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転生の真実…!

王国の記録庫で、岩木は重大な情報を手に入れた。


・ 異世界転生の研究は王国によって封印されていた。

・ 転生者には「影響者」「観測者」「忘却者」の3種類が存在する。

・ 「忘却者」は転生したことを認識していない可能性がある。

・ 誰が転生者を選んでいるのかは不明だが、"世界そのもの"が関与している可能性がある。


(俺は、この情報をどう扱うべきなんだ……?)


記者として、知った事実を報道することは義務だ。


しかし、もし"転生の真実"を世間に広めたら――


・ 転生者への偏見が生まれるかもしれない。

・ 王国が転生者を厳しく管理し始める可能性もある。

・ 逆に、転生者が力を求めて暴走する可能性もある。


(……どこまでを伝えればいい?)


岩木は、慎重に考えながら、報道局へと戻った。


報道局に戻ると、すでに編集会議が始まっていた。


「岩木、おかえり」


ミカサデスクが彼を迎え、資料を机に置く。


「王国軍が黒ローブの組織を制圧した件、すでに各局でも報道されてるな」


机の上には、他局の報道内容がまとめられた資料が並んでいた。


・ 《EKH(エルダリア国営放送)》

→ 「王国軍が秘密結社を制圧。異世界転生を悪用しようとする陰謀を防ぐ」


・ 《GTVグレイルテレビ

→ 「黒ローブ組織の拠点を発見。王国軍の迅速な対応が事態を鎮圧」


・ 《EHTV(エルダリア放送)》

→ 「異世界転生の秘密に迫る――黒ローブの研究とは?」


・ 《EMS(エルダン魔法放送システム)》

→ 「転生者は危険なのか? 専門家が語る、王国が隠してきた真実」


・ 《LTV(ライトン放送)》

→ 「そもそも転生者とは何者なのか? 街の声を調査」


・ 《ASB(アルヴァリア通信放送)》

→ 「転生者の研究を封印した王国、その理由とは?」


(……すでに、他の局も"転生者"の話題に触れ始めてる)


ミカサデスクが腕を組み、岩木を見た。


「お前が持ってきた情報……どこまで出すつもりだ?」


出すべき情報、伏せるべき情報


「そうですね……」


岩木は慎重に言葉を選びながら、編集会議のメンバーを見渡した。


「まず、"王国が転生の研究を封印していた"って事実は伝えます」


「理由は?」


「黒ローブの研究が"封印された"というのは事実ですし、すでに世間でも話題になっているからです」


ミカサデスクは頷く。


「じゃあ、"転生者には種類がある"という点は?」


「そこは……ぼかして伝えます」


「ぼかす?」


「"転生者によって能力に差がある"という点だけ触れます。"影響者""観測者""忘却者"っていう分類は、まだ公表すべきじゃないかと」


編集部のメンバーがざわめく。


「理由は?」


「"忘却者"がいるってことを公表したら、"自分が転生者じゃないか"って疑い始める人が出てくるかもしれません。下手したら、"魔法が使えないのは転生者だから"とか、変な風潮が広まる可能性もある」


「確かに……根拠のない噂が広まるのはまずいな」


「それに、王国が転生者をどう扱っていたのか、まだ全容が分かっていません。下手に情報を出すと、転生者への監視が厳しくなるかもしれない」


「……慎重な判断だな」


ミカサデスクはしばらく考えた後、頷いた。


「分かった。じゃあ、その方針で報道を進める」


夜のニュース放送


夜の報道番組『アルダNEWS』の放送が始まった。


モリヒナがニュース原稿を手に取り、落ち着いた声で読み上げる。


「本日、王国軍は異世界転生の研究を行っていたとされる黒ローブの組織を制圧しました。」


「王国は過去に異世界転生に関する研究を行っていたものの、その研究は現在"封印"されていると判明しました。」


「これに関し、王宮側は『研究の封印は世界の秩序を守るためであり、転生者の管理を目的としたものではない』とコメントしています。」


画面には、黒ローブの拠点と王国軍の映像が映し出される。


「また、今回の事件を受け、"転生者"という存在に対する関心が高まっています。」


「転生者には個体差があり、強い力を持つ者もいれば、魔法を使えない者もいることが分かっています。」


「しかし、王国側は『転生者の能力に明確な法則性はなく、個々のケースに依存する』と説明しています。」


(……うまくまとめたな)


岩木はモニターを見ながら、少し安心した。


("転生の仕組み"に深く触れず、それでいて"王国の封印"という事実は伝えた)


(これなら、必要以上に世間を混乱させることもない)


しかし――


「……さて、このニュースの裏側には、まだ多くの謎が残されています。」


モリヒナが、原稿にはなかった言葉を加えた。


「そもそも、なぜ王国は転生者の研究を封印したのか?」

「なぜ、転生者によって能力に差があるのか?」

「そして……転生者は、本当に"この世界に偶然やってきた"だけなのか?」


(……!)


モリヒナの言葉に、岩木は息を呑んだ。


(この世界に偶然やってきたのか――?)


(いや、違う……俺は"何かの意志"によって、ここにいるのかもしれない)

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