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チートを射殺されて重体になる。

「ローラ・キャラウェイ。

先日、エリザベス姫殿下に騎士として叙任された者です。

名高いイセカイ伯爵にお目に掛かれて光栄です。」



俺の眼前に佇むのは、銀髪褐色長身眼帯爆乳イケボ美女。

この月世界に来てから一番異世界要素が盛り込まれた女だ。

このお姉さんは俺的に滅茶苦茶ストライク。

多分、ラノベとかファンタジーが好きな人間なら絶対に好きになるタイプのヒロインだと思う。



ただ残念ながら、彼女が俺に突き付けた銃口は明確な殺意を放っている。




【銃を見た瞬間に身体を強張らせた。

やはり地球人であるとの申告は真だったか。】




あ、そうか。

グランバルドには、まだ銃が殆ど普及してないんだ。

だから、銃口を向けられた時の反応で、地球人判定が出来てしまうのだ。

上手いやり方だな。



===================




俺の乗艦である《ゲーゲー部族一番艦》を襲撃したのは2隻の高速艇。

逃げる間もなく左右を抑えられてしまった。

この角度・距離からは視認が難しいのだが、右舷の艦にベスおばが一瞬だけ見える。

甲板上に据えられた長椅子に脚を組んで座っている。

断定は出来ないが長椅子の両脇で直立不動の体勢を取っているのがゲレルとキティであろう。


甲板には軍服姿の数十名が整列しており、恐らくは全員が女性。

かなり統率が取れている印象を受けたので、職業軍人の比率が高いのかも知れない。


にも関わらず、乗り込んで来たのは眼帯お姉さんのキャラウェイだけ。

佇まいから見ても、この女がベスおば私兵団のエースなのだろう。

それにしてもエロい身体してるよな。

ベスおばアウト・キャラウェイお姉さんインでこの話をやり直させてくれないかな…




『エリザベス殿に面会させて頂きたいのですが…』



「姫殿下から《その必要はない》との指示を受けております。」



『それは残念です、とお伝え下さい。』



「ええ伝達を約束致します。

姫殿下からイセカイ伯爵の遺言を伺っておく旨の指示を受けておりますので。」



『では、「エリザベスよ貸したカネを返せ」と遺言しておきます。』



「主君には墓前に添えさせるように進言しておきましょう。」




それにしても、このキャラウェイ姉さん。

全く体幹がブレてないし、隻眼だというのに一度も瞬きしないな。

俺が奥の手を使っても勝てない可能性もある。



「姫殿下からの御命令です。

議長閣下から贈られた神像をこちらに供出するように。

30秒だけ猶予を与えます。」




…クッソ。

ヴィルヘルム公爵…

あなたの娘さん、ガチ過ぎます。



『ちょっと待って下さい!

突然そんな話をされても。』



「29、28、27。」



あ、そこまでやるのね…



『せめてこの艦の乗員を退避させて下さい!

彼らは無関係なんです!』



「26・25・24・23・22・21。」



さっきから【心を読んで】いるが、発言と思考が見事に一致しているな。

俺の能力を知った上での対策なのか?



「20・19・18・17・16。」

【20・19・18・17・16。】



…上手いな。

成程、それでカウントダウンか。



今から船倉に神像を取りに行ってもどうせ間に合わない。

敢えて撃たせておくか…

正当防衛は成立してくれるんだよな。



「15・14・13・12・11・10。」

【15・14・13・12・11・10。】



俺はチョロチョロ動いたり、小声で話し掛けてみるがキャラウェイお姉さんは微塵もペースを崩さない。



「9・8・7・6・5。」

【9・8・7・6・5。】



銃口は俺の眉間を捉えたまま1ミリもブレない。

クッソ、このお姉さんレザノフ系だな。

精密機械系の戦闘スタイルだ。

ベスおばの奴、俺にとって一番相性の悪い相手を送り込んで来やがった。



『どうせ本当に撃つ気はないんですよね!?』



一応、不慮の出来事に必死で虚勢を張るフリをしておく。



「4・3・2・1。」

【10時の方向、操舵士のゴブリンを射殺する。】



クッソ!

そこまでするか!!




『ギューナンっ!!

伏せろお!!!!』




「ゼロ。」

【ゼロ。】



キャラウェイお姉さんはゼロを宣告すると同時に操舵士のギューナンに狙いを変える。

俺は庇う様に射線に飛び込んだ。



ダチュンッ!!



