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制御不能…!!

「転生の門、開け!」


黒ローブの指導者が叫ぶと、魔法陣の中心から強烈な光が溢れ出した。


ゴゴゴゴゴ……!


部屋全体が震え、空気が歪んでいく。


岩木は、セキさんと共にカメラを回しながら異世界転生の儀式が本当に発動する瞬間を目撃していた。


「まさか……本当に異世界転生が行われようとしているのか!?」


シラユ隊長と王国軍の兵士たちも驚き、突入を急いだ。


「止めろ! 魔法陣を破壊しろ!」


しかし――


遅かった。


魔法陣はすでに臨界点に達していた。


空間が裂け、その先に異様な光景が広がる――。


光の中心に現れたのは、巨大な楕円形の"裂け目"。


そこには、見たことのない都市のようなものが広がっていた。


「な……なんだ、これは!?」


王国軍の兵士たちが驚愕の表情を浮かべる。


岩木も息をのんだ。


(これは……異世界なのか?)


裂け目の向こうには、王国の街とはまるで異なる景色が広がっていた。


「近代的な……都市?」


高層ビルのような建物。

街を走る乗り物。

そして、無数の光――。


(……これって、まさか俺たちのいた世界じゃないのか?)


岩木の背筋に冷たいものが走った。


「これが……異世界転生の"真実"なのか?」


だが、次の瞬間――


「……ッ! 何かが来る!」


セキさんがカメラを構えたまま、叫んだ。


裂け目の向こう側から、"何か"がこちらに向かっている。


"何か"が転生する


「まさか……誰かが"こちら側"に来るのか!?」


岩木は直感的に理解した。


黒ローブたちの計画は、異世界からの召喚 だったのだ。


(俺たちみたいに転生するんじゃなくて、直接この世界に"誰か"を呼び寄せる――!?)


「隊長! 裂け目の向こうから、何かが出てきます!」


王国軍の兵士が叫ぶ。


すると――


ズズズ……


裂け目の中心から、一人の影が浮かび上がってきた。


「……人間?」


フードを被った、一人の青年だった。


だが、様子がおかしい。


青年の体は青白く発光し、この世界の法則に馴染んでいないように見えた。


「お、おい……」


岩木は思わず後ずさる。


(この男、本当に"人間"なのか?)


青年はゆっくりと裂け目を通過し、王国の地に降り立った。


そして――


「……どこだ、ここは?」


目を開いた瞬間、異様な気配が辺りに広がった。


召喚された男の正体


「おい、貴様……何者だ?」


シラユ隊長が剣を構えながら問いかける。


青年はしばらく自分の手を見つめていたが、やがて呟いた。


「……俺は……」


その瞬間――


バシュッ!!


王国軍の兵士の一人が、突如として吹き飛ばされた。


「ぐあっ!」


「な、何が起こった!?」


兵士が地面に叩きつけられ、苦しそうにうめく。


「まさか、こいつが……!?」


青年は無表情のまま、ゆっくりと王国軍を見渡した。


「……ここは、俺がいた世界とは違う」


そして、不意に微笑んだ。


「つまり、何をしても構わないってことか」


ドンッ!!


次の瞬間、彼の周囲から異様なエネルギーが炸裂した。


「こいつ……危険だ!」


シラユ隊長が叫ぶ。


黒ローブの指導者は、満足そうに笑いながら言った。


「ようこそ、新たな世界へ。君の力を試してみるといい」


青年はその言葉を聞きながら、自分の手をゆっくり握りしめた。


すると――


ドンッ!!!


足元の地面が大きくひび割れ、兵士たちがバランスを崩す。


「チッ……やはり、制御できないか」


黒ローブの指導者が舌打ちした。


「彼のような転生者は、この世界の法則に馴染むまで不安定なんだ……」


「つまり……?」


岩木が食い下がるように問いかける。


黒ローブの指導者は淡々と答えた。


「"力"を試したがる……ということだ」


その瞬間、青年が王国軍に向けて手をかざした。


「じゃあ、試してみるか」


ズバァァァン!!!


強烈な魔力の奔流が王国軍を襲った――!!


「ぐああっ!!」


「くそっ……防御魔法を張れ!!」


兵士たちはすぐさま盾を構え、魔法障壁を展開する。


だが、転生者の力は異常だった。


「はは……やっぱり、普通の魔法とは違うみたいだな」


彼の周囲には、異世界のエネルギーが渦巻いていた。


王国の魔法とは明らかに異なる"何か"。


(まさか……異世界転生の力って、こんなに強大なものなのか!?)


岩木は必死にカメラを回しながら、この"異常な存在"を記録し続けた。


(これを世界に伝えなきゃならない……!)

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