結ぶ閃光
「そんなもんか、天敵」
影月の体は枝に絡まり、身動きがとれない状態になる。
「天敵を舐めるなよ。こんなもんじゃ死なねぇからな」
枝に絡まった影月は徐々に地へと沈んでいく。
「まあ、そこで静かにしといてくれ。後のお仲間を掴まれてくるからよ」
「気をつけな。俺の仲間はオマエより強いぞ」
「人間から忠告かよ。初めてだぜ」
影月は完全に見えなくなり、地中へと埋まる。
零は館の中から見えた景色の場所へと辿り着くが、先ほどまでの荒々しい雰囲気はなく、静まり返っていた。零はより一層警戒心を強める。
その零の背後から怪しげな影が近づく。零は背後からの影に察して炎を放出する。
「勘がいいね、君」
森の中から悪魔が現れる。
零は悪魔から目を離さない。
「君だな。零と言う天敵は?」
零は息を呑む。
(何故、俺の名前を知っている?)
「オマエ、どうやってここに入って来た?」
悪魔はハッハッハハと嘲笑う。
「そんな細かいこと気にするな。それより、君の仲間を一人捕まえた」
(影月か)
「どこにいる?」
零は目を鋭く尖らせる。
「教えて何になる?」
悪魔はまたも余裕そうな口調で零にふっかける。
「助ける」
「余裕かよ。もう少し俺に興味持てよ」
零は冷めた目で「どけよ」と一言放ち、前に立ちはだかる悪魔に炎を吹き付ける。
悪魔はそれに対して手を枝に変えて網のように張って防御する。だが、炎は枝を焼き尽くして悪魔に迫る。
「残念だったな。俺とオマエでは相性が最悪のようだ」
悪魔は炎にかからないように逃げるが、零は逃げ道を切るため氷壁を立てる。そして、再び炎で悪魔を追いかける。
悪魔は一本の木のエネルギーを吸い取り、地面に手を置く。すると、広範囲から木の根が地中から飛び出してくる。零は氷結を放って対抗する。お互い距離が離れて場所が不明となる。
(どうやってあいつを倒す。炎があると言うことが知られた以上、迂闊には近づけさしてはくれないだろ)
考えていると零の脳にある波が届く。
(そこにいるのか。ふっ、いいぜ。一泡吹かせてやるか)
悪魔は零を探していると、近くで爆発音が聞こえる。その方向を見ると零が空中を飛び舞っている。
「来いよ、悪魔!」
悪魔は零の挑発に乗り、地面から根を伸ばす。
「そこか」
零は攻撃したところから悪魔の位置を特定して一気に急降下する。悪魔のすぐ側で炎の大爆破が起きる。
悪魔は爆風で後ろに飛ばされる。悪魔は木からエネルギーを吸い取る。
(また、あれか)
零は広範囲に放出する先ほどの攻撃と予想して一歩下がったが、悪魔はエネルギーを腕の硬質に使い、零を殴り飛ばす。
「リグナムバイタ!」
零は空中で受け身が取れずに頭から血を流す。
「だめだろ、油断しちゃ」
悪魔は遠くに飛ばされた零の方へと近づく。すると、零が不気味に話し始める。
「ありがとよ。その位置に立ってくれてよ」
零は悪魔の足を凍らせる。
「今更こんな小細工、意味ねぇだろ」
悪魔は地面から根を突き伸ばす。それを零は華麗に舞って避ける。
「それはどうかな」
零は両手から電気を走らせる。
(これぐらいの量なら可能)
「そのぐらいの電気じゃ、俺の樹皮は通さないぜ」
悪魔は高を括る。
(この位置、この一線、いくぜ。影月!)
「「閃光I.C.!」」
一筋の光が悪魔を貫く。
「残念だったな。確かに俺だけなら、お前の樹皮を貫くことはできなかっただろうな」
「クソが」
『閃光I.C.』それは影月の電気と零の電気を一直線に結び、その間にいる生物に反応して電気が流れると言う攻撃だ。だが、生物は木も含まれるため、零は木に触れない位置を適格に見抜き攻撃をしたのだ。
その攻撃を喰らった悪魔は電気が身体中に巡り、麻痺する。そこを零は炎の拳でトドメを刺す。悪魔の体は次第に崩れていく。
「これで終了っと、影月を探さねぇと」
零は戦闘を終えて、集中力を払い落とす。零は影月を見つけるため森へと入ろうとする。だが、その背後から不気味な手を叩く音が聞こえる。
「すごいよ君は」
零は声の聞こえる方を振り向こうしたが、何かの拍子に吹き飛ばされる。
「まさか、こんなにも速く分身を倒してしまうとは」
(分身だと)
そこにいたのは先ほど倒したはずの悪魔だった
悪魔は枝を四方八方に伸ばす。零は火力を上げて立ち向かうが、枝は燃えず押し寄せてくる。零は無数の枝と壁に挟まれる。
「オマエの目的はなんだ?」
零は抵抗を止めることなく、赤く燃えた拳で枝を掴む。
「目的かー。それは、天敵三人を回収することだ」
零は察する。
「上に誰がいる」
「言うわけがないだろ」
悪魔の舐めた態度は何一つとして変わらない。
「何故オマエらは人を殺す」
「じゃあ聞くが、何故オマエらは自然を壊す」
「関係ねぇだろ」
「大有りだよ。自然界にも命はある。木だって生きてんだよ。それをなんだ。土地を増やすため伐採する。オマエらも命を何だと思ってる」
零は顔を暗くさせる。
「おいおい、黙っちゃったら答えが聞こえないじゃないか」
「だから何だ?」
零は悪魔を殺気だった目で睨みつける。
「人間の命の重さ、舐めるなよ」
その目に悪魔は少し恐怖を感じる。
「まあ、いい。もう一人をさっさと捕まえて撤収する。本当はオマエらなんか容易く殺すことができるんだからな」
悪魔は零を脅すように注意を促す。だが、零は気にすることなく、逆に悪魔に注意を促す。
「気をつけた方がいいぜ。もう一人はオマエを殺すことができる人材だ」
「また人間に注意をされるとは、どうも」
悪魔は零を崖に埋めようと押し込もうとした瞬間、空から烏野ような黒い影が零と悪魔の間を割って突っ込んでくる。零を押さえつけていた枝は千切れて、零は脱出する。烏野のような黒い影の正体は戦闘体制を取ったるなだった。
「影月は?」
「この近くの地中にいます」
「なら、頼んだぞ」
「五分で戻ります。絶対に死なないでください」
そう言って、零は影月を探しに行く。
「後輩に心配されるとは少し落ちたかな?」
るなは悪魔に指を指す。
「オマエだな。村で勝手に暴れてる奴は。堕ちて償え」




