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チートで寝取られる

幾らやらかした立場とは言え、ずっと営倉に閉じ込められているのもストレスが溜まる。

それで、キティを中に入れてもいいか?と尋ねたら、ゲーゲーに物凄く怖い顔で睨まれた。


『いやいや冗談冗談、冗談ですって

族長、そんな怖い顔しないで下さいよ。』


立場が立場だけに色々自粛することにする。

確かに、一番大変なのはゲーゲーである。

今、各種族に対して弁明したり陳謝したりしている。

俺を叱責する権利は十二分にある。


でも、まあ。

俺というカードを抑えている立場は強いよな。

あの男も鋭敏な政治家なので、かなり巧妙に立ち回っているようだ。

俺の身柄を確保している限り、各種族の要人が様子を探りに接触してくるし、そこで出来たコネは今後のゴブリン外交に反映されるのだろう。


今の所、俺の様子を見に来てくれたのが、ゲーゲーの息子であるギーガー。

そしてキティの二人だけである。

俺と共にこの水域まで来たゲルグは、周辺水域を弁明行脚してくれているようだ。

もう君達一族には頭が上がらんな。


幸い、ゲーゲーがこの艦を母艦の近くに接舷してくれているので、各種要人の【心が読み放題】である。

月世界に転移してから、一番政治的核心に迫れているような気がする。



====================




現時点の俺が把握している事柄を羅列していく。



・ラルフ君帝都に到着、無事に俺を告発する。


・七大公、(政治的な駆け引きも多少はあるだろうが)ラルフ君を気に入る。


・伊勢海地人が地球人であること、その地球が天蓋の表面に勝手に基地を作っていることが発覚。


・ギルガーズ大帝、北西部開拓と対リザード&人間外交のどちらに注力するか迷ったあげく、滅茶苦茶中途半端な位置に遷都してしまう。


・ゴブリンのうち採掘に特化した4部族が合弁会社を設立、人間種以外の支配地に資源採掘代行サービスをプレゼン。 (結構好評。)


・ドラン夫妻、コボルト首都での歓迎式典中に伊勢海スキャンダルを知らされ、微妙な空気に。

滞在を早めに切り上げ、リザード領に戻って来る見込み。




皆から読んだ【心】を総合するとこんな感じである。



====================




後、ベスおばが調子に乗って高速艇で蛇行航行(リザード航行法違反)して海警に捕まったっぽい。

糸の動きからしてあの女が舵を握っていた(リザード海洋資格法違反)と推測される。

あの女が必死で言い訳をする時の手をバタバタさせる動作が糸越しに伝わって来たので、リザードに叱責されているのだろう。

もっとも、俺を油断させる為に、糸をその様に動かしている可能性も捨てないが。



「チート、今いい?」



『キティか…。

面会時間過ぎてるぞ?』



「ちょっと外で息抜き代わりに買い物をしたいんだけど…

ギルを貸してくれない?

後でちゃんと返すから。」



『いいよ。

ゲーゲーが俺の資産を管理しているから、そこからギルを引き出してくれ。

それともゲーゲーには内緒にしたいか?』



「…うん。」



俺は飲み込んでおいた金粒を半分だけ吐き出す。



『洗ってから銀行船に持って行けば…

1000万ギル近くになるだろう。

一度に両替すると噂になってしまうから、分散して換金するといいよ。

まあ、キティは目立つから、すぐに目に付いてしまうと思うけど。』



「ゴメン。

借りて行くね。」



短くそういうとキティは慌てて飛び出して行った。

芝居の出来ない女だ。

あの女は息抜きも買い物も必要としない。

キティが形振り構わずにカネの工面をする相手はベスおばしか居ない。


さっきベスおばは蛇行航行でリザード側に摘発された。

悪質航行は重罰金刑(支払いが遅れると船を没収される)なので、ベスおばが何らかの手段でキティに連絡を取りカネを用意させた。

そう考えるのが妥当だろう。

高速艇は私人が購入するにはあまりの超高額品なので、もしもベスおばが購入したとすれば手元のキャッシュは乏しい筈だ。


これも俺を騙す為の芝居ではないと言い切れないが、俺の思考を誘導したいならキティなんて使わないだろう。

あの女にだってイレギュラーは起こるのだ。



シュタインフェルト卿もブラメチャー殿下もコボルト側の新大使もこの周辺に集まって来ている。

騒動だけは起こさないで欲しいものだ。




============================




キティが出て行って1時間後。

赤い糸に反応。

ベスおばが重量物を誰かから受け取った反応がある。

キティが金粒を換金したギルを渡した?


