希望へ、変われ
呼び出された私は王宮に向かっている。読んで貰えたのだという事は分かったが、自身がどうなるかに関しては全く予想が出来ない状態だった。
間違ったのは私。その選択肢を掴み取ったのは他でも無い私だ。
他の人達には何の罪も無い。これから、私が何処へ向かうのだとしても巻き込まれる事が無ければ良いのだけど。
王宮への道のりは何時もより短く感じた。
謁見室に通された私は想像以上の仰々しさに息を呑む。国家の一大事だと感じ取って貰えたようだ。大事にはしたくないが、事が事である。無理なのは承知している。
「私は・・・反逆者にならない」
最後に私は笑っていたい。ただ、それだけの事。なのに、それは難しかもしれない。
最後に私は笑っているだろうか。
「真実でございます。嘘偽りは申しません」
私は問いに対してはっきりと答える。じわりとざわめきが広がっていく。この国を纏める重鎮達が小娘の言葉で動揺している様は少々滑稽であった。今までの私を知っていればそうなるなど有り得ないと思うから仕方無いのだろう。貴族として、将来の王妃として、上位者の誇りを忘れた事は無い。そんな私が国に刃を向ける筈が無いと思う方が容易いのである。ずっと、私はそうしてきたのだから。
本人からの言葉であるが、それを信じられる程の素直さは国を治めるのに不必要だ。きっと、私の話を陛下は吟味してくれるだろう。
そう思っていた。
「小娘の戯言を信じる必要はありません。この国はその程度で揺らぐ程脆弱では無いのですから」
毅然とした声。見覚えの無い顔に何故か懐かしさを感じた。しかし、以前からここに居る重鎮達を知っている筈の私が知らないという事は変なのだ。
貴方は誰?私は何かを忘れているだろうか。