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【嫁遅令嬢】 ちょっと待って! 帝国史上最も偉大な進歩人女性であり名門公爵家令嬢のこのワタクシがいつの間にか行き遅れて学生時代の取り巻きの美形ショタ息子と結婚させられそうになってるんだけ(以下略)

【嫁遅令嬢】 ちょっと待って! 帝国史上最も偉大な進歩人女性であり名門公爵家令嬢のこのワタクシがいつの間にか行き遅れて学生時代の取り巻きの美形ショタ息子と結婚させられそうになってるんだけど、そんな初歩的なハニートラップに引っ掛かるのはプライドが許さないから自主的に帝都を退去したら、《悪役令嬢の追放》と拍手喝采なのは納得がいかない! 何が《逆ざまぁ》よ! 今に見ていなさい! アナタ達が驚天動地するスーパーレア旦那様を捕まえてやるんだから!


「え、エリザベス様!

一体、今何と!?」



眼前で驚く美童はプランタジネット大公の嫡孫ルネ君11歳♡

サラサラの髪と艶々モチモチのお肌がいつ見ても眼福♡



『ルネ・ド・プランタジネット殿!

アナタとの婚約ッ!

断腸の思いで破棄させて頂きますわッ!』




「承服しかねます!

エリザベス様!

私に何か落ち度が御座いましたでしょうか!」



『あるわけないでしょー。

アナタの身体、幼さ故の凹凸が艶めかしくて最高にセクシーですわよ。

せめて味見してから、存分に堪能してから破棄したかったのですケド♪』



呆然とするルネ君の真横から、例によってこの女がしゃしゃり出る。



「そんな! エリザベスお姉様!

どうして!

ようやくお姉様と結ばれると思いましたのに!」



コイツはポーシャ。

ワタクシの幼馴染で女学校時代のルームメイトで、この神聖グランバルド帝国の女性第一人者の座に君臨する

…ルネ君の母親。

あーあ、ルネ君にこんなオマケが付いてなきゃ、思う存分その幼い身体を味わい尽して差し上げますのに。



「ルネ! 

オマエに何か落ち度があったのでなくて!?」



『はーいストップ。

ストップして頂戴ねー。

ルネ君には全く落ち度はありませんことよ。

ポーシャ!

アンタが事あるごとにひっついて来るから嫌なのよ!!』



「?

あら、お姉様ったら何を仰っておられるのでしょう?

母が息子を見守る事は当然の義務でしょう?」



『だからってワタクシのベッドルームにまで侵入しないで頂戴!

アンタ、昔からキモいのよ!!』



「あらあら、お姉様♪

私の事は遠慮なく義母様って呼んで下さってよいのですよ♪」



『ンッ拒否するぅーーー!!!!!』



「でもお姉様。

私を受け入れて下されば…

このルネを好きに出来るのですよ?

ふふっ♪

嫌とは申しませんわよね?

だってお姉様の少年趣味は昔から有名ですもの♪

このルネは、11年間お姉様の好みに近づける事だけを考えて私が手塩にかけて調整した自慢の愛息ですの。

それがお姉様の物になるのですよ?

クスクスクス♪」



『ぐっ! この卑怯者!!

人の性癖を探るなんて最低の女ね!』



「あーら。

探ってなんかいませんわ。

女学校時代、お姉様ったら一人でペラペラ性癖を自己開示していらっしゃったじゃない。」



…言われてみれば。

ワタクシはそういう学生時代を過ごしたような気がする。

仕方ないじゃない。

女子寮のノリってあるじゃない?



「エリザベス様。

ルネでは不足でしょうか?

エリザベス様に御奉仕する為に誠心誠意お尽くし致しますよ。」



ルネ君が美少年特有の白磁の様な手で私を抱き寄せようとする。



ッ!!!!




『だが拒否するぅッ!!!!

婚約は破棄!

君との爛れた新婚性活もッ!!

断腸の思いで諦めますッ!』




話せば長くなりますケド。

ワタクシが帝都を出奔して帝国全土を駆け回る羽目になったのは、大体こういう遣り取りが原因ですわ。









ワタクシの名前はエリザベス・フォン・ヴィルヘルム!


