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Last Rotor - Resurrected as Kit -  作者: キット
An angel who has descended of Starry Night.
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episode 22

 ファサッとした感触と繊細な糸に触れるような感覚が手のひら全体に伝わる。

 レイスはそれを感覚として感じ、一瞬、震える体が止まった。

 その一瞬を俺は見逃さなかった。


 「____レイス」


 俺は少女の心に語り掛け、白い髪に置いた自らの手をゆっくりと動かしそれを撫でた。


 「________キット?」


 心の一番遠い場所から大切な人の声が聞こえた。どこか切なくそして儚いその声色は間違いなくレイスのモノだった。


 「言ったろ?____俺がきっと守ってやるって」

 「____キット・・・でも、今のは自分の心の・・・・・・」

 「森でのことを覚えているか?」

 「え____?」

 「俺は君の傍付き剣士で君を補佐(サポート)する役割がある。____例えそれが心だとしても。確かこんな感じだったよな?だからさ、今その役割を果たさせてもらったよ」


 レイスの心情は俺には計り知れなかった。けれど、それをただ見てるだけなのは俺という_傍付き剣士が許さなかった。だから、今もこうして、彼女の心からくる精神の異常と体の異常を感覚という、外的要因でどうにかしようとした。

 俺が出来たことは、白髪をただ優しく撫でることだけだったけど____それでも俺はレイスの心に容赦なく突き刺さる、鋭利から守ろうとした。それが、彼女に触れ意識をこちら側に向けさせることだけだとしても。その痛みから彼女を遠ざけることが出来たのなら俺はそれだけで____。


 「私・・・・・・」


 意識がこちら側に戻ったレイスの目尻には涙が累積し、今にも肌色を伝いそうだった。


 「何もなかったよ」

 「でも、さっき____」


 手紙のことに触れようとした、少女の言葉に俺は声を被せた。


 「もう、大丈夫だから____」

 「____そう」


 俺の言葉を聞いてレイスは不思議そうな顔しそう言った。こんな、嘘はすぐに見破られっるのではないかと思ってしまう程、俺の言葉は薄く、そして、もろかった。だけど、今のレイスには《安全の確保よりも安心の存在》の方が優先に思えた。


 「もし、まだ 痛みが続いているなら今日はもう____」

 「ううん、私は大丈夫だから____」


明らかに嘘をついていることが分かるくらい少女の顔は青ざめていた。しかし、そんなことを悟らせまいと俺へ笑顔はどこか罪深く、そんな表情をさせてしまうこの状況にやり場のない怒りを俺は感じてしまった。


 「____分かった。でも、少しでも辛くなったらすぐ言うんだぞ?」

 「うん ありがとう」

 「それじゃあ、行こうか____」

 「でも、少し・・・・・・」


 ぽつりと呟いたレイスの言葉に俺は保守的な言葉をかけようとした時____。


 「私は何を見せられてるの?」


 すっかりと存在を忘れていた、屋根上の狙撃手(スナイパー)が俺達の雰囲気の中に入ってきた。


 「え?」

 「?」


 俺とレイスは思わず、疑問を生じさせた。


 「警備中に何良い雰囲気になってるのよ・・・・・・?あんた達、付き合ってるの?」


 ディセルはやれやれと言う素振りを取りそう言った。


 「それに キット」

 「うん?」

 「いつまで、レイスの頭に手を置いてるのよ?」


 ディセルに言われ俺はようやく気付いた。未だ、手に感じるさらさらとした感触とほのかに感じる暖かな温度。それらは全て、目の前で小さくうずくまっている、白猫からくるものだった。


 「あっ____!」


 俺は思わず、それから手を離そう右手を動かそうとした。


 「えっ____」


 レイスもディセルの発言で気づいたのか、急に顔を赤らめ自身の頭に手を伸ばした。

 その時、俺とレイスの肌がほんの一瞬触れた。

 そして、静電気を感じた時の様に条件反射でお互いの手を瞬時に離した。


 「ご、ごめんっ!」

 「だ、大丈夫っ!」


 手が触れることなんいつもやっていることなのに何故かこの時は互いを意識してしまっていた。それは、この暗い街が引き起こす、幻想的な景色からくるものなのか、普段とは違った精神状態が引き起こした、ちょっとしたバグなのかは分からない。でも、一つだけ分かることはあった。

