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列聖/蓋世
この世界は、異なる概念が幾重にも絡み合い成立する。
それは例えば、無限の可能性を与える。彼がその一生を研鑽に捧げたがために。
それは例えば、言葉を言霊へとする。彼女が呪いを吐き捨てたがために。
それは例えば、刻印に意味を持たせる。彼が刻んだ傷が癒えないために。
それは例えば、炎を操る術を確立する。彼女に誰もが焦がれたために。
それは――
それは――
それは――
それらは、もはや忘れられた英雄たち。
何万、何千、何百と昔に舞台から去った蓋世の英霊たち。その残滓。
彼らが死んでも、彼らが生きた事実は、彼らの力は、【アーク】は、世界に新たな一節を加える。
否、死して初めて世界に並ぶ。
彼らの生き様と死に様を――
「覗き見は良くない」