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Last Rotor - Resurrected as Kit -  作者: キット
An angel who has descended of Starry Night.
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episode 20

 昼休みを半分ほど使ったところで俺達は事件についての会話を始めていた。


 「午後からも同じ場所の担当ってことでいいんだよな?」

 「そうだよ」

 「わかった、なら今度こそちゃんと警備をしないとな」

 「今度こそ・・・?キット、それどういう意味____」

 「えっと・・・それはその、さっきよりもより一層にってことかな?」

 「それならいいんだけど」


 (最近、レイスへの言い逃れが上手くなったな、俺・・・・・・)


 「レイス達は城内の警備なの?」

 「ディセルは違うの?」

 「そうだけど、何かおかしい?」


 この場合どちらがおかしいかと言うと、ディセルの方だろう。クレイ曰く、城内は《純白の剣姫(リリィ・ソードダンス)》、市内は《今は無き最高位(ロスト・ファミリア)》という、男女を分けた様な配属を取った、あちら側の団長が何故、ディセルをそれ以外の配属にしたのだろうと俺は疑問に思った。


 「ディセルはどこの配属なんだ?」

 「配属?私にはそういうの無いけど?」


 俺の問いにディセルは不思議そうに返事をした。


 「それはどういうことなんだ?」

 「恐らくは、戦闘スタイルが影響してると思う」

 「戦闘スタイル?」

 「私の様な後衛特化の銃使いは相手にバレない様に行動する事が求められるの。だから、今回の様にあらかじめ持ち場が判明していると、都合が悪いのよ」

 「と言うことは、ディセルの持ち場は____」

 「そうね、この(セレクトリア)全体かしら」

 「それってかなり、難しいんじゃ・・・?」

 「それについては心配はいらないわ。私もこの城を拠点にしているもの」


 ディセルのその発言に俺は思わず「うん?」と思ってしまった。国全体の警戒をしなければならないディセルが限定した場所にとどまっていては本来の能力を発揮すらできなのではないかと思ったからだ。


 「それって俺達とやってることは変わらないんじゃないのか?」

 「失礼ね・・・。私の能力を忘れたの?」


 そう言いながら、ディセルは俺の顔を真っ直ぐに見て、左目にかかっていた前髪を上げた。すると、そこには右目の淡いエメラルド色とは似ても似つかない、ルビー色をした瞳が静かに輝きを放っていた。


 「この《魔眼(オッド・アイ)》の効果を忘れたの?」

 「そうか____なるほどな」


 そう、ディセルには魔法やスキルと言った、修練を積み重ねれば習得できるそれらとはことわりが根本的に違う、生まれ持った先天性の《異能》が備わっていた。この魔眼はモノのスピードが遅く見えたり、遠くの視界までをも鮮明に映すと言った規格外の能力を秘めている。

 それ故、この場から動かずとも、ある程度の高度に居れば街の全体を把握できるということになる。


「もしかして、ディセル 城の屋根とかに上ってたの?」


 レイスがでディセルに質問した。


 「そうだけど?」


 ディセルが「何でそんなことを聞くの?」という意味合いを込めて回答をした。


 「やっぱり、ディセルは悪い子だなー」

 「な、何をいきなり!?」

 「城はセレクトリア様の住んでいる崇高な場所なんだよ?それなのにディセルは・・・」

 「仕方ないじゃない!?そうでもしないと、私の魔眼は役に立たないんだから____」

 「私が言うことでもないけど、ほどほどにね?」

 「分かったわよ。後、これは私の魔眼越しに見た情報だから確かとは言いにくいけど、街の民家、二軒に人込みが出来ていたわ。もしかしたら、何か別の事件が起きているのかも」

 「新たに二軒・・・誘拐事件との関連性は____」


 レイスはしばらくの間、思考を駆け巡らせ考えていた。人込みと言うだけあって、何かが起こったのはまず間違いないだろう。しかし、それが少女誘拐事件だとは断定しにくい。理由は二つ。街は王国直属の組織が隙間なく警備しており、犯行に及ぶのは至難の業だ。そして、もう一つは騎士が常に少女に対しての声掛けと安全の確保を行っていることだ。ここまでしても、誘拐事件の犯行が行われたのだとしたら、それはもう____


 ____人間の犯行ではない____


 「現時点では分からないわね。けど、もしもこの事が誘拐事件に何かしらの関りを持っているのだとすればそれは、盲点としか言いようがない事かもしれない」

 「そうなんだ・・・。でも、狙われてるのは少女だし____」

 「そうね。まぁ、今は出来ることをしましょ?」

 「うん」

 「あなたも一応、気を付けないさよ?」

 「え?」

 「いくら剣士と言っても、見た目は少女なんだから・・・ある一部分を除いてだけど」

 「今何か言った!?」

 「いや何も____」


 レイスはディセルの発言に対して、顔を赤くし言葉を返した。しかし、ディセルは持ち前のクールフェイスで平然と返した。


 「あ、でも、ディセルの方がどっちかと言うと少女らしいと私は思うな?」

 「それは何を根拠に_____?答え次第じゃ、さっきの続きをするけど・・・いい?」


 ディセルは完全に目が座っていた。

 それを見た、レイスの脳裏には先ほどの事が鮮明に蘇り、身震いを始めた。

 

 「ご・・・ごめんなさい____もう言いません」


 レイスは目の前の脅威を鎮めるべく、怯えた表情でそう言った。


 「冗談よ、私がそんなことで怒るわけないでしょ?」


 (いや、割と怒ってたぞ・・・・・・?」


 などと、俺は心の中で思うのであった。 


 「もう、今日のレイスは何なのよ・・・感情がでたらめよ?それでも《純白の剣姫(リリィ・ソードダンス)》の副団長?先が思いやられるわ・・・・・・」


 と、言いつつもディセルの口元には微かな笑みが現れていた。


 「それはそうとして、キット!その視線は何よ!」

 「え、ただディセルを見てるだけなんだけど・・・?」


 俺は自分でも気づかないうちにディセルを見続けていた。いや、それは少し違うな。俺はディセルではなく、その透き通るような赤い瞳を見つめていたと言った方が正しいだろう。


 「ディセルのその瞳が綺麗だなって、思ってさ」

 「き、きききっ綺麗っ!?何を言ってるのよーーーー!あんたはーーーー____!」

 「____!?」


 思わず、銃を向けられるのかと思ったが今回は少し違った。確かに銃を取り出しそうな素振りは見せたものの今はそれを無理やり抑えているように見えた。


 「____はぁー、あんたね、そう言うこと簡単に言うもんじゃないわよ?」


 一息入れなおしディセルは冷静にそう答えた。


 「それはどういうことだ?」 

 「魔眼って言うのは、《魔》なるが宿っているの、一部の宗教信仰では《悪魔のもたらした奇跡》とか言われたりしているわ。だからそれを綺麗だとか可愛いだとか褒めるのはいかがなものかって言いたいの?それに、女の子にそうやすやすと容姿を褒めるような事を言うのは誤解を招くわよ?」

 「一部違う言葉が混じっていた気がしたんだが・・・?」

 「そう言うことだから、あまり人前で魔眼に対して良好的な言葉は慎んだ方が良いわよ?」


 (無視か・・・)


 「あ、あぁ、分かった」

 「それにあんただって____」


 ディセルは会話の成り行きで俺についての何かを口にしようとした。しかし、ディセルはその口を途中で止め、胸に右手を置き、静かに一人頷いた。


 「俺に何かあるのか?」

 「____キット あんたのその瞳、大事にしなさいよ」


 黒蝶は持ち場に戻る去り際、ただ一言そう言い残し飛び立った。


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