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Last Rotor - Resurrected as Kit -  作者: キット
An angel who has descended of Starry Night.
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episode 17

 「そんなに、緊張しなくてもいいんですよ?あなたはこの城を守ってくれる剣士様なのですよね?」

 「____はい」

 「やはり、そうでしかた。いつも、国の為に剣を取っていただきありがとうございます」


 セレクトリアはそう言うと、にっこりと笑って見せた。

 その様はこの(セレクトリア)を一人で担っている人間とはとても思えない程、穏やかで今、話してくれ事は偽りなのではないかと思ってしまった。


 「ところであなたのお名前は、どう、御呼びしたらよいのでしょうか?」

 「俺は・・・いや、私はキット=レイターと申します。セレクトリア様の呼びやすいように呼んで頂ければ幸いです」


 俺は出来る限りの敬意の意とそれに釣り合う様な言葉遣いを心掛けた。


 「そんなに堅くならなくてもいいんですよ?」

 「は、はい・・・」

 「では、キットと呼ぶことにします。よろしいですか?」

 「セレクトリア様がその呼び方で差支えなければ、その様に御呼びください」

 「もう、また堅くなってる・・・!」


 セレクトリアは頬を膨らませ、少しだけ ツンっとした。


 「えっ!」

 「それに私の名前はセレクトリアではありません。それは姓であって私の名前はルルです」

 「すみません・・・・・・」

 「謝るのなら、私の事は今後、ルルと呼んでください」

 「女王様にその様な呼び方をしてよろしいのですか?」

 「えぇ、私が許可します。でも、公の場では控えてもらえると・・・・・・」

 「分かりました。では、ルル様、もしまたこの様な機会でお会いできることがあれば次からはそう呼ばせてもらいます」

 「____はい。いつか、また」


 ルルは胸に両手を当て、瞳を閉じた。吹き抜ける風の音にでも耳を貸しているのだろうか?ヒラヒラと舞い散る、薔薇の花びらは金髪の少女の横を川を流れる様に過ぎていく。

 しばらくすると、少女は一息つき目を開けた。


 「薔薇の花は好きですか?」

 「花は好きですよ」

 「そうですか、なら」


 ルルは傍で陽の光を浴びていた薔薇を一凛摘み取り俺へと差し出した。


 「これをあなたに差し上げます」

 「いいんですか?」

 「今日、私の話相手になってくれたお礼です」

 「お礼なんてそんな____」

 「受け取ってもらえないのですか?」

 「い、いえっ!ありがたく頂戴致します」


 そう言って、俺は目の前の金髪の女王から一凛の紅色を受け取った。指先に伝わる、微かな棘の感触、それを感じながら俺は視線をルルに向け直した。


 「受け取ってもらえて何よりです。大事にしてくださいね?」

 「はい、もちろんです」

 「ところで剣士様はここにどのような用で参られたのですか?」


 ルルの質問に俺の体は凍りついた。最初は城の警備をするつもりでここに入ったのだが、それはただの建前で本当は興味がここに足を運ばせたのだ。そんなことを女王の前で素直に言えば分かってもらえるのだろうか?それとも、「失望しました」とそれ相応の処罰を下されるのか?どちらにせよ、今ここで本当の事を話すことにメリットは一つも感じられなかった。


 「え、えーっと・・・その____警備です」


 苦しい言い逃れを発した。だが、これは筋が通っているのではないだろうか?などと、考えていると目の前の女王は優しくそれに返答をした。


 「そうなんですね。では、今の任務が終わるまでここに少しでもいいので足を運んでください」

 「それはどういう意味ですか?」

 「剣士様にはこの、庭園を守っていただきたいのです」

 「守る?それは、どのようなモノからですか?」

 「そうですね____例えば、鳥からでしょうか」

 「え・・・?」


 仮にも俺は誘拐事件の一環として、この城の警備を任された身。それなのに、俺はこの庭園の薔薇を鳥から守るといった、農家が____案山子(かかし)がやりそうな事を任されていいのか?剣士としての品格は・・・・・・。


 「引き受けてくださいますか?」

 「女王陛下のご命令とあらば、私はどんな事でも引き受けますよ」


 完全に自分を見失った。しかし、言葉遣いは徐々に上達の一途を辿っていた。


 「ありがとうございます」

 「いえ、お礼を言われるようなことは何も」

 「随分とご自身を謙遜けんそんなされるのですね?」

 「私は別に____」

 「それに剣士様も少しは体を癒した方が良いですよ?」

 「もしかして、私にここを任せたのって____」

 「それ以上は言わないでください」


 穏やかな表情で言われた言葉に俺はそれ以上の詮索は控えることにした。

 そして、俺は一通りの会話が終わったことを確認し、庭園を後にすることにした。


 「俺はそろそろ行きます」

 「わかりました。では、また明日」

 「その言葉確かに受け取りました」


 そう言って出口へと足を運ぶ俺に少女は詰め寄ってきた。「なにかありましたか?」と言おうとした俺の顔を覗き込むように前のめりにした体制でルルは右手の人差し指を自身の鼻に当て一つ呟いた。



