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【嫁遅令嬢】 ちょっと意味ワカンナイ! 帝国史上最も偉大な進歩人女性であり名門公爵家令嬢のこのワタクシがいつの間にか冒険者ギルドで逆ハーレム状態になっ(略)

【嫁遅令嬢】 ちょっと意味ワカンナイ! 帝国史上最も偉大な進歩人女性であり名門公爵家令嬢のこのワタクシがいつの間にか冒険者ギルドで逆ハーレム状態になってるんですケド ふっw あ~ら自慢か何かに聞こえてしまいました? ごめんあそばせw

「冒険者エリー!

貴方の気高い黄金の様な精神!

実に感動した!

是非、私の伴侶となって欲しい!」



「待て!

俺にも求婚する権利がある!

エリー殿!

俺は本気だ!

君と添い遂げたい!」



「貴方こそ勇者と呼ぶに相応しい!

エリー、貴方は最高の女性だ!

僕とパーティーを組んで欲しい!

2人で! 永遠に!」





…やれやれ、ですわ。

ワタクシ、結婚なんてするつもりはないし

下賤の男を人間だとすら思った事はありませんのに…


ハア…

我ながら溢れ出る魅力にうんざりしますわ。

たかがゴブリンジェネラルを討ち取ったくらいで大袈裟な。

まあ、冒険者という連中は本能で生きてますから、ワタクシがちょっと戦場で雄姿を見せつけてやったら、その無比なる価値を悟ってしまうのでしょうねぇ。


殿方の勇気ある告白を無下にするつもりはないのですけれど…

ワタクシ、自分と釣り合う相手としか結婚する気がありませんの。

そんな殿方がこの世に居る訳もないケド

消去法でお父様くらいかしらねえ。

結局、お父様の連れて来る相手が一番マシなのが癪なのよねぇ。

ルネ君(11歳♪)は性欲の吐け口としては最高なのですけど、余計なオマケがね。

ジークの奴は最近頑張ってるみたいだから、30点くらいは付けてやってもいいけれど。

…やっぱり、25点くらいよねえ

まあ、家柄的にあの泣き虫男くらいしか釣り合う相手が残っていないのだけれど。


ハア。

貴族なんかに生まれるものじゃないわね。

もしもワタクシが平民だったら、もう少し自由に振舞うのに。

価値観を共有出来て、ワタクシに匹敵する学識があって…

ワタクシと拮抗して…

対等の相手として認めれる相手になら嫁いでやってもいいわ。

そんな男、この世に存在する訳ないケド。



ハイハイ、プロポーズプロポーズ

アリガト、アリガトね。

女のプライドは存分に満たされてますのよ?

その点は嬉しく思いますのよ?


でも、お断り。

ワタクシ、ちゃんと理想を持っている女ですの。


後ろの方で負雑魚女共がキーキー騒いでいるのは多少快感ですケド…

ワタクシには貴方がた下賤と違って使命が御座いますの。

路銀の補充も終わったし、さっさと南境に向かいたいのですけれど。


ハア。

また花束を持った殿方ですわ。

やれやれ。

どうして、こんな目に遭ってるんだか。



話は数日前に遡りますわ。



=======================




ようやく、帝都の都市圏を出たわね…

ここから先は平民ばかりが住む土地になりますわ。


いーえ、ワタクシには解りますの。

ほら、その証拠に。

すれ違う男達がワタクシのこと、「ブス」としか言わなくなったでしょう?


コレ、バロメーターとして便利なのよ。

ワタクシの顔ってご先祖様に生き写しじゃない?

当家の中興の祖である第66代当主の覇王ヴィルヘルム。

ウチでは太祖様とお呼びしているけど。

この人がもう少し長生きしてくれればねえ…

七大公家風情が増長することも無かったのですけれど。


ほら、当家の玄関ホールに太祖様の大きな肖像画があったでしょ?

そっくりだったでしょ?

ワタクシが生まれた日、大変だったらしいわよ?

「太祖様が転生して降臨された!」って。



はあ?


顎のしゃくれた?

意地悪そうな?

狡そうな眼付きの?


アナタ、時代が時代なら縛り首よ?



まあ、いいわ。

そんな顔に生まれてしまったから、丸の内では初対面でもみんなワタクシがヴィルヘルム家のものだと解るのね?