糸の動きが粗い。

興奮しているのか?

振動から怒気を感じるな…


ん?

重量物を誰かに渡した?

それも、かなり高い視点の相手に手渡した。

人間種の身長ではない。

ということはリザードの海警への罰金か?


おお、怒っとる怒っとるw

何か怒鳴ってるのが伝わってきたww

おもしれぇ女ww



これが俺を油断させる為の入念なコントだという可能性もあるが…

あの女ならやりかねないんだよなあ。

まあ、9割がた航行法違反で罰金を払ったのだろう。



============================



もはや必要も無いのだが、睡眠を取る。

母艦周辺の【心を読み尽くした】ということもあるが、一種の娯楽だ。

昔はカネが無かったから朝から晩まで父さんとゴロゴロ寝ていた。

その名残だ。


視線を感じたので、睡眠を中止した。

夢を見ていた気もするが、それこそ気のせいだろう。

今の俺が夢など見る筈もない。


監視窓を見上げると、人間種の美少女がこちらを見ていた。

あまりに美しいので、シュタインフェルト側・ベスおば側両方のハニートラップを警戒する。

間髪入れずにスキルを発動して【心を読む】。



何だ…

男か…

凄い美少年だな。


しかも…

《ルネ・ド・プランタジネット》

マティアス閣下のお孫さんだ。


加えて…

【我が愛しのエリザベス様を取り戻す為に!】

などという声が聞こえてくる。


あ~、ベスおばの奴がいつぞやか自慢してたな。

《帝都では美少年婚約者に愛され過ぎて困ってましたのよw

おーほほほほwwww》

その時は脳内婚約者に縋るなんて惨めな女だ、と憐れんでやっていたのだが。

まさか実在していたとはな。



「窓越に失礼します。

イセカイ卿、お目覚めでいらっしゃいますでしょうか?」



寝ているフリをして【心を読んで】みるのも一興だったが、あまりの美少年ぶりだったので首を曲げて視線だけで相対する。

今は手足が折れている設定だからな。

起き上がってしまうと、後で整合性が取れなくなる。



『こんな格好で失礼します。

今、起き上がれる体調ではないのです。』



俺の腫れ上がった顔と、ねじ曲がった手足を見て美少年はやや憐れんでくれた。

ゲーゲー族長、同情戦法は思っていたより効果的かも知れませんね。



「私の名はルネ・ド・プランタジネット。

イセカイ卿の話は、いつも祖父から伺っておりました。」



『マティアス閣下のお孫様ですね。

貴人に対して寝たままの応対をお許し下さい。』



「いえ!

押し掛けたのは私ですから!

それにここにはマティアス家の人間としてではなく。

1人の男として来ております。」



親ガチャ当たった奴はいいよなあ。

オマエみたいなガキが、自分だけの力でこんな所まで到着した気になれてるんだからさあ。

俺、オマエみたいなクソガキが妬ましくて羨ましくて仕方ないよ。

美形過ぎて憎しみの情が沸かない所も、一段と憎いねえ。




『ルネ様の様に高貴な方が、どうしてお一人で?』




案の定、ルネ君はベスおばの婚約者であり破談を宣告されたものの、どうしてもベスおばが諦めきれずにリザード領までやってきてしまったとのことである。

婚約はプランタジネット家にとってもヴィルヘルム家にとってもオフィシャルなものでは無かったようだが、ルネ君の母親がベスおばの幼馴染で、息子が幼少の頃から勝手に作り上げた婚約話を吹き込み続けていたらしい。

ルネ君の母親…

あああ!

