転生の儀…?
王都の外れにある廃屋。
ここで黒ローブの集団が異世界転生の実験を行おうとしている――。
その情報を得た王国軍は、実験が行われる前に拠点を制圧する作戦を決行 することになった。
一方、報道局では、岩木が現場の取材を担当 することになった。
カメラマンのセキさんと共に、王国軍の突入作戦を記録するため、岩木は戦場へ向かった――。
王都から少し離れた森の中。
王国軍の精鋭部隊が集結し、シラユ隊長 を中心に作戦の最終確認が行われていた。
「いいか、作戦は単純だ。奴らが異世界転生の実験を実行する前に制圧する」
隊長の鋭い目が、集まった兵士たちを見渡す。
「まずは包囲し、逃げ道を塞ぐ。そして、一斉突入し、関係者を確保する。相手が抵抗すれば、戦闘も辞さない」
兵士たちは無言で頷いた。
一方、王国軍の横には、岩木とカメラマンのセキさんがいた。
「……いや、これ普通に戦場じゃないですか」
岩木は若干の不安を感じながら、手に持ったマイクを握り直した。
「大丈夫なのかね?」
隣でカメラの調整をしていたセキさんがぼそっと呟いた。
「俺たちは兵士じゃないんだし、巻き込まれないように気をつけるしかないな」
「そうですね……まあ、何かあったら全力で逃げましょう」
そんな軽口を叩きつつも、岩木は心の奥で緊張を押し殺していた。
(異世界転生の実験が本当に行われていたら……俺がこの世界に来た理由とも何か関係があるかもしれない)
「王国軍、突入準備!」
シラユ隊長の号令が響く。
いよいよ、作戦が始まる――。
突入! 廃屋での戦闘
夜の闇に紛れ、王国軍は静かに廃屋を包囲した。
「……よし、いくぞ」
シラユ隊長の合図とともに、王国軍が一斉に突入!
「何事だ!?」
黒ローブの男たちが驚く間もなく、王国軍の兵士たちが次々と制圧 していく。
しかし――
「くっ……邪魔をするな!」
黒ローブの中でも上位の者たちが、魔法を発動!
暗黒のエネルギーが王国軍に襲いかかる。
「防御魔法を展開しろ!」
兵士たちが瞬時に盾を構え、魔法の攻撃を防ぐ。
だが、相手は熟練の魔法使い。
戦闘は激しさを増していった――。
岩木は安全な位置から、セキさんと共にカメラを回していた。
「こちら岩木! ただいま王国軍が黒ローブの拠点を制圧中です!」
マイクを握りしめながら、戦場の様子を伝える。
王国軍と黒ローブの戦闘、飛び交う魔法、倒れる兵士たち――。
セキさんがカメラを回しながら、呟く。
「……これ、本当に放送していいのか?」
「もちろんです! これは歴史的な瞬間ですよ!」
岩木は必死に記録を続ける。
「異世界転生の実験が行われようとしていた現場――王国軍が阻止することができるのか?」
異世界転生の実験が始まる!?
しかし――
廃屋の奥から、不気味な声が響いた。
「間に合わなかったな……実験はすでに開始されている」
王国軍と黒ローブの戦闘が続く中、奥の部屋で異様な光が溢れ出す。
「なっ……!?」
岩木は驚きの表情を浮かべた。
「まさか……本当に異世界転生を実行しようとしているのか!?」
シラユ隊長も即座に指示を出す。
「奥へ突入するぞ! 実験を止めるんだ!」
王国軍が奥へ突入すると、そこには巨大な魔法陣が輝いていた。
その中心には、一人の黒ローブの男――この儀式の指導者らしき人物 が立っていた。
「貴様ら……この世界の運命を変える瞬間を邪魔する気か?」
「何を企んでいる!」
シラユ隊長が叫ぶ。
男は不敵に笑いながら、魔法陣に手をかざした。
「異世界の力を持つ者を、この世界に呼び寄せる……その時は、もうすぐだ」
ゴゴゴゴゴ……!
魔法陣が眩い光を放ち、空間が歪んでいく――!
岩木の心臓が大きく跳ねる。
(まさか、本当に異世界転生を成功させるつもりか!?)
王国軍の兵士たちが突入し、黒ローブの男たちを押さえつけるが、魔法陣は止まらない。
「……ヤバいぞ、これ……!」
岩木は直感的に理解した。
このままでは、何かが起こる。
「セキさん、カメラを回してください! 何が起こるのか記録します!」
セキさんは無言で頷き、カメラを構える。
そして――
「転生の門、開け!」
黒ローブの男が叫ぶと、魔法陣の中心から眩い光が溢れ出した――!