そう。

このグランバルド帝国において最も由緒正しいヴィルヘルム家の公爵令嬢ですの!


あー、緊張しなくてよくってよ。

ワタクシ、そこらの家柄しか取り柄の無い馬鹿女とは一線を画した進歩的女性ですの。

ですから、貴方の様などこの馬の骨ともわからない平民にも気さくに接して差し上げますわ。

ワタクシってなーんて寛容なんでしょ♪ 

己の究極淑女ムーブに感動して思わず涙ぐんでしまいましたわ。


くすっ♪

これだけじゃあ、ワタクシがどんな女か解りませんわよね?

よくってよ。

ワタクシの偉大さを教えて差し上げますから、存分に聞き惚れて行って頂戴。



うーん、困りましたわね。

失礼、ワタクシ顕彰された経験が多すぎて何から披露していいか解りませんわw

あーらごめんあそばせw 

別に自慢とかマウントとか、そういうのじゃありませんのよ。



コレ、何だかわかる?

クスっ♪

ごめんなさいねーw

ホーントごめんなさいねー♪

うふっ♪

庶民の方が知らないのも無理はないかも知れないわね。

帝都では結構有名なんですケド♪


コレ、リジェネポーションというのよ。

クスクス♪

そうよねー。

漫然と生きているだけの普通の女にはわからないでしょうねー。

軍務に就いている殿方なら知らない方は居ないのですケド♪

早い話、これを服用してから3時間は体力が自動的に回復し続けるという代物ですの♪

ワタクシが発明致しましたのよ♪

軍上層部(と言っても、当家の被官や寄子達も奉公している所なのですケド)から《是非、正式採用させてくれ》と頼まれてしまったので、パテントを快く譲らせて頂きましたのよ。

この功績で愛国婦人賞を受賞致しましたの。

ワタクシにはまだ早い、と辞退しようとしたのですが、皆様がどうしても、と仰るから。

オホホホホw


ん? これ?

あーら、こっちは愛国婦人賞ではありませんのよ♪

賞状なんてどれも似たり寄ったりでいやーねw


見せびらかす気は無かったのですケドw

これ《防衛愛国者一等勲章》ですの♪

あーら、よろしくってよ。

グランバルドの長い歴史の中でも女で受賞したのはワタクシくらいのものですからw

知らなくっても恥ではありませんことよ。

オーッホホホww


まあこの程度の事は、ワタクシの輝かしいキャリアの中でもほーんの一部♪

ワタクシは遠慮しているのに、あちらこちらから勲章を頂いてしまってw

とうとう置き場が無くなったから、今は化粧台に避難させておりますの。

昨日なんかは口紅と間違えて、帝国アカデミー最優秀貢献勲章を唇に当ててしまいましたわ。

あやうく大怪我をしてしまう所でした。

オーッホホホww



少しはワタクシが何者か伝わったかしら?

そう! ワタクシはエリザベス・フォン・ヴィルヘルム!

このグランバルド帝国で最も高貴な名門である、ヴィルヘルム家の本家嫡女にして!

薬学博士にして鉱物学博士にして化学博士!

帝国アカデミー最優秀貢献賞3年連続受賞ォおおお!!!!

それが、このっ! エリザベス・フォン・ヴィルヘルムですわ!


…おわかり?




あーら、物分かりがいいのね。

お父様とは大違い。

ほら、あそこに居るのがお父様よ。



「エリザベス! 

またやらかしたようだな!

オマエはどうして問題ばかり起こすんだ!!!」




あらあらウフフw

お父様ったらほーんとにお馬鹿さん♪

《またやらかした》なーんて言われてもどのやらかしの事を言っているのか見当も付きませんわ。

やれやれ、何度も言い聞かせて差し上げてるのに、愚かなお父様ですことw

まあそういう所がチャーミングなんですケド♪




「エリザベスお嬢様!

聞いておられるのですか!!