ベスおばと通信していた女か!?

確かポーシャとか呼ばれてたな。




「エリザベス様を…  取り戻す為です。

イセカイ卿、貴方の手から。」




…マジか。



…え?



マジか?



え?



そんな下らないことの為に…

君ほど高貴で美しい少年が帝都から危険を冒してリザード領までやって来たのか!?



…馬鹿じゃないのか?



いやいやいや、俺がそんな美形に生まれたら手当たり次第に女を喰いまくって、ハーレムを築いてるぞ!?


いやいやいや!

アンタ、帝国の第一人者であるマティアス閣下の孫だろ?

寧ろ、どんな美女でも向こうからやって来る身分だろ?

俺だったら権力を使って選りすぐりの美女をダースで呼びつけるけどな。

それで朝から晩までヤリまくるんだ!

普通はそうするだろ!?


えーーーーーーーー?

えーーーーーーーー?

なのにベスおば?

頭おかしいんとちゃう?



「旅の途中で知りましたが…

イセカイ卿は実は日本人だったのですね。

そして日本がある地球は天蓋の表面に到着してしまった、と。」



『隠していた訳ではないのですが…


はい、そうです。

何か色々スミマセン。』



「先程、本国の御爺様から指示があり。

急遽、私もプランタジネット家の一員として情報取集任務にあたる旨の命を受けました。」



そりゃあ、そうだろう。

この月世界存亡のタイミングで、貴人が女の尻を追いかけるなんて許されるハズもない。



『あ、はい。

私もルネ様に謹んで協力致します。』



「公務へのご協力感謝します。

同じグランバルド貴族として、貴方が足並みを揃えて下さる事を信じます。」



『え!?

私、まだ貴族なんですか?

普通、爵位とか剥奪されるものじゃないのですか?』



「爵位の剥奪には議会での議決が必要ですが…

この情勢でそんな法案出せる訳がないでしょう。」




俺の伯爵位(それも口頭での叙任だった)なんてとっくに剥奪済かと思っていたが…

冷静に考えればそれは難しいな。

俺はヴァーヴァン主席の猶子だ。

主席閣下の指示でも無いのに爵位を剥奪すれば、面子を潰してしまうことになる。

そして帝国がそこまで考えているかは不明だが、俺はゲーゲー部族の一員でもある。

ゴブリン側の感情も刺激しかねないか…

(まあゴブリンの対人間感情は既に最悪であり、これ以上悪化のし様がないが。)




『皆様にはご迷惑をお掛けします。』



「貴方を責める道理はありません。

私事で出奔した愚か者です。」




ああ、一応弁えてるんだ。

そこはポイント高いな。


その後、俺は把握している情勢を一通りルネ君に伝えた。

ギルガーズ大帝の遷都は未発表だから、情報価値は高いんじゃないだろうか?

まあそれくらい大帝陛下が北西部開拓と対リザード・人間外交を天秤に掛けて悩んでいるという事だ。

北西部開拓に立ち会わなければ、現地の独立色が強まってしまい必ずや後の禍根となる。

対リザード・人間外交の陣頭指揮を取らねば、必ずこの2種に対して外交的後手を踏む羽目になる。

大帝陛下、まさか己の治世中に領土の両端に巨大利権が発生してしまうとは夢にも思わなかっただろう。

あのお方も聡明な方だけに大変である。




「ただ、これだけは宣言しておきます。

私は、エリザベス・フォン・ヴィルヘルムを心から愛しています!

例えこの身が砕ける事があっても、エリザベス様を手に入れてみせます!」




お、おう。

《何でベスおば?》

と言い掛けて口を噤む。

ルネ様、目がマジすぎて怖いんですよ。




そんな下らない遣り取りをしていた所為で…

ベスおばの接近にしばらく気づけなかった。

赤い糸の反応!?

距離直上8メートル!?

乗艦してきた!?




