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王国の歴史と影の正体...?

影の者たちの襲撃を受けた報道局は、破損した機材の修復作業に追われていた。緊急体制が敷かれ、警備が強化された局内はピリピリとした緊張感に包まれている。幸いだったのは、局員全員が無事だったことだが、影の者たちがここまで大胆に襲撃してきたことで、事件の深刻さを全員が肌で感じ取っていた。


「岩木、お前は今回の襲撃でどんな映像を撮ったんだ?」とバキさんに聞かれ、俺は携帯していたカメラに残っている映像を見せた。影の者たちの動き、局内を破壊していく姿、異様な雰囲気が映し出されている。


「……ここまでして王国を揺さぶろうとする意図が、ますます気になるな」とバキさんが呟く中、デスクのミカサさんが新たな指示を出した。


「影の者たちの背後にいるもの、彼らの動機や目的を探る必要があるわ。岩木、バキさん、あなたたちは王国周辺での調査を続けてちょうだい」


こうして、俺とバキさんは影の者たちの手掛かりを追いかけるために、局外での調査に乗り出すことになった。


調査を進める中で、影の者たちの活動範囲は王国全土に広がっているということが少しずつわかってきた。さらに調べていくと、街で情報収集を行っている途中で、妙な噂を耳にした。


どうやら影の者たちに近い情報を持っているとされる謎の情報屋がいるらしい。影の組織やその構成員についても何か知っているということだ。


「本当にそんな情報屋なんているのか?」俺は半信半疑だったが、バキさんはその情報に可能性を見出した様子だった。


「この際、怪しい話にでもすがるしかない。岩木、お前も行くぞ」


俺たちはその情報屋が指定した場所――古びた王国の酒場に向かった。そこには痩せぎすの老人が待っており、薄暗い隅の席で、ひそひそと語りかけてきた。


「影の者たちが何を求めているか、分かっているのか?」


「いや……俺たちは真実を追ってるだけで、彼らの目的なんてわからない。教えてくれるか?」


老人はしばしの沈黙の後、口を開いた。


「彼らの目的は、王国が隠している“古代の秘宝”にある。影の者たちはただの反乱組織ではない。彼らの目的は、王国の支配構造そのものを覆そうとしているのだ」


俺とバキさんは顔を見合わせ、驚きを隠せなかった。どうやら影の者たちは王国の力の源とされる秘宝を狙っているらしいが、それが何を意味するのかはまだわからない。情報屋は続けて、低い声で呟いた。


「だが、奴らの拠点は容易に近づける場所ではない。もし行くなら……死ぬ覚悟を決めろ」


情報屋から得た情報に基づき、俺たちは影の者たちの拠点とされる場所に向かう準備を進めることになった。どうやら、彼らの拠点は王国の地下にある古い遺跡にあるらしい。王国に住む人々はほとんど知らない、歴史の闇に葬られた場所だという。


「……なんだか、これ以上首を突っ込みたくない気もするが」と俺は心の中でため息をついた。しかし、すでにここまで巻き込まれている以上、簡単に逃げ出すこともできないと悟る。


「お前、あんまり気が進まなそうだな」とバキさんが少し笑いながら言う。


「当たり前だろ……こんなの俺の仕事じゃないって気分だよ」


そうぼやく俺に対し、バキさんは真剣な表情で言った。


「そうかもしれないが、今俺たちは真実の一端に手をかけている。これは覚悟のいる仕事だが、だからこそやりがいもある」


そして数日後、俺たちは王国の地下にある古代遺跡へと続く道を調査するため、厳重な警備の目をかいくぐって現地へと向かった。遺跡の中に入り込むと、そこには今も影の者たちが出入りしている様子が伺えた。


どうやら影の者たちはこの場所で、王国の秘宝に関する儀式を計画しているらしい。何の儀式かまではわからないが、その目的が王国とドラゴン族の契約に関わるものだとすれば、王国の安定を崩しかねないほどの大きな危機であることは確かだ。


俺はカメラを構え、影の者たちの動きを静かに撮影しながら、その場を後にした。


報道局に戻り、俺とバキさんはすぐにミカサさんに報告した。影の者たちの目的が王国の秘宝であること、そしてその秘密が王国の歴史に隠された重要な要素であることが確認された今、俺たちが追っているのは単なる反乱組織ではなく、王国そのものを揺るがす真実であることを改めて感じた。


ミカサさんが静かに頷き、言葉を続けた。


「影の者たちが何を狙っているにせよ、私たちは真実を伝えなければならないわ。彼らの活動が王国の平和を揺るがすものなら、なおさらね」


バキさんも力強くうなずき、俺の方を見つめた。


「岩木、やはり俺たちの仕事は重大だ。この真実を世に伝えるために、どんな犠牲を払ってでも続ける価値がある」


俺はただ一つ、逃げ出したいという思いを押し殺しながらも、報道の力の大きさを改めて感じ、うなずいた。


影の者たちの脅威が深まり、王国の平和が揺らぐ今、俺たちはさらに深い真実を追い求める使命を背負っていた。

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