閣下はいつもお嬢様の心配をしておられるのですよ!!」




この隣の眼帯のダンディは当家の執事長を務めるクラウス。

何でもお父様が士官学校に通ってらっしゃった頃からの付き合いみたい。

二人でこっそり行儀悪く寝転んでお酒を飲んでるのをたまに見掛けるわ。

どうして使用人風情と友達みたいに笑い合えるのかしら?

クラウスの実家って平民区にしか住めない貧乏男爵でしょ?

殿方の人間関係って変だわ。

ワタクシには理解出来ない。



「エリザベス!

…これだけ言いたくないが。

分家筋の娘たちも全員結婚して子育てをしてるんだぞ!

左京大夫家のアンネリーゼなどは3人も健康な男子を生んでいる!

大体、オマエの女学校時代の同級生も全員結婚しているじゃないか!!!

プラプラ遊…  プラプラ国事に奔走しているのはオマエくらいだぞ!


後、帝国産業貢献賞受賞おめでとう。」




『お父様は顔を合わすたびに結婚結婚って!!!

ワタクシだって稀にちゃんと考えてます!

アンネなんて子供の頃から下ネタしか能の無い色情狂じゃありませんか!

あんなのと娘を同列に並べないで下さいませ!


御賛辞ありがとうございます、お父様。

産業省の方に顔を出したいので、今月の舞踏会は欠席して宜しいですわよね?』




「エリザベスお嬢様!

閣下がドレスを新調して下さったばかりでしょう!

今度という今度は舞踏会に出席して頂きますからね!


後、帝国産業貢献賞の御受賞、誠におめでとうございます。

お嬢様は帝国の至宝で御座います。」




『舞踏会舞踏会って! 

あんな馬鹿騒ぎ意味ないじゃない!!!

豚みたいに発情した馬鹿女と家柄を自分の能力と勘違いしている馬鹿ボンボンの巣窟!

5歳の時から決めてたわ!

ワタクシ! こんな下らないパーティーではしゃぐ馬鹿とは死んでも結婚しないってねえ!!

行かないったら絶対に行かないわよ!!!


御賛辞痛み入ります。

今後もアカデミーの一員として帝国の発展に粉骨砕身の姿勢で寄与貢献する事を決意する次第であります。』





はー。

毎日毎日、結婚結婚って馬っ鹿みたい。




「待てエリザベス!

まだ話は終わってな…!!」




ガチャ―ン!!!




あまりにもお父様がしつこいので窓から逃げてやりましたわ。

ふふっ♪

どうしてワタクシが2階でばかりお父様と話すかお分かり?

何と! 3階から飛び降りると足の裏が痛いからなのよ!

くすっ♪

超知略♪



「どうしてあんな愚か者になってしまったんだ!!!」



階上からお父様の悲鳴のような怒声が響く。

あらあら、やぁねえ。

我が弟ゲオルグは至らぬなりにあんなに頑張っているじゃありませんか。

それを《あんな愚か者》だなんて本当に酷いわ。

お父様って本当にお馬鹿さんね。


…そこが堪らなく好きなんですケド♪






あら?

アナタ、まだそんなところにいらっしゃったの?

まったく…。


よくってよ。

ワタクシの絢爛豪華な日常に付き合わせて差し上げますわ。


あーっと、勘違いしないで下さいましね?

絢爛豪華と言ってもワタクシはそこらの凡愚共とは次元の違う有意義な生活を送っておりますの。


くすっ♪

付いて来られるからしら、このワタクシのスピードに♪



ワタクシの名前はエリザベス・フォン・ヴィルヘルム!

大正義超進歩的絶対ヒロインですのよ♪

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― 新着の感想 ―
世のなろう小説の大正義超進歩的絶対ヒロインはなぜか見た目の良いロリっ子ですからね。ヒステリーおばさんは遠慮してください
[良い点] 父と娘、執事の家族としての叱責と貢献して褒めるの同時にする会話がいい! 遊びと言いかけて、言い直すところとかw さすが大貴族!エリートは違うなぁ [気になる点] 賢いのだろうけど、喋り方が…
[一言] このBBAうぜーw
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