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悪役令嬢,婚約破棄される

初投稿です。これからよろしくお願いします。

「フィナイース・ロマ・オーランドル、弱者を虐めるその心根!未来の王妃には相応しくない!よってこの場で婚約を破棄し、私はアンヌと婚約する!」


彼、私の婚約者であるメルディル王国第一王子エルドルド殿下は、側近の侯爵子息で宰相子息のギルバート様と、伯爵子息で騎士団長子息のブルース様に私を捕まえさせながら、

年度末のこのパーティで婚約破棄を宣言なされた。


 何故婚約破棄するのか?という疑問が頭に浮かんだが、すぐに思い直します。彼の腕で

震えるアンヌという少女が原因でしょう。しかしそれもおかしいのです。彼が高らかに述べている彼女へのいじめに、全く身に覚えがありません。


教科書を捨てた?物を奪った?階段から突き飛ばした?

そんなことはやっていない。私があの少女と関わったのは、彼女のマナー違反と、それを庇う高位子息達をどうにかしてほしいと令嬢達に言われ、少女と王子らが

揃っているときに

『2回だけ』注意した。それだけです。


「いくら所作も魔法も完璧だとしても、腐った考えを持つ者を王妃にするわけにはいかない!」


よく響く声でノアギルザ公爵子息ワイス様が、


「お前を姉と慕っていた事に反吐が出る!」


信頼していた弟フィランが、


「自身が持たぬ精霊への適正を持つからと、平民を虐げたことなどあってはならぬ!」


長年の婚約で、政略でも絆を繋いでいた殿下が、


「違います!私はそんなことしていません!誤解です!」


「黙れ。どうせ高位精霊と契約したアンヌを妬んだのだろう。

 下位精霊すら契約できなかったからとな。」


ああ、どうして信じてもらえないの...

2人を見上げると、アンヌ嬢が「ひっ」と悲鳴をもらす。

それを聞いた殿下は腕に力をこめ、こちらを睨んだ。


「フィナイース!アンヌを睨むとは、反省すらなしか!

もう私の前に姿をみせるな!お前は国外追放だ!」


睨んでない。見上げただけだ。つり目でそうみえたのでしょうか。


そしてこの時、やっと状況を理解した周りの貴族達がこそこそと話し始め、

その声が私の耳に届きました。

 「出来損ない」「精霊の嫌われ者」「身分だけの公爵令嬢」


陰口には慣れたはずです。だけど、

誰も味方がいないことが、こんなに心細いとは思っていなかった。

友人たちも捕まっている。

 大勢の前の宣言されてしまったから、私は追放確定といっていい。

 いつも努力していたのに、結末はBadend?


   もう無理だわ。もう頑張れない。全部、イヤだ。


彼女の絶望に反応するよう、彼女のペンダントの、水晶でできた、宝石の嵌った鍵が

きらりと、微かに光を放った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そこは執務室のようだった。

そこで彼女は集中し黙々と書類の山を減らしている。

しかし、何かがおかしかった。

時折やってくる者たちは、確認済みの書類と共に確認前の書類ももっていくのだ。

だが気が付いたときには、その書類は彼女の机の上に戻っている。

やはり、そこはおかしかった。


彼女はずっとペンを止めず、室内にカリカリと

ペンと紙がこすれる音ばかりが響き続ける。

誰が来ても、書類が増えても減っても、彼女は仕事に没頭する。


しかし、唐突に顔をあげた。そして机の端で書類にさえぎられて見えなかった

水晶玉を引っ張り出す。


水晶玉は、一瞬光を放っていたが、確実に彼女に見えなかったはずだ。

だが事実として彼女はペンを置き、水晶玉を覗き込んだ。


そして次の瞬間、椅子を蹴って立ち上がる。

でもそこで一旦動きを止め

何かを紛らわせるように深呼吸をする。


異変にきづいた何者かが、部屋にやって来て

仕事をしていないことに驚愕と安堵の表情を浮かべ

彼女の憤怒の表情に困惑し

彼女が水晶玉を見ている事にきづいて息をのんだ


次の瞬間、彼女は瞳に静かな怒りを持って、無表情で消えた。


残された何者かは彼女が消えた理由を察し、ドアの向こうにいた誰かに

「彼女を迎える準備をしろ」と一言告げた。



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