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二章第二十八話 魔力証拠

6/7の投稿終了です

6/8は二十九話と三十話投稿予定です。明日で第二章は終了。三章は現在執筆中の為お時間いただきます。

 一行は食事を摂って後一休みをして再度出発した。目指すはパキラ。パキラとフランネルはあまり離れていないので夕方には着く。

 ドラゴニアとマープルはベルの出発を見届けるまではとパキラまで同行するようだ。


 「お兄ちゃん…もう少しだよ。」

 ベルは首から下げたペンダントを握りしめて呟いた。





 一方勇者騎士団。

 「…此処か…」

 ホワイト隊は現在"辻馬車運送会社ホウセンカ"にて調査を行った。ホウセンカは依頼されると依頼主を時間通りに規定の場所へ届けるサービスを提供している。

 馬車の外装は黒塗りで金の縁取りがされており中の椅子は赤いクッションで出来ている高級感溢れる見た目。

 それゆえに貴族層からも愛されており、その割にリーズナブルな値段から庶民の間でも愛されている。


 そんな中ホワイト隊は簡易的な魔力探知機を利用して花の気配を追っている。魔力探知機は騎士団愛用の地図と同じ原理である。

 その形はペンダントのような形であり緑色の翡翠のような四角形の石を紐で結んだ物である。この石は"魔石"と呼ばれる代物で、その辺の石ころに魔力を宿させた物である。

 すると石は変色する。魔石は一付着させた魔力と同じ物に引き寄せられる。


 この石の場合は花に宿る魔力を付着させたのだ。動く花騒動でも稼働させたが人混みやあまりにも強すぎる魔力量に調査は難航した。

 しかし今回は馬車というピンポイントのヒントがある為例え魔力が強かろうと探すのはそこまで苦ではない。

 ヴラムの至極丁寧な説明書きと繊細な馬車の絵からこの会社までたどり着くことが出来た。


 「とはいえ反応が強すぎてぐるぐる動きが激しい…」

 魔石は反応のある方に引き寄せられる。これを紐に通すと反応のある方へユラユラ揺れるのだ。だが充満した魔力の中激しく揺れ動いている。そして探しているアルスのポケットから一枚の紙切れが落ちた。


