとしていました」
「さらに、貴族派はかつて王国を揺るがせた影の残党と手を組み、違法な手段での妨害を画策していたことも判明しました」
国民は、この映像を見て初めて貴族派がどれほど危険な計画を進めていたかを知ることとなった。
報道の直後、王宮から緊急声明が発表された。
王国軍司令部、王宮広報官、そしてカイバ三世自らがコメントを発表。
カイバ三世は、厳しい表情でカメラの前に立ち、低く静かな声で語った。
「……このような事態が明らかになったことを、大変遺憾に思う」
「転生者保護法の議論の中で、一部の勢力が陰謀を巡らせ、王国の秩序を乱そうとしていた。これは決して許されることではない」
「本日をもって、貴族派の関与が疑われる者たちの調査を開始する。違法な妨害工作を行った者たちは、厳正に処罰する」
王国軍の広報官も続けて発表した。
「王国軍は、エルドラ・ヴィジョン・テレビの報道を全面的に支持する。この国の未来を守るため、貴族派の不正行為を徹底的に取り締まる」
翌日、王都の各地で市民たちが報道を受けて動き出した。
・ 「転生者保護法」を支持する声が大幅に増加!
・ 貴族派の影響力が急激に低下!
・ 王国軍による貴族派の調査・逮捕が始まる!
「貴族派は、転生者を敵視するだけでなく、国民をも欺いていたんだな……」
「俺たちの国をこんな形で操ろうとしていたとは……許せない!」
王都では、国民たちの怒りの声が広がっていった。
「もう、貴族派の言いなりにはならない!」
こうして、貴族派の影響力は急激に失われていった。
報道局の編集室で、岩木は椅子にもたれかかりながら、深いため息をついた。
「……終わったな」
「いや、まだ終わりじゃない」
隣でモリヒナが笑いながら言った。
「転生者保護法が正式に成立するまでが、本当の終わりよ」
「……そうだな」
バキも腕を組みながら頷く。
「だが、これで貴族派の妨害はほぼ崩れた。あとは法案が正式に可決されるかどうかだ」
岩木は窓の外を見ながら、静かに思った。
(俺たちの報道が、王国の未来を変えた……)
(でも、記者の仕事はここで終わりじゃない。これからも、この世界の"真実"を伝え続けるんだ)