絶望のち希望
始まりは絶望。再び始まるのだから希望に変えてみせる。
そう誓う。
その記憶が蘇った瞬間、これから起こる事に目の前が真っ暗になった。これは回避しなければならない悪夢である。私の中に使命が生まれた。悪夢を防がなければ。
「私は守らなければ」
災いを齎す存在にならないように、生きよう。
それからの私は前と同じ人生をなぞった。自身の言動を全て覚えている訳では無いが、こうだろうと予測は出来る。全ては「自分」なのだから。それでも、辛さはある。騙している事が辛かった。だが、やり遂げなければならない。やり直すチャンスが与えられているのだ。
私は私を変えなければならない。
「お嬢様、本日のご予定でございますが」
「今日は声楽の先生がいらっしゃるのよね?お迎えの準備をお願い」
「畏まりました」
「あと、手紙を書きます。これは確実に素早く届ける様に」
去っていく背中を見詰めながら、書き始めはどうしようかと思案する。
私は・・・もう二度とあのような事態になる事は避けなければならない。
「読んで頂けるかしら」
こんな馬鹿げた手紙は捨てるだろう。それでも、僅かに残る期待に縋る私は愚かだ。出来る事を、すべき事を
悪足掻きをしたい私の諦めの悪さ。
「・・・・・・」
最後に貴方と笑い合うのは誰でしょうか?私?それとも、他の誰か?
私は貴方と笑い合えたら幸せです。