ほら、貴族の教科書って肖像画が添付されてるじゃない?

最近は血が混じって貴族はみんな同じ顔をしてるんだけど。

ワタクシだけが戦国乱世の頃の太祖様と同じ顔つきをしてるのね?

もう学校に入った時なんて周囲全員から恐れられたわよ。

そりゃあ、そうね。

今貴族ぶってる連中なんて、太祖様に戦場でメタメタのギッタギッタにされた負け犬共の子孫ですものね。


学苑の忘年会で御先祖様ギャグを披露したんだけど、何故か凡人共の理解を得られなかったわ。

はー、やだやだ。

帝都のレベルも落ちたものね。

この程度のユーモアも理解出来ないなんて。

あー、やだやだ。

いつの世も、先覚者というのは常に孤独なものね。


話が逸れたわね。

だから、帝都でワタクシにふざけた態度を取る人間なんて1人もいないんだけど…

でも、平民には貴族の肖像画を見ることを禁止しているから…

こういう下賤の街では「ブス」「ブス」ってすれ違う度に言われるの。

実に感心だわ。

ワタクシが思っていたよりも、禁令がちゃんと守られているのね。

もしもワタクシの顔を見てご先祖様を連想する不届きな平民が居れば、その場で無礼討ちにしてやるつもりだったのだけれど。

平和的な旅になりそうね。



さて、と。

馬を2頭乗り潰してしまったし…

平民風に変装したこの衣装ですらも、この街では高級品に見えるらしいし。

もう一段レベルを下げますか。



「ひょっとして、どこかのお嬢様かい。

その身なりから見て、帝都の大店か何かのお嬢様?

この店は、そんな立派な服を着た人間が来る場所じゃないよ。

いやいや、カネの問題じゃない!

高貴な方を入店させてしまったら、後で俺達が罰を受けちまう。

面倒事は御免だよ!」



ほらね?

これ帝都では卑しい身分の女が着る服なのよ?

ワタクシなりに精一杯ランクの低い衣装を用意したつもりだけど…

まさか、居酒屋にも入れてくれないなんてね。




仕方ない。

あそこの古着屋で交換して貰うわ。

アナタはちょっとそこで待ってなさい。

それこそ下賤の職人が妻に着せている様な衣装が欲しいの。

いいのよ、まさかこのワタクシがそんな恰好をしているなんて誰も思わないでしょ?



じゃあ、あそこに干してるボロ着を譲って貰ってくるわね。

多分アレ、女冒険者用の上着でしょう。

ん?

危険?

あんな裏通りに行きたくない?

そう?

別にこの街、そんなに脅威になりそうな相手は居ないけど。

大体、ワタクシに言わせれば帝都の丸の内以外は総じてスラムよ?


ほら、あそこの厩の前に居る女。

遊牧民かしら?

実物を見るのは初めてだわ。

あの女くらいじゃない?

ワタクシに勝てそうなのは。


ん?

話し掛けるわよ?

どのみち、同性の護衛は雇うつもりでいたし。


は?

遊牧民に話し掛けるのが怖い?

じゃあ、アナタはそこで待ってなさい。



=============



「へえ、アンタ帝都から来たのかい。

で?

今からどこに行くの?

南の果て?

日本人の痕跡を探しに?


あははははw

世の中には物好きも居たもんだww


いいよ、付き合ってやるよ。

いや、アンタが気に入っただけ。


今、アタシはパーティーから離れて行動してるんだ。

ドワーフと組んでるんだぜw


元は敵だったんだけど、妙に可愛気のあるオッサンでな。

騎士崩れを養子にしてる変わった奴さw


両方とも身体の相性もいいし、アタシは気に入ってる

今度紹介してやるよ。」




ほーらね、気のいい奴じゃない。

今からゴブリン殺して遊ぶみたいだから、アタシも一緒に行くわ。

アナタも来る?


あっそ。

別に強制はしないわ。

ワタクシ、色々試してみたいスキルとか道具とかがあるから。

別に人間でもオークでも何でもいいのだけど。

とりあえずゴブリンで威力調整してくるわ。

ん?

仕方ないでしょ。

動いてくれないと的の意味が無いんだから。


南方にはリザードってトカゲの化け物が住んでるみたいだから、いずれはソイツらにも試してみたいわね。



=============



あはははw

あの遊牧女、手当たり次第殺し過ぎて冒険者資格を凍結中なんだってww

馬っ鹿ねえw 

ワタクシなら絶対バレないようにやるけどねww


ん?