 「隊長。何か落ちましたよ。」

 ホワイト隊の隊員が広いアルスに渡す。アルスはそれを見て

 「あああ!エーデルの写真がぁぁ!ごめんねエーデル♡エーデルの事が嫌いで落としたんじゃないからねぇ♡」

 アルスはそれをひったくりスリスリと頬ズリしだした。拾った隊員はドン引きしている。

 「え…キモ…」


 「おい!君今僕のこときもいっていったな!?エーデルからのキモいはご褒美だけど他の人に言われても普通に腹立つからな!?」

 「え…きもっちわる…」

 隊員は更にドン引きしている。しかし


 「あの隊長?魔力探知機どこやったんです?」

 「ん?あれ?」

 アルスが片手に持っていた魔力探知機が無くなった。すると何処からか叫び声が聞こえた。

 「うわぁ!何だよこれ!」

 叫び声のする方に向かうとそこには何かがめり込み形の歪んだ馬車があった。

 歪んだ所を見るとそこには魔石がハマっていた。魔石は役目を終えて元の灰色にもどっていった。


 「これか…」

 アルスはやっと見つけた手がかりに目を輝かせた。

 「至急この馬車を弾いてた御者を呼んできて下さい!詳しい話を伺いたいので!」

 「は…はい!」


 アルスの指示で先程叫んでいた別の御者があの日に馬車を引いてた人物を呼びに行った。アルスは一人ほくそ笑んだ。

 「やっとだ…やっと見つけた!」

 しかしある事実に気づいた。自分が手を離したせいで馬車を破壊してしまったことを…


 「…こりゃ今月の給料少なくなるだろうな…うう…後で謝罪しないと…」

 きっと馬車の修理費分を天引きされるだろうと予想して項垂れた。






 勇者騎士団の方でも調査が進行してる中、聖竜騎士団の方でも調査を行っていた。勇者騎士団と連携を図りながら進めることになる。

 一般家庭への普及はまだまだ先だが騎士団本部や支部、上流階級家庭では電話が置かれている。これは別大陸や他の隊と緊急時に使用する電話である。

 聖竜騎士団は団長のゲルラ、勇者騎士団はまだホワイト隊とサブでゴードン隊が動いてる程度の為団長でなく、主体で動くホワイト隊隊長のアルスが連絡を取り合う事になる。


 しかしアルスは自身の足で調査に向かってしまった為現在は副隊長のスノーがやり取りをしている。

 その結果花が十分に開花している勇者騎士団の方で花を、赤い液体を十分量とれた聖竜騎士団の方ではその液体を調べる事になった。

 

 騎士団同士の調査は着々と進んでいる。


 そして同時期にグランディールは書庫の一冊の本のみを自室へ持って行き読んでいた。

 読んでるページには花の絵が描かれていた。


 「"破滅の花"…伝説ではなかったのか…この世界は破滅へと向かっているというのか…」

 グランディールは静かにそれでいて悲しげに呟き、護衛と共に聖竜騎士団本部へと向かった。


 



 騎士団の間でそんなやり取りがある事は知らないヴラム達。一行は次なる目的地をココヤシ大陸と定めた。

 ココヤシ大陸は現在一行のいるドラセナ大陸に近い場所に位置する大陸である。

 

 「ココヤシ大陸ですか。私達も新婚旅行で行きましたよ。」

 「懐かしいわぁ…ベル?帰ってきたら一緒に旅行として行きましょうか。良かったらヴラム君も来る?」

 「行かん!というかさっきから俺を息子認定するでないわ!」

 ギャーギャー騒ぐヴラムを撫でるマープルはクスクスと微笑ましそうに笑っている。


 「ベルのパパとママ…というかママ?なんか凄いよね。ヴラムの悪態を笑って流せるんだもん。」

 「そうですか?お兄ちゃんも騎士団入る少し前まではママに対して凄かったですよ?それこそババアとか部屋入んな!とか」

 思春期の男の子あるあるである。


 「ベルはその点パパと洗濯物一緒にしないでとかお風呂は私の後にしてとか言わないから手がかかりませんよ。」

 ドラゴニアは苦笑しながらベルの頭を撫でている。

 「…もしかしてヴラムのババア呼びって思春期なのかしら…」

 「いやヴラムはあの見た目で200超えてるにゃん。思春期は卒業してるにゃん。」

 「じゃあ永遠の思春期じゃない?」

 「それ言ったらキリがないにゃん。」

 マギリカは考え込んでいる。というか思春期のせいで言ってると思えばなんぼかは可愛く思えそうだと考えているだけだが。


 「シュリは…絶対ないわよね…」

 「思春期による反抗か!?結論から言う。ない!ヴラム様に反抗する気などこれっぽっちもない!」

 シュリの断言にエーデルは軽く引いていた。自分でさえ兄に勝手に部屋に入るなとか言ってた時期がある。(しかしその後兄が泣きじゃくってプチ家出した為反省している。)


 などと呑気な会話をしているとはいつの間にやらパキラに到着した

 用語

 ◯辻馬車運送会社

 この世界におけるタクシー会社みたいなもの。停留所が各地においてあり、時間で動いているが中には注文や予約で馬車を動かしたり、人ではなく物を配達する会社がある。


 ◯魔石

 そこら辺の石に人為的に魔力を閉じ込めた物。不思議な事に魔石と化すと磁石のように同じ性質の魔力に引き寄せられる性質がある。その性質を利用してダウンジングのように魔力探知機として利用される。

 因みに自然の魔力が付着した石はあくまで表面にしか付着しない為魔石にはならない。人の手で特殊な加工が必要になる。

 

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