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チートで出張する。

今まで、レザノフ卿に用事がある時は俺が商業ギルドを訪問していたのだが

この数日はレザノフが毎朝やってくる。

御丁寧にも、これまでしていなかった帯刀をしてナチュラルに恫喝してくる。



『何もわざわざ来られなくとも。』



「イセカイ市長が中央区に公邸を構えて頂ければこちらの手間も省けるのですがね。」



いつアンタに殺されるかも分からんのに、公邸なんて構えてしまったら税金の無駄だろうがよ…

断ってくれる事を期待してランチに誘うと、レザノフに快諾されてしまう。

流石にここまで露骨に殺意を向けてくる男とサシで食事する度胸はないので、ベスおばとフランコ司祭を誘う。

この二人なら巻き添えにしても心が痛まずに済む。



商店街の奥にある目立たない食堂。

前線都市のような僻陬に所在するにも関わらず、質の良い料理が出る。

別に不思議な事ではない。

経営者が冒険者ギルド長であり街を仕切るヤクザのドレークだからである。

俺の顔を見た店長はにこやかに奥の個室に通してくれる。

本当はセントラルホテルのレストランを使いたかったのだが、今はもう廃業してしまった。



「ちょっと伊勢海クン!

こんないい店知ってるんなら早く教えてよ!」



『メリッサやノエルは何度か連れて来たんだが…』



「ちょっと! どうしてワタクシを呼ばなかったのよ!」



『いや… あの二人とは結婚してるから…』



「は!?  

このワタクシを除外する気!?」



『面子に入れたら入れたで、アンタ発狂するだろ?』



「それは否めないわね。

ねえ、フランコ。

神祇省的には、この祝福線って婚姻の印になるわけ?」



「うーん。

今、財政難だからねえ。

上層部は《年々寄付が減ってる》って騒いでるから

なりふり構わず奇跡認定したがると思う。

エリーが平民だったら押し切られて入籍させられたんじゃない?」



「ワタクシ、そんな非科学的な理由で結婚するの嫌よ?」



「ねえ、エリー。

祝福線は兎も角さ、チートの事はどう思ってるの?」



「ん?

それなりに評価しているわよ?

お父様よりは高得点ね。」



「ん!?

…キミ、お父様大好きっ子だろ?」



「ええ、お父様は肉親としても愛しているし、異性としても最高よ?

ただ帝国への貢献度なら伊勢海クンが遥かに上。」



「キミのお父様の帝国への献身も相当なものだと思うけど?

僕の父もヴィルヘルム公爵を支持しているよ?

《グランバルドの未来を考える会》にも支援表明をしてるしね。」



「お父様の事業って原資は全部税金でしょ?

帝国の上層がやってるお仕事って、単に取り立てた税金を中抜きしてからばら撒いているようにしか見えないんだけど…」



驚いたな。

初めてアンタと意見が合ったよ。



「伊勢海クンはコスパがいいのよ。

この人の活動、全部手弁当だから。

レザノフとか言ったかしら?

商業ギルドの目から見てどうなの?」



「イセカイ市長の貢献は多大です。

加点式なら、市長以上の人傑は存在しないでしょう。」



「トゲがあるわねww

伊勢海クーン、大変よーww

アナタ、大蔵省に目を付けられてるみたいww」



惜しいな。

俺に目を付けているのは軍務省の情報部だ。

しかもレザノフには軍から正式に粛清権が付与されてるんだよな。



「なあ、エリ―。

あの件、立ち会おうか?」



「あの件?

何ですの?」



「ほら、君。

チートの第三夫人になるって言ってただろう?」



「ああ、アレ?

そうねー。

この男の嫁ねー。

平民の第三って実質的にメカケでしょ?