だってアナタ、昨日の夜私達のテントに絡んで来た下郎を始末したこと気付かなかったでしょ?

いや、きっちり殺したわよ?

貞操を護るのは乙女の義務だから。


問題ない問題ないww

いやいやいやww

死体が完全に消滅したということは、ワタクシが何の問題も起こしてないということだからw


ん?

証拠は?

ワタクシが殺したという証拠はあるの?

あはははw

死体も証拠もないのに、誰が告発出来るって言うのよww

貴方ってほーんとお馬鹿さんねぇww


とりあえず遊牧女の代わりに、ワタクシの冒険者ギルドカードでゴブリンの牙を換金しておくわ。

ん?

さっき登録したけど?

ほら、街道脇に女乞食の死体が転がっていたじゃない?

使い道があると思ったから、教会の保護札を頂いてきたのよ。

その乞食の名前がエリーでね?

名前が似てて助かるわ。




『ねえ!

聞きそびれてたんだけど

アナタ、名前はー!?


へえ、やっぱり遊牧民は変わった名前ね。

ワタクシはエリー!

勿論偽名よ!

あははははw』



ちょっと貴方、あっちにもゴブリン素材があるらしいから。

運ぶの手伝いなさいな。



『あらぁ。

ここが換金カウンター?

剥ぎ取った素材をここに置けばいいの?


困ったわねぇ。

はい、どっさり♪


ほーら、だから言ったじゃないww

馬鹿ねぇww


ちょっとゲレルぅ~、夕方にもう一回来いですって。

アナタ、殺し過ぎなのよ。


え~?

ワタクシは50匹くらいでしょ?


嘘?

そんなに殺した記憶はないんだけど。


ああ、わかるわかるww

殺した相手なんて普通は数えないわよねwww


アナタとは気が合いそうね♪

これからも是非宜しくお願いするわ!


ええ、安心して

華々しい戦場を用意してあげる♪


それが望みなんでしょ?


OK♪

契約成立ね、仲良くしましょ♪』




あら?

アナタはあの女苦手?

そう?

実直で気のいい奴だと思うけど。



ん?

コレ?

ああ、ゴブリンの親玉の首よ。

ここらを荒らしていたらしいわね。



ああ、安心して。

ちゃんと群れごと根絶しておいたから。

ワタクシを崇める愚民共の歓呼を貴方にも聞かせてあげたかったわ♪


フー。

それにしても、善行を積むと気持ちいいわねぇ♪

初夏の木陰を吹き抜ける涼風の様な心地よさよ。



もうねー

冒険者達が熱い眼差しを送ってきて困ったわよ。

ワタクシにとっては何でもない駆除作業だったのだけど、どうやらこの街はゴブリンに苦戦していたみたいなのね。

若い男の子が強引に口説いて来て、ホーント困っちゃう。

まだ14とか15とかの子よ?

本人達は大人のつもりなんだけど、身体つきが少年なのよ。

そう、肌とかツルツルしてて手足がひょろっとしててね。

多分、童貞なんじゃないかしら?

ちょーっとワタクシが耳元で優しく囁いてあげたら、お顔真っ赤にしてたからww

若い子で遊ぶのってホーント楽しいわぁww


でも、そんな年端も行かない子供の部屋番教えて貰った所でねえ?

反応に困るわw


ハア?

アナタ、そういう下世話な話だけには喰いつくのね。

いつもワタクシがしてあげてる高尚な話題に喰いつきなさいよ。

だーめ。

論文で読みなさい。

何でもかんでも口頭で済まそうとするの、現代人の悪い癖よ~。

ワタクシみたいな碩学になると、主張を全部論文にまとめてあるから。


ハア?

勉強の話なんてどうでもいいから、男を紹介しろって?

浅ましい女っていやーね。

酒場でナンパ待ちすればいいでしょ。


ん~?

同じヤルなら少年とヤリたい?

ったく。

まあ、そこは同感ね。

ハイハイ。

連れて行ってあげるわよ。

ワタクシも美少年の透明感ある肉体は嫌いじゃないしね。




わかったわかった。

ゴブリンの賞金を受け取ってからね。

あのねえ。

男の部屋に行くんでしょ?

