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成長
分かってしまった。
私は家に帰りたくなかったんじゃなくて帰れなかったんだと。自分のしたことに責任を持つことが大人なんだって心のどこかで思っていた。だから自分が幼いなんて、間違ってるなんて絶対に認めたくなかった。そういう考え自体が子どもだなんて、考えもしなかった。
悔しいのか切ないのか悲しいのか、自分でも分からないまま涙が溢れる。
家に帰ったら、まずお母さんに謝ろう。そして、心配をかけてしまった家族みんなにも。涙でぼやけた視界に、私の家が映る。
エレベーターを待つことさえももどかしく、私は薄暗い明かりに照らされた階段を一気にかけ上がった。