このワタクシによくそんな態度取れるわね。

普通なら即座に無礼討ちにしている所なんだけど…」



恐ろしい事に、ベスおばが俺を殺すのは割と合法である。

上級貴族(大公から侯爵まで)には不敬な態度を取った平民を粛清する権利があり、それは帝国憲法にも明記されている。

近年において実行する馬鹿は殆ど居ないのだが、残念ながらこの女は底抜けの愚人である。



「エリ―が誰かに懐くのを見たのは初めてだからさ。

ほら、お父様もかなり驚いてたでしょ?」



「伊勢海クンには利用価値があるわ。

グランバルドの進歩を飛躍的に早めている。

それはとても素晴らしい事よ。

大蔵省は税金を取り立てる事にしか興味が無いみたいですけど。」



「どんな社会にも汚れ役は必要なのです、エリザベスお嬢様。」



「ふっw

ワタクシが伊勢海クンを評価している点はね

その汚れ役を無給でこなしている所よ。

大蔵省ってお給料が出るのでしたかしら?」



「全省庁の中で給与水準は軍務省に次ぐ高さです。」



「ふふふw

立場のある者が働くのは当然よ。

何をしようが払っている給料のうちですもの。

これからも励みなさい。」



あまりレザノフを督励するなよ、コイツが励むってことは俺の首が飛ぶって事なんだからな。




「…ねえ、伊勢海クン。

アナタの魂胆は何?」



『魂胆?』



「ワタクシ、最近はずーっとアナタの事を考えてるのよ。

最初は猟官か売名目的に奉仕活動をしているのかと見当を付けてたのだけれど…

それだと行動が不自然なのよね~

2人はどう思っているのかしら?」



「チート、これは悪口じゃないから誤解しないで欲しいんだけど

君は負の感情で動くタイプと見ている。

だから、報復とか攻撃とか… そんな前向きではない理由じゃないかな、と。」



流石は司祭だな。

ニックよ、俺はてっきり君は親のカネで役職を買っただけの放蕩坊主かと誤解していたよ。

立派に聖職者してるじゃないか。



「ふーん。

如何にもフランコらしいつまらない回答ね。

まあ、ワタクシも同感ですけど。


レザノフ。

アナタはどう見ますの?」



「イセカイ市長がこれだけ多くの御業績を挙げられるのは…

肩の力が程よく抜けておられるから、と見ています。

市長は… どこか世界に対して他人事ですよね。」




よく見てるね。

流石、情報部のエース様だ。

『より真剣味を持って職務に取り組む次第であります。』

とだけ返しておく。



「ねえ、二人共。

この男がやってる、リザードとの平和交渉って…

アリなの?」



「神祇省的には… かなりまずい。

教義と真反対の行動だから。」



「アンタ、来年からは教区長でしょ?

この男と一緒に居たらヤバくない?」



「ヤバいよーw

…それはそれと今からこの4人でリザード見物行ってみませんか?」



「ハァ?

アンタ、昔っから脈絡なさすぎ。」



「レザノフ子爵が気になっておられるようだから。」



「そうですね。

では行きましょうか。

構いませんよね、市長。」



おいおい、この国の貴族共はフリーダム過ぎだろ…



『手ぶらでは顔を出せないので…

銀塊持って行きますよ。

いいですよね?』



「…構いませんよ。

同意書でも署名しましょうか?」




【もうここで見極めてしまうか…】



というレザノフの溜息混じりの【本音】が聞こえてくる。

どうでもいいけど、サーベルの柄を弄りながら話し掛けるのやめろよ。

《粛清》という結論ありきで論理を組み立てるの良くないよ?

それが軍人の仕事、って言われたら返す言葉もないけどさ。



結局、ニックの提案通りこのメンバーで突発リザードオフを挙行することにした。

どうやらこの男はレザノフ卿が苦々しい感情で俺を見ている事を察知し、リザード騒動に深く巻き込むことで状況を改善しようとしてくれているようだった。

キチガイだが、見た目によらず気遣い出来る男だな…。



レザノフ卿は

【ここで私が反対しても、どうせ3人でこっそりリザード参拝するんだよね?】

と俺達の思考を読み切りながら、馬車を手配してくれた。

御者を務めるのは表向き商業ギルド員のカール。

人の良さそうな顔をしているが、コイツもマカレナ同様に軍から派遣されている情報部員であり、レザノフが俺を粛正する時にサポートを務める段取りになっている。

(カールの【心を念入りに読んだ】ところ、この男が槍術・拳闘術・投擲術の名手であり、かなりの実績を挙げていることも判明した)



「チート市長!

