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三章第二十五話 海辺のマドンナ達

17時過ぎごろに26話投稿予定です。

 あれから少し経ち、ヴラム達は退院する事ができた。元々病院の治癒師のお陰で傷口は綺麗に治っている。

 体に入った異物を取り出す為の手術で疲弊した体も回復した。

 

 「ヒューベルトさんとゴローさんはこれからどうするんですか?」

 「僕達は一度騎士団本部に戻りますね。キーちゃん!また会おうね♡」

 「うん!また手紙書くからね?ダーリン♡」

 ちゅ♡

 

 ベルの質問にゴローが答えるとキララと抱き合ってキスをした。

 慌てて真っ赤になったシュリがベルの目を隠す。

 「シュリさん?何も見えないですよ?」

 「見なくていい!まだ刺激が強い!」

 寧ろシュリの方が気絶しそうである。


 ヒューベルトは名残惜しそうである。

 「うう…離れたくないが…しゃあないか…また会いましょう!エーデルさん!マギリカさん!ベルちゃん…」

 といつも通り男どもを無視して女性陣の名を呼ぶが最後に


 「ま…またな?ゔ…ヴラム…」

 と何故がしどろもどろにヴラムに挨拶している。しかも少し顔も赤い。

 「え…」

 ヴラムは何故か背筋が冷たくなった。

 「先輩…」

 ゴローは自身の先輩が結局扉を開けたのだとガックリと肩を落としていた。しかもキザ風ではなくしどろもどろ感が余計に本気に見える為タチが悪い。


 そして最後二人は貸し出しの船に乗りシロツメ大陸に向かっていった。

 「じゃーなー!エーデルさん!マギリカさん!ベルちゃん…ヴラムー!」

 「おいぃ!何故そのラインナップに俺の名を入れるのだ!おかしいだろ!待たんかコラ!」

 ヴラムはプンプン怒りながらヒューベルト達の乗る船を見送った。


 「いっちゃったわ…まるで台風みたいね」

 「そうにゃんね…あとヴラム…どんまい…」

 「何のだ?何のドンマイなのだ!?おい目を逸らすでないわ!化け狸!」

 ハチは眉間を押さえながらヴラムの背中を肉球で叩く。ヴラムは機嫌が悪そうである。


 「んでどうする?私たちも行く?」

 「あぁ…予定通りキバナ大陸に行く。それでいいか?ハチよ。」

 「…構わないにゃん」

 メンバーはキバナを目指すことにした。だが

 「あ!キバナ行きは明日だよ?」

 「「「「「「え?」」」」」」

 6人は出鼻を挫かれてがっかりしていた。






 


 「きゃあ!冷たい!」

 「わー!待ってくださいよぉ!」

 結局その日もホテルに泊まることになった。


 そして折角回復したし海があるからと全員で海で遊んでいる。

 「何が楽しいのだ…ただの塩水ではないか…うまいなこれ…」

 ヴラムはパラソルの下でチョコレートがけされた練乳かき氷を食べている。

 その服装は黒い海パンに黒い半袖パーカーである。パーカーの背中には雪だるまが書かれている。季節外れもいいところだ。


 対して海ではしゃぐ二人の少女。エーデルとベル。

 エーデルは白と黄色のストライプのビキニに下半身は側から見たらショートパンツに見えるカジュアルな青い水着である。元気いっぱいのエーデルには良く似合っている。

 髪の毛はお団子にしている。


 ベルの方はいつも来てるワンピースと似たセーラー服のようなデザインの水着。

 お腹は見えるが、上半身の露出は少なくスカートタイプの水着は可愛らしい。髪型はツインテールである。


 「あらあらはしゃいじゃって可愛いわ♡」

 クスクスと笑いながらマギリカがヴラムの隣に座った。マギリカの方はセクシーな黒いビキニに下半身には白い腰布をつけている。

 頭には白いサングラスがかけられていて、ハイビスカスが描かれたネイルをしている。 

 因みにハイビスカスは花の方のハイビスカスである。


 「貴様は泳がんのか?」

 「私の体力じゃあもたないわよ…すぐばてるもん」

 「まぁババアだかr「おいテメェ….もういっぺん言ってみろやゴラァ…」すんません。マギリカが綺麗で見惚れてました」


 一方その頃

 シュリとバトルモードのハチが遠泳していた。どこまでもどこまでも泳ぐ。体力底知れずに黙々と泳ぐ。それだけである。



「いやシュリとハチはどうしたのだ?」

 「なんか二人で泳ぎに行ったみたいよ?」

 「全く昼飯の時間というに…」


 遠泳で戻ってこない二人。ヴラムの周りには二人の美少女と一人の美女が囲んでいる。しかも全員タイプが違う。

 「(視線が痛い…)」

 周りはヴラムを冷たい目や、羨ましげな目で見てくる。側から見たらハーレムである。


 「まぁ…いいがな?」

 そう言いながらヴラムはある一点を睨んだ。そこには派手なアクセサリーをつけた男達。彼らはヴラムを取り巻く女性陣に声をかけようとしていた。しかしヴラムの凍りつくような睨みが効いたのか逃げていった。


 先程からヴラムがこうやってナンパを排除している。できればここでシュリとハチがいればそれぞれ一人を守ることも可能なのだ。

 最悪見た目年齢的にマギリカとシュリ、ヴラムとエーデルでカップルのフリをすればナンパはある程度防げる。ベルはハチに任せてもただの可愛い組み合わせなのでそういう対象にまず見られない。


 だがそれはできないし、シュリの事だ。マギリカの水着を見たら鼻血を出すだろう。だってヴラムでさえ目のやり場に困っているのだ。

 実際シュリ本人も予測してか早着替えしてさっさと出ていってしまったのだ。

 

 「ハァ…」

 「どうしたんですか?ヴラムさん」

 「いや…うちの女どもは何で揃いも揃って目立つようなやつばかりなのだ…」

 「あら♡皆んなの目を釘付けにしちゃう美女3人組なんて素敵じゃない♡

 そして今なら独り占めできるわよん♡」


 マギリカがヴラムの腕に絡みつく。そのふくよかな胸が押し当てられた。

 「嫁入り前の女が何してんだ…。もう少し自分を大事にしろ」

 「えぇ?ならヴラムがお嫁さんにしてくれる?」

 「冗談…俺は結婚などごめんだな。恋愛もしたくなどない」

 と軽口を叩き合う二人。


 エーデルはその横でぷくりと頬を膨らましてジト目でヴラムとマギリカを見ている。

 一方のベルはシャクシャクと音を立てながらブルーハワイの練乳掛けかき氷を食べては頭を痛めていた。

此処までお読みいただきありがとうございます。

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