サイレンサーか何かを装着していたのだろうか、銃声は甲高かったが響き渡りはしなかった。

俺は被弾を覚悟して身体を強張らせる。


どこを撃たれた!?

背中?後頭部?それ以外?

痛みはない?

神経は一応接続しているつもりだが…


俺が恐々と振り返るとキャラウェイお姉さんは表情を変えないまま、直上に銃を向けていた。

上空を撃ったのか?



【なるほど。

心を読むとは聞いていたが、ここまで精密に察知して来るとはな。】



キャラウェイお姉さんのそんな声が俺の脳内に響く。



…やられた。

俺の能力判定も目的の一つか…。



「イセカイ伯爵。

もう貴方の能力は看破されている。

以降は、その前提で話させて頂く!」


【5分だけ猶予を与える。

当方に神像を引き渡されよ。

貴艦の船員を使役する事を許可する。

タイムリミットまでに神像を渡さなかった場合、ランダムで1名船員を射殺する。

30秒遅れる毎に死体が1つずつ増える、とも付け加えておこう。】



キャラウェイお姉さん。

エロくてエグいとか最高だな。

俺、アニメのキャラ投票の時にこういう系のヒロインに絶対投票してたからなあ。

あーあ、こういうヒロインとセックスしたかったよなあ。

あー、今からベスおばに頼んだら貸してくれないかな。



『みんな、船倉からあの箱を運び上げてくれ!

3割位の確率で殺されずに済む!』



仲間達が「マジかよー。」「人間種の争いを持ち込まんでくれますか?」とかボヤキながら駆け足で神像を取りに行ってくれる。



「ご協力感謝する。」

【ご協力感謝する。】



他人様に鉄砲突き付けておいて、なーにが《ご協力》だ。

…それにしても、この女の持っている銃。

リボルバーじゃなくてスライド式か。

これ、地球に流通している銃器とそんなにレベルが変わらないんじゃないか?

しかも既製品っぽいホルスターを腰に付けている。

つまり、グランバルド人は銃器を量産する為の技術力を保有しているということだ。

まあ、あの銃の製造元が帝国なのかヴィルヘルム公国なのかまでは判別が付かないが。



「2分19秒。

この船の構造を考えれば早い。

イセカイ伯爵、この事態を想定しておられたのか?」



『いえ。

この船のクルーは元々コボルト軍の御用業者ですので、作業能力は相当に高いのです。』



「この場ではそういう事で納得しておこう。」



『では、引き渡し成立ということで宜しいのですね?

仲間の安全を保障して下さい!』



「了解した。

船員の安全を保障する。」




その言葉を聞いて僅かに安心した瞬間。




ダチュンッ!!




本来、心臓のある位置を撃ち抜かれる。

全くのノーモーションだったので撃たれ終わってから数秒、事態を認識出来なかった。


ヤバい!!

銃創は想定外!!


え?

撃たれた時って血が出るのか?

どんな風に身体が損傷するんだ?

悲鳴は上げた方がいいのか?


あ、ヤバい!

アドリブが思いつかない!!




「婚姻贈答を受領させて頂いた。

主家の慶事に立ち会えた事、末代までの誉れとしよう。」


【身体を弄っているという噂は聞いていたが、まさかここまでとはな。

事が起る前に把握出来たのは大きな収穫だ。】



キャラウェイお姉さんは、こちらの船員達が神像をベスおば艦に移したのを確認すると、音も立てずに身を翻して去って行った。

赤い糸からベスおばがハンドサインの動作をした事が伝わった1秒後。

ベスおば艦は僚艦と共に回頭し、ゴブリン水域を離脱してしまった。



ヴィルヘルム公爵との打ち合わせ通りとは言え、あの女に手の内全てを暴かれたのはキツいな。

問題はあの女が逮捕された場合に、俺のギミックを帝国政府にバラしてしまう事が予測される事だ。



うーん、キティは「合間を見てこちらに駆け付ける」と約束はしてくれている。

あの女の性格なら泳いででも来てくれるだろう。

(加えて、ベスおばの性格ならキティの造反を笑って許容するだろう。)

その時に神像が手元に無ければ、大幅に俺の計画が遅れるな。



俺は銃弾を摘出してから、クルー達に詫びて回った。

【読者の皆さまへ】


貴方が☆☆☆☆☆ボタンを押せば押すほど、展開がハッピーになる天国システムを導入しております。

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