 ____今日ここで会ったことは、内緒ですよ____



 交わされた言葉はそれが最後であったものの、庭園を去ってい行く俺をルルは姿が見えなくなるまで見つめていた。一面の赤の中心にいる女王の顔を俺は一瞥し礼をした。それに対するように、ルルは静かにゆっくりと右手をこちらに振ってきた。

 それを境に強めの風が吹き、再び紅い雨が吹き乱れる。

 思わず、顔を手で隠しその場をしのいだ。

 そして再度、出口に向かって歩き出した。


 「まさか、女王様に会うとはな。これって結構、貴重な事だよな・・・?」


 俺は夢でも見ていたかのような錯覚に陥っていた。あの庭園で見た、幻想的な光景。そして、不意に現れた神々しい存在。そのどれもが幻だったのではないかと思った。

 だが、その考えも右手に感じた痛みにかき消される。


 「これは本当なんだよな____」


 チクッと人差し指と親指に感じるその感触は紛れもなく、先程、ルルから貰った薔薇の棘だ。


 「____行くか」


 数秒の間、それを眺めた後、俺は気を入れ替える様にそう言って出口を抜け出た。


 「本当に同じ場所に存在してるんだな」


 視界に映るのは綺麗に選定された木々の数々、それと足の感触を柔らかにする芝生の地面。城を囲むように建てられた」、灰色の壁。その他にも色は存在したがあの庭園の様に赤は見当たらなかった。

 俺は庭園と対をなす様に染められた、青い空を見上げた。白、一つない空中の海はまるで先程の鏡の様だと俺は思わざるを得なかった。


 「キット そろそろお昼なんですがご一緒にどうですか?」


 聞こえてきたのはレイスの声ではなく、クレイの声だった。


 「・・・え?」

 「だから、お昼を一緒に食べませんか?」

 「昼って・・・まだ、ここに来て数分しか経ってないと思うんだけど・・・・・・」

 「何言ってるんですか、もう数時間は経過してますよ?」


 クレイの言っていることを半ば、冗談だと思い真剣に聞いていなかった。


 「ほら、空を見てください」


 俺は言われるまま、先ほどの空に再び視線を向けた。

 するとそこには、予想通りの青があり、俺は「何が言いたいんだ?」と返した。


 「空ではなくて、真上を見てください」

 「真上・・・・・・」


 クレイは意味もなく、俺へその動作を進めてきたのではない。確かにそれには理由があった。


 「日がもうここまで登ってるんですよ?キット、これで信じてもらえましたか?」


 そう____クレイは最も原始的で最も説得力のある方法で俺に時間の経過を告げた。


 (あの庭園での時間とこことの時間軸は違うのか・・・!?)


 「わかったよ____それじゃあ、昼を食べに行くとするかな」


 俺は気を取り直し、次の目的を決めた。


 「それじゃあ、僕も・・・!」

 「いや、それはいい」

 「えっ____?」


 クレイがその場で硬直状態になる。


 「あいにく俺は《純白の剣姫(リリィ・ソードダンス)》の人間なんでね。組織に戻って、女の子たちと楽しく食事をするよ____癒しが必要なんだっ!」


 これは俺の特権の一つだ。と言っても、他の少女剣士が一緒に食事をしてくれるかは定かではないがそれでも、俺は傍付き剣士。少なくとも、副団長であるレイスとは一緒にいれるはずだ。

 本当の事を言うと、行く場所が無いと言った方が適切だろう。


 「そ、そんな・・・キットっ!君はまさか、そんなことの為に組織に入ったていうのか!?」


 クレイは半ば、自棄になり怒りもにた嫉妬感を俺にぶつけてきた。


 「違うって言えば嘘になるけど____それより・・・・・・」

 「それより・・・なんですか?」


 俺の影を落とした表情にクレイは心配そうに次の言葉を息を呑んで待った。


 「女の子たちといた方が楽しいからな____ッ!」

 「なっ___!」

 「というわけで、私はこの場から退散させて頂きます。またどこかで、お会いしましょう。____さらば」


 と、どこかの怪盗の様な口調でそう言って俺は右手を軽く上げ、その場から走り去った。


 「まっ、待ってッ!何ですか、その喋り方は?キット・・・君は何なんですか・・・・・・いや、今の君は怪盗キットですか・・・・・・」


 などと、偶然にもそれに近い呼び名を口にしたクレイを気にも留めず俺はレイス達がいるであろう、組織へと向かった。


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