END prologue
【あらすじ】
儚く舞い散った【黒蝶】を忘れる様に____。
誓いを結んだ【純白の天使】との契約を破棄する様に____。
失くした自身を殺す様にキットは《王都_セレクトリア》を去った。風にさらわれる様に平原を駆け抜けた先に彼が辿り着いたのは巨大な壁に囲まれる《帝都_サータリア》だった。
そこで出会った、一人の狙撃手に条件付きの手助けをされ、街への入国を果たす。全てが髪色で定められた、【絶対遵守】の法の元で一人の剣士と一人の狙撃手はたった一つの目的の為にその身を投じる。
________それは【暗殺】。
溶け続ける城壁と絶え間なく咲き誇り続ける、熱を持った花が二つの魂を囲む。
夜空に上る小さな火の粉はこの闇をぼかす様に照らしていた。
肌に伝わる暖かさは次第に殺傷力を備え初め、いつしかその瞬間を迎えようとしていた。
「すっかり、焼け野原になっちゃたね____」
純白の天使が瞳に写した光景を口にする。
「うん、そうだね____」
純黒の天死が意思を通わせるように言葉を口にする。
逃げ場を失い、明日を見失った二人の双翼はその在り方を風に散らせ、黒と白の色彩を情景に刻む。
無数の屍の中に立つ、黒き羽のその人は、例えるなら____。
対照的に地に足を付け、その白き羽を舞い散らせるその人は、例えるなら____。
家屋が崩れ始めた。勢いを増した劫火が音を立てて、その無垢な殺意を剥き出しにした。
「____頼みがあるんだ、レイス、死んでくれ________」
最初で最後の願いをする。
「____いいよ_____」
最初で最後の返答をする。
交わす言葉はこれだけだった。けれど、発した言葉の一つ一つに二人にしか分からない思いが込められたいた。それは、出会いと別れ、始まりと終わり、再生と崩壊。幾多の物語を紡いで来たゆえに出たモノだった。
だから、何が起ころうと二人には後悔という感情は一欠片も存在などしえなかった。
サッと一人の少女の前に降り立った、一人の少年はあの月の日、初めて出会った時の様な表情で優しく微笑みかけ、右手に握った剣に意識を向けた。
胸に両手を置いた、柔らかな白はそれに答えるように笑みを浮かべ、瞳を閉じた。その際に左の頬に一筋の光の線が伝った。
________もし、また会えるなら今度は君が俺を_____。
黄金比に従ったかのような少女の体を鋭利な思いが貫いた_____________________________________________________________________________________________________________。




