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Last Rotor - Resurrected as Kit -  作者: キット
Bullet&Butterfly in to the Rainbow.
35/100

episode 2

 俺の隣を不機嫌そうに歩く、ツインテールの少女に俺は未だに声をかけそびれていた。何が気に障ったのかは要因はいくつも浮かび、どれからまず処理をすれば良いのか見当もつかず、俺の思考はオーバーヒート間近だった。というか、何で俺が彼女の事でここまで悩まなければいけないのかという思いが思考の大半をしめ、それは次第に苛立ちへと姿を変えていった。


 「なぁ、俺とのパートナー協定がそんなに嫌なのか?」


 おもむろに俺は黒蝶に尋ねる。


 「嫌に決まってるでしょ・・・!」


 即答される。


 「何でそこまで・・・」


 俺はため息をつく。


 「べ、別にあんたが嫌とかそう言うのじゃなくて・・・その、私のここでの立場って知ってるわよね?」

 「夜の仕事を生業とする、影の狙撃手だっけ?」

 「若干、言葉に脚色がある気がするけど、それでいいわ」

 「だから、それの何がパートナー協定を結ぶことを嫌がる理由になるんだ?」

 「あのねぇ・・・あんたなら、分かってくれると思うから言うけど。私は一人が好きなの・・・!だから、単独行動が許されてる、狙撃手を選んでるのよ?それなのに、どうして、どうして、団長はっ!」


 言葉に熱が入り始めた、ディセルの話を俺はただ静かに気に障らない様に聞いていた。俺なら分かる、というのは恐らくは《一人》という共通点に何か繋がりを感じたからなのだろう。それなら、尚更なおさら、俺も同じことをディセルに言ってもおかしくはないはずだろうと心では思っていた。


 「別に俺は一人じゃないぞ?少なくとも、今は」

 「何よ!自分は私と違うって言いたいの?あんただって、レイスが居なきゃただのボッチじゃない____!」

 「言葉を返すようだけど、それはディセルにも言えたことじゃないか?」

 「なっ____」


 ディセルの心に俺の言葉が思いっきり、会心攻撃(クリティカルヒット)したのを俺は瞬時に感じ取った。


 「あんた、また撃たれたいのっ!?」

 「あのなぁ?ディセル 撃つとか撃たないじゃなくて、今のこの状況、理解してるか?」

 「何よ?」

 「ここには今、俺とディセル、いわば人間が二人いるわけだ、これをボッチて言うのかな?」

 「だ、黙りなさい!誰がそんな軽い言葉で納得すると思うのよ!」


 と、言いつつもディセルの銃を握っている手が少しばかり緩んだのを俺は見逃さなかった。


 「それに・・・何も親しくしろとは言われてないだろ?だから、せめて仕事の間だけの関係位は____」

 「____わかったわよ・・・でも、いいこと!絶対にお互いのやり方には指図しない、これが協定を結ぶ絶対条件よ!」

 「わかった。なら、まずは大聖堂に行ってみないか?」

 「・・・話聞いてた?」


 どことなく殺意のこもった真顔で言われた言葉に俺は恐怖心を覚えながらも声を返した。


 「聞いてたけど、何か問題でも?」

 「問題・・・大ありよっ!まず、《お互いのやり方には指図しない》_ここを今、あんたは破りかけてるのよ!?それに、いきなり本命の場所に出向いてどうするのよ!?仮にも教祖は《人の心が読める異能》を持っているかもしれないのよ?そんな所に組織の私たちがのこのこと行ったら、相手は警戒して二度と尻尾を見せないかもしれないわ」


 ディセルの考えは組織の人間の考えをそのまま反映したかのような言い分だった。確かに、彼女の言っていることは正しいし、しっかりとした裏付けを取ってからの行動を遵守している者の言葉に感じた。だが、今回の捜査にはいづれ辿り着かなければいけない場所があった。


 ____そう、《反転の呪い》だ。


 何も俺は《黒魔術信仰》の有無などには微塵も興味はなかった。それでも、レイスの呪いを解く手がかりを掴めるかもしれないという、見えない透明な希望をそこに抱けたからこそ、今回の任務を行っているわけだ。


 「後者の言い分は分かるけど、最初の方はどうかな?」

 「何よ?」

 「指図はしてないし、そもそもディセルの考えも明確には教えてくれてはいないじゃないか?」

 「うぅ、それはそうだけど・・・でも、いきなり大聖堂に行くのは反対なのよ!」

 「言いたいことは分かるけど、それじゃあ何から手掛かりとかを掴んでいくんだ?それとディセルには俺が剣士に見えているかもしれないけど、街の人々には絵描きと思われてるんだ」

 「・・・そうだった」

 「それにディセル自体も剣士ではなくて影の狙撃手だろ?役柄を隠す様な魔法とか無いのか?」


 俺の問いに対する、ディセルの発言で今後の行動が大きく分岐するのはまず、間違いないだろう。


 「ある。というか、私に明確な役柄は定められてないわ。それでも、しいて言うなら《少女》かな」


 ディセルから予想だにしない回答が返ってきた。それでも一つだけ、これではっきりしたことがある。それは、俺達がこのまま大聖堂に向かっても剣士とばれることも、組織の一員と怪しまれることもないという事だ。そして、ディセルの役柄_《少女》という立場を大いに利用してやろうと俺は思った。日ごろから、銃を突きつけられている、仕返しの意味も込めて俺は目の前の()()にとても重要な役柄を与えた。


 「じゃあ、ディセルの役柄は俺の《恋人》で____」


 一瞬、時が止まって____次に聞こえてきたのはツインテールの少女の悲鳴にも似た、叫び声だった。


 「はっ____!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!?」


 


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