小奇麗にしてからじゃないと。

ほら、ああいう年頃のオトコノコって女に幻想持ってるから。


そうよー。

女には腋毛が生えないとか、本気で思い込んでるの。

まあ、そこがそそるんだけどww


だから、ちゃーんと小銭を確保して身支度しなくちゃ。

ねえ、アナタ臭いわよ?

そのままオトコノコの部屋に遊びに行くつもりだったの?

引くわー。

お互いずっと湯浴みが出来てないんだから、がっつかないがっつかない。

せめて髪くらいは整えなきゃ、若い子から痛いオバサンって思われちゃうわよ?



『あら?

戻って来たのゲレル?

厩に泊まるって言ってなかった?


ハア?

ワタクシにプロポーズしたがってる男ぉ?


アナタね~。

勝手に連れて来るのやめなさいよ。

絶対面白がってるでしょ。』



「あのなー。

人生の先輩として教えてやるけど

今、アンタの最後のモテ期だぞ?」



『え?

ウソ!?』



「ホントホント。

ここで自分の値段を吊り上げようと勿体ぶってたら

その後、最低ランクの男に捕まっちまうんだ。」



『何?

経験者は語るって奴?』



「アタシは勝ち組だもんww

ただ、あちこちで負け犬女を見て来たからね~。

大体、女が人生ミスるパターンは知ってるつもりw」



『ワタクシ、ミスってるように見える?』



「アンタさー。

男に文句多すぎw

そんなこと言ってたらガチで行き遅れるよ~」



『既に同窓生共からは《嫁遅令嬢》って陰口叩かれてるわよ。』



「あははははwww

イキオクレージョーwwww

あははははははww

流石にお貴族様は例えが上手いねえwww」



『笑い事じゃない。

親戚も同期もみんな結婚しちゃって…

ワタクシ、お父様や領民からもプレッシャー凄いんだから。』



「アンタ注文多いから駄目なんだよ。

男に対して要求するポイントの中で

ここだけはどうしても譲れないって箇所を満たしてる男が居たら

そいつにしなよ。

あるだろ?

最重要視する評価ポイントが。」



『愛国心ね。

そして志操を貫徹する為の能力と執念。』



「オイオイオイ。

いきなりヘビーな返答来たねえ

アンタ、痛い女ってよく言われない?

そもそも、そんな条件満たしてる男なんて実在するの?」



『お父様よ。』



「あー。

行き遅れあるあるだよねー。」



『何よ!』



「で、花束持った冒険者は?

連れて来ていい?

結構イケメン揃いだったぞ。

顔だけでも見ときなよ。」



『ワタクシの論文を読んだ上で求婚してくれるなら考えてあげるわ。』



「あははははww

親父さん可哀想にwwww」



『…ちゃんと見つけてみせるわよ。』



「ハイハイw

アタシも及ばずながら手伝うよ。

要はアレだろー?

アンタって学の無いヤツや志の無いヤツが許せないんだろー?」



『許せない、とかは無いけど。

…せめてワタクシと対等に渡り合って欲しいだけよ。』



「男は女に、そういうの望んでないと思うけどなー。」



『それ、女中達からも100億回くらい言われたわ。』



「あはははははw

じゃあ冒険者ごっこは中止して、男探しに専念しなくちゃ。」



『ぐぬぬぬ。』




=============



まあ、路銀は稼げたわね。

ゲレル?

運河都市で合流するわよ?

だってあの女、自分のパーティーの仕事もしなくちゃいけないし。



さて、明日は馬を買いに行くわよ。

大丈夫大丈夫、お金がなくなりゃゴブリンを殺して回ればいいのよ。

醜悪な化け物が減る分には誰も困らないでしょ?


そもそも当家の公約は《対日戦を想定した戦時体制構築》だからね。

ゴブリン風情の駆除に手間取っている訳には行きませんのよ。


安心なさい。

日本人のポップアップ地点も特定出来たし、その辺りにはロストテクノロジーが記された古書が存在するという情報も入手済み。

この旅は順風満帆よ。



日本人転移を始めとした諸々の問題。

当然、ワタクシ一代で解決するつもりですから。

アナタもそのつもりでいなさい。


当たり前じゃないw

ワタクシはエリザベス・フォン・ヴィルヘルム!

大正義超進歩的絶対ヒロインですのよ♪

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