「それではイセカイ卿。

また、日を改めて。」



『ええ、恐縮です。

私もルネ様との再会を楽しみにしております。

体力の限界ですので今からしばらく眠ります。』




俺に別れを告げたルネ君はギーガーの船室へ向かう。

どうやらベスおばの接近には気づいてないらしい。

まあこのゲーゲー艦はそこそこ大きい上に来客も多いからな。




しばらく狸寝入りをしながらベスおばの方角の【心を読む】。

当然、スキルは全開だ。

何人かの随員が居るな。

キティの他には…

同性のボディガードが数名。

リタという名の少女秘書を連れている。

どうやら、この秘書はベスおばのお気に入りらしいな。


ふむ。

やはりさっきの不審な動きは蛇行航行をして現行犯摘発されたっぽいな。

罰金額は200万ギルか…

リザードの社会も結構厳しいな。



「あはははははwww

手足が曲がってるwwww


伊勢海クーンwwwww

お見舞いに来てあげたわよ~wwww


アーッハッハッハwwww」




『…アンタ、楽しそうだな。』




「ええ、今ワタクシ最高の気分よw

ねえ伊勢海クン。

アナタ、私を退屈させない為にお父様が雇ったピエロではないのよね?」



『今度、公爵閣下にピエロ代を請求しておいてくれ。』



「あははははははwwww

よくってよよくってよww

お父様にはワタクシから口添えしてあげるわwwww」



『で?

何の用だ?

俺は見ての通り懲罰中でな?

女犯戒に関しても念を押されたばかりだ。』



この角度からは目は合わないが、キティのピンク髪が窓の近くでチラチラ動いている。

流石に主君の前で、俺に話し掛ける気は無いらしい。




「何?

ワタクシとセックスしたいの?

それともキティ?


伊勢海クン、アナタw

キティの胸に赤ん坊のようにしがみ付いて朝から晩まで甘えていたらしいじゃないww

結構可愛いところあるのねえww」




…クッソ。

この分だと政治的な情報も全部筒抜けだな。

少なくともキティに漏れた情報は全部ベスおばに流れているとみるべきだろう。




『ガールズトークが弾んだようで何よりだ。』




「ねえ、男の人同士でもこういう話題ってしてた訳?

まさかゴブリンにワタクシの話とかしてないわよね!?」




『一見自由に見えるゴブリン社会だが、性的な部分は結構厳しい。

殆どがお見合い結婚で、婚外交渉は一切認められていない。

余程親しい仲じゃないと異性の話は出来ないんだ。』



「へえ。

意外ねえ。

ワタクシ、ゴブリンって獣みたいに本能のまま生きてる印象持ってたわ。」



…オマエにだけは言われたくないけどな。



『なあ、ルネ様が来てる事は聞いてるか?』



「え!?

ルネ君が!?

何で!?

リザード領に来てるの!?」



『いや、さっきまで話してたんだ。

まだこの艦に居る筈だ。』



「あの子が次の大使?

まだ元服前でしょう?」




『いや、個人的にアンタを追って来たらしい。』



その言葉を聞いた瞬間に、ベスおばの背後の取り巻きが《キャー♪》と嬌声を挙げる。

どうやら女にとってはそそるシチュエーションらしい。

ピンク髪もぴょんぴょん嬉しそうに飛び跳ねている。



「ほへ~。

女冥利に尽きるわねぇ。

いやあ、いい女って罪ですなぁww

オーッホッホッホッホwwwww」



アンタが嬉しそうで何よりだ。

そりゃあ、俺が女でも喜んだだろう。

あんな美少年に追って貰えたらな。


しばらくベスおばの取り巻きが大声でギャーギャー騒ぎながら艦内をドタバタと走り回り、ルネ君を連れて来た。

俗にいう感動の再会、という奴だ。



「エリザベス様!!

やっとお逢い出来ました!!」



「やっほー、ルネ君久しぶり~♪

元気にちてまちたか~?」



「貴女を想って胸を搔き毟らぬ日など一日としてありませんでした!」



「わかる!

わかるわぁ~。

ワタクシもルネ君のことばっかり考えてた!

うん、そんな気がする!

そういう事にしておきましょう!」



「エリザベス様!

婚約破棄された身分で未練がましいと思われるかも知れませんが!!