御無沙汰しております。

この馬車は市長の為に空けておりますので、いつでも気軽に呼びつけて下さいね♪」



そう言って銀塊をにこやかに荷台に積んでくれる。

悪いな、流石に俺だって自分を殺そうとしてる奴の馬車は怖くて呼べないよ。





30分後、リザード族との交易ポイント。


「「「交易ポイント?」」」


3人が一斉にこちらを振り返る。



『俺が便宜上そう呼んでいるだけだよ。

名前無いと不便でしょ。』



「イセカイ市長…

命名する事で既成事実化を?」



『リザード側がこの台の近辺をそう呼称しているのですよ。』



「そんな事より、見て見て!

さっきのレストランから色々食べ物持ってきましたの!

あのトカゲ共がどれを気に入るか賭けをしませんこと♪」



相変わらずな女だ。

ねえ、レザノフ卿。

粛正するならコイツから先に殺した方が建設的だと思いますがね。



数分ウロウロしていると、赤い小旗を掲げた2名のリザードが小舟に乗って接岸してきた。



「イセカイ市長。

あの小旗の意図はわかりますか?」



『軍使とか停戦交渉とか…

そういう意図ですね。』



2匹のリザードは俺達の眼前4メートルほどの位置で立ち止まると



「こんにちは。」



と丁寧な帝国語で挨拶してきた。

俺も含めてかなり動揺したが、かろうじて平静を装い。



『ゲ―ヴィ』



と返礼して、俺から近寄り抱擁する。

流石に尻尾は巻き付けてこない。

グランバルド貴族というのは余程肝が据わっているのか、レザノフ・ニック・ベスおばとにこやかにリザードと抱擁を交わしていく。

俺は貴族制度否定派だが、即興でここまでの優雅さを醸し出せるのなら、貴族教育にも一定の価値がある事だけは認めざるを得ない。



「私の名前はコ―ヴィヴィです。

後ろの者は友人のハルッダーです。

皆が仲良く暮らす為の仕事をしています。」



常軌を逸した流暢さである。

俺達に脅威を与えない為にか

「人間種の皆様と友達になりたい一心で録音機を聞いて頑張って勉強しました」

と付け加えてくる。

…実に脅威だ。


コ―ヴィヴィとやらの【心を読んだ】が、コイツはリザードの首都から派遣されている徴税吏。

この流域の領主の生殺与奪を握っているようなので、かなりの高級官僚なのだろう。

ちなみにハルッダーは軍隊から派遣されているコ―ヴィヴィの部下。

実質的には監視要員と推測。

こちらもレザノフを連れてきてしまっているので文句は言えない。



『コ―ヴィヴィさん、はじめまして!

チート・イセカイです!

あなた方が必要としておられる銀を持って参りました!』



「お心遣い感謝致します。

是非、対価を支払うことを希望します。」



…バケモノだな。

コ―ヴィヴィが優秀なのもあるだろうが、リザード種の基礎スペックがそもそも高いのだろう。

兎に角コイツらは知能が高い。

ひょっとして人間種よりも言語機能が優れているのか?



『リザード種の皆様ばかりに言語学習の負担を掛けてしまい申し訳御座いません。

私も少しでも皆様に負担を掛けない様に精進します。』



コ―ヴィヴィは俺の発言を(語彙データの不足から)理解出来ないながらも、こちらの雰囲気から趣旨を推測し



「恐縮です。」



と言って頭を下げた。

あー、流石だな。

多分、リザード側もエース中のエースを交易ポイントに派遣しているのだろう。



『あなた方が託してくれた我が軍の軍旗ですが、昨日持ち主の子孫に対して返還手続きを行いました。

時間は掛かりますが、この件に対する返礼を行うつもりです。』



「シチョー・チート。

私が不勉強ですので、録音機を使用しても構わないでしょうか?」



『ドーゾ。』



ドーゾという同意語はリザードの社会で相当有名になっているのか、ハルッダーの緊張が少しだけ解ける。



『先日も話しました通り。

この交易は私個人が行っております。

先日、こちらの社会のかなり上位の人物にようやくこの報告が出来ました。

強い反対はされておりませんが、突然の事で驚いているようでした。』



レザノフを横目で捉えながら、ありのままを話す。

コ―ヴィヴィは余程勘が鋭いのか、俺の目線の動きだけを見て

【なるほど、人間側の監察役はこの者か。

ハルッダーと似たような任務を与えられているのだろうな】

と完璧な洞察を行う。




「シチョー・チート。

返礼の希望を教えて下さい。

我々は公正なトレードを希望しております。

人間種の皆様に負担を掛ける意図はありません。」




…スキルか?

