転生
煌びやかな室内。身なりの整っており、立派な角と立派な髭を生やしている男性。
胸が大きく、すらっと細い角の生えた笑顔が綺麗な女性。
その女性に抱かれながら小さな真っ黒の角を生やし気持ちよさそうに寝ているのが私だ。
「ああ、なんて可愛い…私のディア…」
女性が抱き抱え、愛おしそうにうっとりとした目で見ている。
私の名前は「ディア」と言う名前なのか。
そこで意識が途切れた…。
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私は、魔族に生まれた。
と言うよりかは、生まれ直した
生前私は人の為に動いていた。
困っている人が居たら助けていた。
しかし、それをよく思わない人達が居たらしい。
私は殺された、一瞬の出来事で何が起こったかは分からない。
しかし、真っ黒な空間で目を覚まし、目の前に居る大きな女性と思わしき人に「貴方は死にました」と言われれば何故か妙に納得した。
「私が…死んだ…?」
懐疑そうに口を開くと
「ええ、不幸にも貴方は死んでしまったのです。」
優しく大きな女性が微笑む
「……」
何がなんやらと思考を繰り返していると
「貴方を生き返らせることが出来ます」
と言う
「それはぜひにでも」
と口を開くと
「しかし同じ世界に生き返らせる事は出来ません。
別の世界で新たな生を授ける事しか許されていません。」
優しい表情で優しい声で、今にでも吐きそうな気持ちだった
「もうあの世界には戻れないってことか…」
まあ、実際それでも良かった、まだやり残したことがあるとするなら数多の女性と交合う事くらいだった。
「しかし私達女神によって転生させられた者には加護が付いています。生きてく上で不自由のない程度には、ですけどね」
頭に響くような声が続くのは少し苦手だ。
「その転生先の世界っていうのは、魔法とか使えたりするのか?」
興味本位で聞いてみた
「はい、魔力というものがあります。」
あの世界には無かった要素、転生するしかない。
色々と興味はあったし楽しみでもあった。
「じゃあぜひ」
そういうと女神の前に多くの文字が浮き出てきた
「これが私から付与できる加護です、3つ程お選びください。」
そうか…いくつもということは出来ないのか。慎重に選ばないと…
そう思いズラっと見てみる。
「これらはスキルと呼ばれる物です。」
知っている、俄然興味が湧いた。
「えーと、とりあえずこの言語理解ってやつは何なんだ?」
女神に聞くと
「それは全ての言語を理解し、話すことができる様になるスキルです。」
なるほど、それは便利だ
「じゃあ言語理解と…えーと他は…」
何せ多いスキルの中はほとんど分からないものが多い。
「この魔力量強化ってのは?」
「それは魔力量を強化することができます。
素の状態量×3と言ったところでしょうか」
それは良い、魔法を謳歌しようと思っていた所だ。
「じゃあ魔力量強化と…えーと、最後か」
まじまじと見定める。
「これ気になるな、魅了」
「それは相手を射止めるスキルです、異性に対して使えば貴方に従順になり、同性に使えば敬う様になります。」
とてもいいスキルだ…。
「じゃあこの3つをお願いするよ」
気持ち悪さを抑え、笑顔で女神に話しかける
「分かりました、では、転生先を紹介します。
貴方は…、魔貴族のブラック家、という所に転生します。」
「魔貴族?」
首を傾げて聞いた。
「簡単に言うと魔族の貴族みたいなものですね。」
なるほど、お金持ちか…それはいいな
「分かった、楽しみだよ」
これからの新しい世界、生活、楽しみだ
そこから記憶は無く、気が付いたら女性に抱っこされ揺らされ眠っていた。
地獄を見るとは知らずに…。