イセカイ卿と御結婚されたと聞き、居ても立ってもおられず帝都を後にしました!

貴女を奪い返す為に!!


エリザベス様!!

愛しております!!!

私の伴侶となって下さい!!」




「おっけー♪

なるなるw なりますわ♪


あー、ルネ君少し背が伸びた?

もうエッチな事は出来る身体になってくれた?


デュフフww

今日からこの幼い肢体を好き放題出来るのねぇ♪


ねえ、ルネ君♪

今から! 今から早速ワタクシの船に参りましょう♪


ワタクシの船長室、なーんとリザード式のエロエロウォーターベッドが完備してあるのよ!

さっき海警に没収されそうになってマジ焦ったけどww


さあ、2人でラブラブチュッチュしましょう♪

ワタクシが手取り足取り色々教えてあげるからね~♪

デュッフフフフwww」




ふう。

ようやくこの女とも縁が切れてくれるか。

じゃあルネ様、後は貴方の方で面倒見て下さい。




「…待って下さい!」



「!?

ん?

ルネ君どうした?

いきなりHな事は緊張しちゃう?

最初はお口だけにしておこうか?

ゴメンね♪ ゴメンね♪

ルネ君があまりに可愛いからワタクシ先走ってしまいましたの♪」



「現在、エリザベス様はイセカイ卿と御結婚されています!

その関係はどうなるんですか!!!」



「え?

伊勢海クン?


ああ、アレ。

アレはね、ピエロ。

お父様がプレゼントして下ったサプライズピエロなの♪


あんなのどうでもいいから、早くお部屋行こう?

長旅の汗も流したいよね?

ワタクシが身体の隅々までデュフフww

ね♪ ね♪ ね♪」




「私は破廉恥な不倫をしに来たわけではありません!!

イセカイ卿との婚姻がエリザベス様にとって不本意なものであるならば!

正式な手続きを以て清算して下さいと申し上げに来たのです!

私からの求婚はそれを踏まえてのものです!」




「あ、うん。

…部屋には来ない?」




「まずはイセカイ卿も交えて!

皆で合議することこそ筋でありましょう!!」




「ねえ、伊勢海ク~ン。

ワタクシ、ルネ君の幼い身体に溺れたいから離婚してくれる~?」




『あ、オッケーでーす。

どうぞどうぞ。』




「はい、清算終わり♪

ウヒヒヒヒ♪

ルネきゅ~ん、今夜は寝かせてあげないわよ~♪

地の底まで堕落しましょう」




…地の底はゴブリンが養魚作業してるから邪魔しないようにな。



俺がふとルネ君を見ると美しい瞳から涙を流し続けている。

俺は芸術に疎いがミケランジェロやら何やらの作品の様に麗しい泣き顔だった。

美少年は何をしても絵になるから卑怯だよな。




「ん?

ルネ君どうした?

ルネ君どうした?

Hは怖い? Hは怖い?

大丈夫! ワタクシ優しくするから!

ワタクシ生まれつき優しいから!!

だから部屋行こ? 部屋行こ?

何もしないって約束するから部屋行こ?」




「エリザベス様は…

こんなにもイセカイ卿の事を愛してらしたのですね…」




「ん? ん? ん?

ルネ君どうした? ルネ君どうした?

ん? 誤認? 

何か誤認しちゃった?

今の遣り取りのどこに愛情要素あった?

ん? ん? ん?

ワタクシ、こんな奴なんとも思ってないからね?

殺す奴リストの一番上に載せてるくらいの第一仮想敵だからね?」




そいつは奇遇だな。




「ルネ君!?

ちょ! ルネ君!!!

セックスは!?

おセックスは!?

ちょ、待っ!!!!!」




ルネ君は走り去ってしまった。

残されたベスおばはヒステリックに泣き喚いて、監視窓から俺を棒のようなもので突き続けた。

まったく、今日は厄日だな。



ちなみに、キティからもベスおばからもカネは返して貰えなかった。

絶対お釣りパクってるよな。

血も涙も無い奴らだ。

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