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四章第五話 近代の乗り物

17時10分より第六話投稿します。

 「ほわあ!凄いです!」

 ハチの案内の元、一行は地下鉄の駅という停留所にやってきた。

 駅は地下にあるようで一行は動く階段(ハチ曰く"エスカレーター"という名前らしいが)で降りていき、まずこの段階でベルは大興奮していたし、他のメンバーも目を白黒させて驚いていた。


 そして実際地下に着くとベルは更に目を輝かせていた。

 そこには黒光りする大きな鉄の塊があり、人々が次々と乗り込んでいく。

 「これが地下鉄にゃん。これから吾輩達はここから"セントラル駅"に行くのにゃん。

 はい!切符。コレを地下鉄内を歩く車掌さんに見せてあげるにゃんよ」


 そう言ってハチは先程買った地下鉄の切符を一行に渡す。一行はそれを受け取ってまじまじと切符を見つめていた。

 この場はハチに任せた方が良さそうである。全員ハチの後ろをついていき地下鉄に乗り込んだ。





 「う…動いてます!あ!車掌さん切符お願いします!」

 ベルは真っ暗の外の景色を眺めて興奮していた。そして歩く車掌を見つけて切符を渡すと車掌は微笑ましそうにベルを見て切符に穴を開けていく。


 席は二人掛けの椅子が向かい合わせになっている。進行方向に対して右側にヴラムとエーデル、シュリそしてベル。

 左側にはマギリカとハチが向かい合わせで座っている。


 「いやぁ…乗るシステム自体は変わってなくて安心したにゃん…」

 「ハチ?やたら手慣れてるけど200年前もこんな乗り物あったの?」

 「いや…確かに似たものはあったにゃん。汽車って言って蒸気を使って走る乗り物にゃん。

 けどこの地下鉄は機械で動いているみたいにゃんね。とはいえ、切符システムとか乗り方はおんなじだから全然平気にゃんね」


 そう言ってハチはじっと外を眺めている。そんなハチを見てエーデルは隣に座るヴラムに耳打ちした。

 「ねぇ?ヴラム達が会った時のハチってどんな感じなの?」

 「あ?何だ急に」

 「いやさ…よく考えるとハチの事って私よく分かってないなぁと思ったんだよね。

 正直最初出会った時も何で私達についてきたかも謎だし。

 あと獣人族なのに200年以上生きてるし…毒耐性あるし…なんか戦闘になるとムキムキになるし…」


 エーデルが指を曲げて順番にハチに関する謎を口に出す。声にすると中々摩訶不思議だ。

 「んなもんアイツが化け狸だからであろう?」

 「いや…失礼じゃない?いやでも…」

 エーデルは思った。ハチのあまりに獣人離れした身体機能に寿命。彼は本当に化け狸なのではないかと。


 するとそれを耳をピクピクさせながら聞いてたハチがヴラムに

 「ヴラムはもっとデリカシーを持つべきだ時思うにゃん。後吾輩はどちらかと言うと猫科だにゃん!狸はイヌ科で寧ろ真逆ニャン!

 だからせめて!化け猫と呼ぶにゃん!」

 「いいのかそれで…」


 ハチの訴えにシュリは少し困惑した顔で突っ込んでいた。

 「まぁまぁ…。でもそうねぇ…。そういえばハチちゃん。今まで聞かなかったんだけど…貴方いつから薬剤師なんてなったの?」

 その言葉にエーデルやシュリ、ベルはマギリカに視線を向けた。


 「え!ハチさんってお薬屋さんじゃなかったんですか?」

 「まぁ…元々は違う職をしてたにゃん。…君達にだけ教えておくにゃん。

 ヴラム?少し席交換して欲しいにゃん」


 ハチが手招きしながらヴラムに声をかけるとヴラムは黙って立ち上がりハチと席を交換し、マギリカの向かいに座る。


 「で!で!前は何してたんですか?映画スター?スパイ?政治家?それとも社長さん!?」

 「ベル…少し落ち着こうね?」

 ベルは好奇心が止まらない様子で目を輝かせて急かし始めた。

 そんなベルをエーデルが苦笑しながら宥めている。


 「うーんベルちゃんのご期待に添えるか分からないけど…吾輩は元々百獣警備隊にいたんだにゃ」

 「成程…だから戦いが妙に上手かったのか…」


 シュリは納得した様子でうなづいている。ハチは続ける。

 「当時の吾輩には薬の知識なんてそこまで詳しく知らなかったにゃん。全部独学…。

 ヴラムやマギリカと会ったのはまだ吾輩が警備隊にいた時にゃん。

 偶々その時ロゼリアちゃんが熱を出してしまったんだにゃん」


 ハチは語り出した200年前に出会った4人の勇者一行について。


 



 -200年前

 それはまだハチがロクロという名を使い警備隊の隊員として働いていた頃だ。

 その日ロクロは他の警備隊員と共に都市のパトロールをしていた。


 ロクロが都市の入り口付近を歩いていると、四人の男女が歩いてきた。

 そこには10代くらいの人間の少年…よく見ると右手の甲に薔薇の紋様がある為勇者と分かる。

 その横には大きい黒い帽子を被る黒づくめの大人の女性と耳の尖った少女を背負う鬼人の青年がいた。


 鬼人の背中にいる少女は顔を真っ赤にしていて息が荒く苦しそうである。

 ロクロは何事かと四人に話しかけにいった。


 

 それが出会いのきっかけであった。

用語

 ◯百獣警備隊

 キバナ大陸を守護する警備隊。所属するのは皆獣人であり殆どの者が雑食系の動物か肉食動物の遺伝子を持つ者が所属している。

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