コ―ヴィヴィも俺同様に、コミュニケーションに関するチートスキルを保有しているのか?

それともチート級に優秀な逸材をリザード側が派遣してきた?

その両方?



この見解については、こちらの同行者3人も似たような感慨を持ったらしく、三者三様にリザード種の知能水準を測定している。




『私個人の一貫した希望ですが。

これから述べる事実をコ―ヴィヴィさんの同胞に伝達して貰えませんでしょうか。


…世界の各種族は、悪意ある第三者の陰謀によって不必要な抗争を強いられております。

私はこの事実を全ての種族の皆様に伝える為に生を受けました。』



なあレザノフよ。

わかってるよな?

アンタに言ってるんだぞ。



「私が認識している種族は人間種・リザード種・コボルト種・オーク種ですが。

天蓋の向こうから、我々を戦わせようと画策している者がおります。

標準座標≪√47WS≫という場所に住んで、自分達を神だと自称している者達です。」



俺はクレアに描かせた現状説明イラストをコ―ヴィヴィに渡す。

レザノフが睨んで来たので、「貴方の分も用意しているのですよ。」と釘を刺す。



「ねえねえ、伊勢海クン!

私の分は!」



『あれはアンタがいつもゴミ屋呼ばわりしてる子の女友達に描かせたものだ。

普段から正常な人付き合いをしていれば、作画の段階で色々教えて貰えたんじゃないか?』



「その言い方、なんかズルーい!」



ああ、流石にそこまでは馬鹿じゃないか。

わかったわかった、後で描き損じをくれてやるよ。

ニックには大元になった俺の下書きをプレゼントしよう。

聖遺物が増えて良かったな。




「オーク?」



コボルトという単語を聞いた瞬間のみにコ―ヴィヴィが硬直するが、オークという単語を出すとそれが緩和された。

俺は試しに『オークとも戦争をしているのですか?』と尋ねる。

意味があまり通じてないようなので、『オーク? オーク?』と単語を連呼して【心の中】での連想を誘発する。

能吏コ―ヴィヴィは一瞬で【脳内】にオーク情報を羅列してくれる。



【この男はオークともこの様な遣り取りを行っているのだろうか?

いや、そもそも人間種とオーク種は既に接触しているのか?

地形的にはこの上流でギリギリ、オーク領土の東限と人間領土の西限が交差してそうな気もするが。

我々もオークとは沈黙交易レベルの遣り取りしか出来てないからな。

彼らの材木はありがたいが、こちらの渡しているトード原油って何に使われてるんだろうか?

オークは膂力に優れた種族なんだから、それこそトード種くらいは素手で製油出来そうな気もするんだが。】




あ、久々にこのスキルのチート性を認識出来た。

これ、外交交渉に滅茶苦茶使えるわ。



『レザノフ卿。

私、今からオークに会って来ていいですか?』



「よい訳がないのですが、法的には貴方を拘束出来ません。」



『ここで非合法的に私を斬る、という案は如何でしょう?』



「却下ですな。

リザード種との外交問題に発展します。

下手をすると種族間戦争が起こり得ます。

判ってて言ってますよね?」





『コ―ヴィヴィさん。

銀塊の代金と言う訳ではないのですが…

オークとの沈黙交易場に連れて行って貰えませんか?

ここから遠いですか?

私は翻訳能力で貢献出来ると思うのです。』



俺が身振り手振りを交えてコ―ヴィヴィに強請ると



【オークに会いたいのか?

遠目から見る位なら…

あ、そうか高速艇に乗り換えればすぐに案内出来るのか?

