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チートで宿敵と決着をつける

ゲートを潜ってすぐの攻撃を予想していた。

なので、こちらも攻撃手段を少しだけ暴発させてしまった。

光線銃を構えた宇宙人が射撃体勢に入っているような光景を予想していたのだ。



まず赤い糸を確認する。

射出角度は、ほぼ水平。

つまり、俺とベスおばは同高度の空間に居る。

ここは天蓋の中。

地球からも月からも観測出来なかった場所。


何度も周囲を眺める。

かなり薄暗い。

人工空間である事は理解できるが…

宇宙っぽいものも無ければ、異世界っぽいものも無く、未来っぽいものもない。


無造作に造成された空間。

或いは資材置き場的な用途を想定していたのかも知れない。



参ったな…

アテが完全に外れた。

神野郎との感動の再会を期待していたのだが…

用意していた決め台詞が全て無駄になってしまった。



糸の向こうではベスおばが興奮して左右に話し掛けている気配がある。

あっちには、あの女の好奇心を満たす何かがあったのか?


いや、違うな。

俺だ。

ベスおばは俺が同高度に登ってきたことが楽しいのだ。


軽く糸をリズミカルに引っ張ってやると何が嬉しいのか爆笑してやがる。

狂人の思考はよくわからないな。


さっきから不気味な笑い声がかすかに聞こえ始めている。

赤い糸は音まで伝達するのだろうか?

糸に耳をくっつけてみるが何の音も聞こえない。

この不気味な笑い声はなんなんだろう?



立ち止まって検証したいのだが、それも難しい。

背後からレザノフの足音が近づいてきているからである。

(オイオイ、ここは狂戦士以外は立ち入り禁止じゃなかったのかよ?)

恐らく最後の力を振り絞っているのだろう。

乱れたリズムではあるものの、物凄い速度で真っ直ぐこちらに接近している。

薄暗いので視認出来ないが、夜目の効くレザノフがこちらを視認している可能性は十分考えられる。


道ずれにされては堪ったものではないので、俺も全力で走って距離を取る。

まあ、普通は瀕死になったら手近な敵を殺そうとするよな。

あの男もずっと俺を殺したがっていたし、最後の執念は十分共感できる。



『ハアハア。

化け物が…

あの傷で何で走れるんだよ。

早く死ねよ!』



悪態をつきながら5分ほど走って距離を稼いでから、呼吸を整える為に壁にもたれた瞬間である。




パキューンッ!




足元で何かが跳ねた。




『うおっ!?』




思わず悲鳴を挙げたのが悪かったらしい。



パキューンッ!



パキューンッ!




俺の居る方向を狙って銃声が襲って来た。

場所をこれ以上特定させないように己の口を塞いで声を押し殺す。




銃?

何で銃?


…いや、ベスおばですら保持していたのだ。

グランバルド帝国ならそれくらい用意するだろう。

そして、レザノフは七大公家の筆頭であるマティアス閣下の寵臣である。

最新の装備を支給されていても不思議ではない。



パキューンッ!



俺の身体のすぐ横を銃弾がかすめる。

狙いがやけに正確だな。

しかも、結構訓練した形跡を感じる。

あの男、どれだけ残弾を…




ズッ!



『んがぁッ!?』




嘘だろ?

この薄暗い中でどうやって俺に当てた?

当てれるものなのか?

赤い糸を目印にしたとしても、銃文化を持たない世界の人間が瀕死の状態で当てれるものなのか?




『…あ、あああ。』




声を押し殺したいのだが、腹部の痛みと恐怖に耐え兼ねて呻いてしまう。

そして呻き声を頼りに3発。



パキューンッ!

パキューンッ!

パキューンッ!



頭部のすぐ真横を弾が通過し、心底焦る。

もしも手負いでなければ、レザノフ程の男の事である、正確にヘッドショットを決めていただろう。



身を屈めて数秒様子を伺っていると、不意に「ドサリ!」という転倒音が聞こえた。

距離は100メートル強であろうか?

狭い一本道であった為、妙に音が響いた。


レザノフが倒れてくれたのか?

死体を確認しに行く愚は犯さない。

俺があの男なら、死んだフリをして寄って来たところに最後の一発を撃ち込むからである。

大体、さっきの転倒音が妙にわざとらしい。

レザノフ程の猛者が、あんな無様な音を立てて転ぶ訳がない。



念の為、地面に耳を付けて音から情報を集める。

俺の幻聴妄想かも知れないが、死にゆく者特有のか細い呼吸音が聞こえたような気がした。

少なくともさっきまでの荒々しい気配は感じない。



俺は口を塞いだまま、ゆっくりと先に進む。

あの男の死を確認出来ないのは痛恨事だが、その心理的な隙を突かれる事だけはゴメンだった。

世話になったなレザノフ。

おとなしくそこで死んでおけ。



…さっきから赤い糸がブンブン揺れてウザいな。

あの女、俺が狙撃されている状況を解っていてやってるに違いない。




そんな事を考えていると、どこかからまた不気味な笑い声が響く。

ん?

レザノフ? ベスおば?

誰だ?  さっきから誰が笑っている?



俺は狙撃を警戒しながら、周囲に耳を澄ます。




『ふふふふふ。』




…ああ、この気持ち悪い笑い声は俺か。

そっかそっか、妙に納得したわ。

現に今、滅茶苦茶楽しいもんな。

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   ランギル解体工房見習い (廃棄物処理・営業担当)

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   (コボルト軍の中尉。 大尉昇進が内定した。)


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   (ただの犬だがコボルト種族内で役職に就いている為、偉い)


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