 それは____


 ________彼女に触れた時、何かが繋がった気がしたことだ。



 「じゃ、じゃあ 気を取り直して行こうか?」

 「う、うん」

 「念の為に言っておくけど、本当に大丈夫じゃなくなったら言うんだぞ?」

 「分かった」


 レイスの顔は完全ではなかったがいつもの様に冷静さを取り戻している時の表情になっていた。


 「それに私からも一つ」


 ディセルが自ら、俺達へ声をかけてきた。


 「うん・・・何だ?」

 「キット あんたじゃないわ」

 「え?」

 「私が声をかけたのはそこのお嬢様(レイス)よ」


 確かにレイスは《ロイ家》という名家で育ったのは間違いないのだが、何故今、その呼び方を口にするのかが俺には分からなかった。


 「ディセル?」


 レイスがディセルの方を向きそう言った。


 「忘れてると思うけど、私が以前、言った事、覚えてる?」

 「えーと・・・確か_「手に感じるこの感触・・・何でレイスはこんなに・・・・・・」だっけ?」

 「一体、どこを切り取ってるのよ・・・!」


 ディセルの顔が一気に真っ赤になる。


 「違った?」


 レイスは頭上のディセルを見て、首を傾げわざとらしくそう言った。


 「____撃っていい?」


 その態度が引き金になったのかディセルは鋭く冷たい瞳で銃口をディセルに向ける。


 「うっ嘘、嘘っ____!本当は覚えてなくて・・・!」


 慌ててレイスは狙撃手に言葉を投げかける。


 「そうだと思った・・・いいわ、もう一度言ってあげる」

 「うん」

 「「次、泣き言を言ったらその首をはねるから?後、涙も」よ」

 「え?」


 この状況下でまずありえないであろう、条件を提案したディセルに対してレイス共々、俺も思わず「え?」と発していた。


 「おい、ディセル 今この状況で普通そんな事言うか?」

 「キットには関係のない事でしょ?これは、私とレイスのあの日の決まりごとの様なモノだもの」

 「えっと・・・あれ、まだ続いてたんだ・・・・・・あはは・・・」


 レイスは自分の身に親友からの脅威が迫っているのも関わらず思わず、苦笑いをしてしまっていた。


 「何、笑ってるのよ?」

 「だって、随分懐かしいこと言うなぁって思ってさ」

 「はぁ、レイス あなた、この意味わっかてるの?泣き言も涙も後一回でもしたら、その首はねるのよ?」


 ディセルは何で怖がらないのと言う表情でそう言った。


 「ディセルはそんなことしないもの」

 「な、何でそんなことが分かるのよ・・・!」

 「だって、私たちは友達、そして親友だもん」

 「なっ____///」


 レイスの言った言葉にディセルは思わずうろたえ、持っていた銃を落としそうになる。


 「それに、私さっき泣いてたよ?その話が本当なら、その時点で私は死んでるはずだもん」

 「・・・・・・さ、さっきのは仕方ないじゃない。あれは・・・本当に仕方ない」


 そう、ディセルはレイスの事をよくわかっていた。ここに来る時だって、いつもとは違う雰囲気に恐怖心を芽生えさせてそれでも警備を続けようとしていたレイスをディセルは心配そうに見つめていた。恐らく、黒蝶はそれが強がりだと気づいていた。だから、そっと一歩引いた位置から彼女に寄り添うように舞おうとしたのだろう。

 

 「あーもう、今はそういう雰囲気じゃなくなったから、今のは無し!でも、次は覚悟しなさいよ?」


 笑みを浮かべ、白猫にそう言った黒蝶に対して白猫は一言、「うん」と返した。


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