あ~、一応ギリギリ私の権限内か…

シチョー・イセカイはお偉いさん方も招待したがっては居るが

拉致と曲解されたら困るんだよな。

一泊程度なら…

うーん、難しいな。】




「ねえレザノフ、ワタクシ!」



「駄目です。」



「なんでよーーー!!!」



「イセカイ市長は自立した世帯主ですが、エリザベス様はヴィルヘルム公爵の被保護者になります。

公爵の命令でも無い限り、帝国の版図外へ赴くことは帝国憲法にも貴族憲章にも違反しています。

恐らくヴィルヘルム家の家法でも禁止されている事でしょう。」



「ぐぬぬ。」



「それに、エリザベス様が残って下さると、イセカイ市長の安否が明確化されます。

外交上の不利を負う確率が下がります。」



「あーあ、ワタクシもオークを見てみたかったのに。」



「レザノフ子爵。

僕は同行するよ。」



「フランコ司祭…

貴方には任務が…」



「じゃあ神祇省辞めます。

エリ―、辞表か休職届出しておいて。」



「オーク土産忘れずにね」



「善処するよ。」



「エリザベス様、恐縮なのですがブランジネット家へ…」



レザノフが言い終わる前にベスおばがコンパクトを開く。



「あ、ポーシャ。

昨日の伊勢海クンって居たでしょ?

あの人とフランコがオークに会いに行く事になりそう。

ほら、居たじゃんジュニアスクールの

弱虫フランコww アイツww

ほら、ジェシカにフラれて泣いてたwww」



コンパクト越しにガールズトークが弾む。

コイツら鬼だな。




『レザノフ卿、怒ってます?』



「いいえ(怒)」



『私の意図はコ―ヴィヴィ氏に伝えた通りです。

貴方に対して多少の言葉足らずがあった事はお詫びします。』



「いえいえ(怒)」



『すぐに戻ります。

祝福線の反応が途切れたら…

遺言書も含めた後事は全てラルフ・ラスキンに託しておりますので…』



「詳細は後ほど(怒)。

語り尽せない事柄があるのであれば、それこそ祝福線にでも話し掛けてみて下さい。」




『あーあー、こちらチート。

なあ、ベス聞こえるか?

運命線は通信機代わりに使えそう?』



「無駄よ。

ワタクシも何度も実験したけど、アナタ応答してくれた事無かったじゃない?」



なるほどね。

糸電話の役にも立たんか…

使えない奇跡だ。




駄目元での頼みだったが、コ―ヴィヴィ氏は俺とフランコをオークとの緩衝地帯がある上流まで輸送してくれることになった。

氏はリザード式ユーモアを交えて快諾してたが、当然切腹を覚悟しての決断である。



俺の軽挙が原因で粛清される可能性が極めて高いのが、コ―ヴィヴィ・コ―ヴィヴィの直属の上司・ハルッダー・ハルッダーの父親・ハルッダーの直属の上司・レザノフ卿・俺の7名。

(ハルッダー氏に関してはもう完全に御家断絶を覚悟し終わっている。)

展開によってはオークでも何人か内部粛清あるだろうな。



まあ、でも。

たったの7人の犠牲で種族間コミュニケーションの端緒が生まれるんだから、安いもんじゃねーか。

オマエら胸を張って死ねよ。


【伊勢海地人】



資産 現金5300万ウェン強 

   翡翠コイン50枚 (リザード種の法定通貨) 

   古書《魔石取り扱いマニュアル》

   古書《帝国本草学辞典》

   北区冒険者ギルド隣 住居付き工房テナント (精肉業仕様)

   債権10億円1000年分割返済 (債務者・冒険者ヨーゼフ・ホフマン)


地位 バランギル解体工房見習い (廃棄物処理・営業担当)

   前線都市市長

   前線都市上級市民権保有者

   元職工ギルド青年部書記  (兼職防止規定により職工ギルドを脱盟)

   前線都市魔石取引所・スペース提供者

   廃棄物処理作業員インターン


戦力 赤スライム(テイム済)

   冒険者ゲドのパーティーが工房に所属

   市長親衛隊 (隊長ラモス)



家族 第一婦人     メリッサ

   第二夫人     ノエル

   第三夫人(自称) エリザベス







【著者から】


いつもありがとうございます。

音声作品買ってくれたら、面白いなろう小説を書けそうな気がします!

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